執筆 2006/12/24

『ステア、その出会い』(3章)



 【空爆! ポルト村】

  結晶石が欲しいアリシアたちは、なんと「ポルト村」を空爆する
 という暴挙に出ます。

  爆撃用気球のアップのシーンでは、
 彼方を見つめて腕ぐむアリシア笑顔で元気に手を振るフレア
 やさしく暖かくほほえむステアの姿が…

  て、ちょっと待て待て待て!!

 このムービー、なんかおかしくないですか??


  どう見ても空爆している連中には見えませんし、ステアたんなどは
 ゲーム中1・2を争うほどのすばらしい微笑みを見せております。

  僕は、OPやED間近あたりに予定されていたハッピーげな
 雰囲気のムービーを、構成の関係上ムリヤリこのシーンで
 使ったのではないかと推測しています。











 【見極めです】

  ワッフルと戦うことがツラいアリシアの心中を察してか…
 ステアとフレアが、ワッフルに独自に戦いを挑みます。
  発案者はもちろんステアさんでしょう。


  ちなみに、戦闘前に「君も戦うのか?」とステアに問うワッフル
 ですが… 実は彼からステアにアクションを起こしたのは、これが
 初めてだったりします。
  3姉妹中、もっともガードの固いステアさんを象徴する構成と
 いえます。

  応えて、ステアさんの名セリフ中の名セリフ、
 『見極めです』が発せられます。



  もう、このあたりまで来ると、ステアという少女が、単に口数が
 少なかったりダウナーな性格というわけではない…
  『ここ一番で、本質を見すえた端的な発言のみを行う、類まれに
 思慮深いキャラクタ』
であることが自分にも分かってきました。

  いい仔なのです。

  ものすごくいい仔なのに、従来のギャルゲーなどのステロタイプで
 単純に読み解こうとすると、まったく的外れな評価をされてしまう
 不憫な仔。 本当の意味の大人にこそ、理解し愛される少女。

  それがステア・プリス。

  発する言葉こそ短く少ないものの、従来の同種の外観を持つ
 キャラをはるかに凌駕した深み

  その、まっすぐで真剣な生き方は、僕がエールを贈りつづけた
 『元気けも少女』と見た目こそ違えど、同じ根幹によるものだと
 理解した瞬間、ステアへの愛情…
  いや、これは敬意と呼ぶべき感情でしょう。
 それが結実したのを実感しました。


 友情も、そして恋も、それを支える根本は相手への『敬意』です。

  あぁ、僕は出会ってしまったのだ。
 ステアさん… 一生をかけるに相応しい、その少女に。



 (ちなみに、ワッフルに負けたときの、不安そうな姉妹の姿が
 愛らしいですね。)




 【3姉妹を探して…】

  バラバラに逃げた3姉妹を追って、プレーリーを駆け回るワッフル。

  このイベントでは3姉妹のうち2人を探し出せば先に進めますが、
 命を賭して、いの1番にステアさんを見つけ出しましょう。
 
  ご存知の方も多いでしょうが、ワッフルは見つけた少女を自宅に
 軟禁するという犯罪行為をしでかすのです。
  で、最初に見つけた相手に関して、ちょっとした同棲のような
 会話イベントを楽しむことができるのです。


  ここで、今までのゲーム内容を振り返ってみてほしいのですが…

  アリシアはヒロインとして、最初からある程度のイベントが用意
 されてます。 フレアは、牢獄に入れられたシーンで、自分の考えを
 ワッフルに告白しています。 テリア姫でさえ、要所要所で
 ムービーに登場して存在感をアピールしているというのに…

  我らがステアさんの見せ場は一体どこにあるのでしょうか?


  そうです! 今がその時なのです。

  このイベントでステアさんとの擬似同棲を体験せずに先に
 進めてしまう事は、彼女の持つ魅力の半分しか味わえぬまま
 ゲームを終了させてしまう事と同義

  旅立つ前にセーブを行い、先に別の姉妹を見つけてしまったら
 即リセットして、別の場所を目指して捜査再開…
  その果てにそれだけの価値がある事を、不肖私が胸を張って
 保証いたします。



  で、その発見のシーンですが、居場所が判明してしまうと
 アレなので、現場写真は1枚にとどめようと思います。
  ヒントは、ステアさん専用の青いネコ気球

  木もれ日の中でワッフルの意思を確認する、ステアさんの
 凛とした姿
を、君自身のその目で確認してほしいー。


 (ちなみに僕が初プレイで見つけたのはフレアでした。
  で、どうも見つけたキャラごとに軟禁中の展開が変化する
 らしいことに気づいて… 全クリアしてから1からやり直すのも
 億劫なので、少し前に取ってあったデータをロードしなおして、
 ステアさんを発見したのです。
  やり直していなかったら… と思うとゾッとしますね。)








 【は、初めてなので…】

  ワッフルの家に軟禁されることになったステアさん…
 (だれかあの駄犬を殺せ

  そわそわと辺りを見回し、恥ずかしそうにうつむいて、
 『男の人の部屋に入るのは初めてで…』と、衝撃の告白をします。

  ベタといえばあまりにベタな展開ですが…
  直前のイベントシーンが、本質を見すえ、取るべき行動を取る
 というステアさんの魅力を存分に表したもので、彼女への敬意が
 最高潮に達している状態ということもあって…
  そのギャップは卒倒ものです。

  この構成を、ストーリー作成のマニュアル本などに頼らずに、
 かつ意図的にやっているのだとしたら… このシナリオライター
 さんは、心理学に関してかなりの造詣の持ち主と言えるでしょう。


  女神が告白する意外な弱点… とでも申しましょうか?
 手が届かない至高の存在と思われた女性が抱える、庶民的な悩み。

  これで燃え上がらない男は、恋のイムポテンツと断言できますね。


  また、このときの樋口智恵子さんの、うわずった声が後半に
 なるにしたがって消え入るように小さくなっていく見事な演技。

  それらが1つとなったことで、我々はこの屈指の名場面に出会う
 を授かったのです。 祈りましょう神に。 仏教徒は仏に。





 【騒ぐの苦手で…】

  以降、帰宅するごとに計3回、ステアさんの対応が変化します。

  家から出てさえいれば、ポルト村から外に行く必要はありません。
 他の姉妹を探すふりをしてサッサと帰宅しましょう。



  ステアさんは、無口な自分を退屈な人間と考えているようで、
 場を盛り上げられないことをワッフルに詫びます。

  薄っぺらく地に足のつかない戯言を「話題」と称して騒ぎ
 はしゃぐしか能の無いバカ女
を大量に見てきた自分にとっては、
 『君のすばらしさは正にソコ!』と強く手を握りグッと顔を寄せて
 力説したい衝動にかられるシーンですが…

  当のワッフルは『い、いいんじゃないかな? 静かなのも…』と、
 アセって中途半端な回答。

  だ、駄犬め!!
 死ぬほどヤキモキさせられるシーンです。







 【勝手にお洗濯】

  ワッフルの留守中に「勝手に洗濯をした」と告白するステアさん。

  『えっ、もしかして僕の分までっ?』とうわずったうれしそうな声で
 叫ぶワッフル。 陶山さん、男心を凝縮した迫真の演技です。

  対するステアさんは、『まずかっ! …たですか?』と、
 驚きの後に消え入るような声でオズオズとたずねます。



  以下妄想全開ですが、ワッフルを待っている間の手持ちぶさたな
 ステアさん、部屋の中にちらばったり脱ぎっぱなしになっている
 ワッフルの服を見て、片付けたくてしょうがなくなったのでは?
  ちょうど、アリシアやフレアの世話をする感じで…

  で、洗濯しながらフト冷静になって、「自分が男の服を洗って
 いること」や、「ワッフル君が変に期待したらどうしよう?」と
 いった色々なことに気づいて心配になってきたと。

  で、帰ってきたワッフルに、努めて冷静に「洗濯した」と
 告げたところ、ワッフルの過敏な反応。 ステアさんとしては、
 「やっぱり! ど、どうしよう?」と動転したのかもしれませんね。


  この場面の樋口さんの演技も見事です。 必聴です。



  ところでステアさん、自分の服を洗濯したはいいですが、
 着替えなどの手荷物は持っていなかったはず…
  洗濯機がゴンゴンうなる前で、ワッフルが帰ってこないことを
 祈りつつ、一糸まとわぬ姿で震えていたのでしょうか?


  か、神よっ!! (あと仏様







 【おまけ】

  この、ワッフルの家にいる時のステアさんは、
 頭をクラン… クラン… とリズミカルにゆったり回す
 独特の愛らしい仕草を見せます。

  眺めつづけると止めどきを見失うかわいらしさです。
 危険なので、ほどほどで止めるように心がけましょう。

  50時間ぐらいで。(人間失格



  そして、ステアさんとの同棲生活が成就したこの時点で、
 当ゲームもめでたくハッピーエンドです。(違います



  永遠なれ、ステアさん!
 
 けも少女の、1つの揺るがぬ究極の形よ!




 (この後にも、ちょこちょことステアさんの登場シーンがあります。
 それは君自身の目で確認してほしい。

  もちろん「写真の切れはし」もコンプリートして、
  『夕空の下で物思うステアさん』
  『飲酒するステアさん』
  『読書にふけるステアさん』を、
 君のその目に焼き付けるのだ!!)














 【あらためてオープニング】

  さぁ、それでは改めてオープニングを見直してみましょう。
  不思議なもので、ゲーム開始当時はさっさとトバしてしまう
 オープニングも、お気に入りキャラができてから見直すと
 また違った味わいが出てくるものです。

  「ああっ、今チラっとステアたんが映った」とか、
 「ゲーム中とイメージ違うな」とか… (それでもうれしい自分



 『森の中の3人』
  大木を背に、ゆったりをくつろいでいらっしゃるステアさんハァハァ
  この写真をジックリ見るまで、ステアさんの袖の先端が青色だと
 いうことに4年間気づけなかった自分
がいます。



 『森の中の3人』(アップ)
  ステアさんの横顔アップ
 ゲーム本編では決してお目にかかれない貴重映像。



 『黒猫メカ3号』
  ゲーム中で最もカメラに近いステアさん。
 夕焼けを浴びて、水色の髪が銀の輝きを見せています。

 なにげに原画マンのこだわりが香る、愛らしいねこ口にも注目。



 『黒猫メカ3号』(ロング)
  瞳が縦長のせいか、シャープな雰囲気がただよう愛らしい
 ステアさん。

  ところでこのメカ、どうやって操縦するのでしょう?
  狭いマンホールのようなこの操縦席では、操縦者に手元の
 コンパネが見えません。 計器に頼らず、マシンのハートを感じろ!
 ということでしょうか? サムライだ。
  メンテも難しそうなメカですね。



 『仔猫の宴』
  森の中で楽しく踊る仔猫たち。
 それを見つめる、プリス3姉妹。 スッと立ったまま、
 前で手を重ねているステアさんがすてきに清楚ですハァハァ
 
  パンタ君も楽しそう。…て、いいのか警察官
 内通してやがったのか、あのTARAKO。



 『大空に顔』
  やはり決めシーンは、大空に顔。 これですね。
  ステアさんが主人公に対してそっぽを向いているのは、
 彼に対する心情の現れと解釈してよろしいですね。
  やーいやーい駄犬。

 ステアさんは僕だけを見つめれば良いと思います。(人間失格






お し ま い



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