プレイステーション用ソフト

『テイルコンチェルト』


販売 バンダイ             プレイ時間 「オールクリア2回」

購入価格 500円           
執筆日:2002年 11月25日





■第一章 『前置き』


『テイルコンチェルト』(バンダイ) は、
3Dアクション・アドベンチャーです。


…二本足で歩く犬『イヌヒト』と、
二本足で歩く猫『ネコヒト』が住む空中都市が舞台です。

この世界の機械の主要動力は「蒸気機関」を使用しており、
建物はレンガ造り、町から少し離れれば
ゆったりとした緑の草木が広がっております。



…こういった設定は、「人間の科学」「従来の自然」
折り合って共存している感じ (あくまで人間視点で見た場合ですけどね)
があるので、ゲームやアニメ・小説などの舞台として
よく使用されている気がします。

潜在的に求められているのでしょうねぇ。



…見方を変えると、
今の社会の移行スピードが人間の適応力より速すぎて、
ちょうど『18世紀中頃あたり』の蒸気社会 (?) が、
今の日本人がムリなく適応できる「本来の最先端」

という事なのかも知れませんね。




…とかゲーム以外の話で始まっちゃって申し訳ない。

『テイル〜』の批評でしたね、『テイル〜』。






…そう言えば、このゲームの企画者さんは
『宮崎駿』さんのアニメ作品が大好きみたいですね。


二本足で歩く犬を主人公にしてみたり、 (『名探偵ホームズ』)

空中に島が浮かんでいたり、 (『天空の城ラピュタ』)

世界を滅ぼす兵器が二本足で歩いて、
名前が「鉄巨神」
だったり、 (『風の谷のナウシカ』)

主人公の乗る二足歩行メカの「腕のデザイン」が
モロそれもん
だったり… (『天空の城ラピュタ』他)



僕は特に宮崎アニメのファンというわけではないので、
きっと他にも、ファンにしか分からない
濃いパロディが隠されている事でありましょうねぇ。


ほほほほほほほほほほほほほほほほほほ。




…何の話でしたっけ?

そうそう、『テイル〜』の批評ですよ批評。






■第二章 『ぽかぽか』


…当ゲームは、3Dゲームとしては非常に動きが滑らか
キーレスポンスも良く遊んでいて心地イイです。



ゲームの目的も簡単そのもので、
自分の今いるフィールド内を逃げ回っている仔猫たち (海賊の構成員)
直接、あるいは『泡ショット』を撃って動きを止めてから『捕獲』、

全員捕まえればOK
というものです。



「捕獲」と言いましても、日の光がホワホワと注ぐ青い空の下、
小っちゃな「仔猫」を追いかけて掴まえるという物ですから
緊張感のカケラもありません。

『やーい』とか『わーい』とか可愛い声で鳴きながら
愛らしい笑顔で走り回る2頭身の仔猫たち
追いかけ回す、保安官の主人公。


暖かい晴れた日に、公園でペットと戯 (たわむ) れているようで、
『ああ… もう、捕獲なんかどうでもイイや』
という穏かな心持ちになります。





全員捕獲すると、さっきまで仔猫の鳴き声であふれていた
フィールドが閑散としてしまい、
達成感よりも寂しさがこみ上げてきます。


変なゲームですね。






■第三章 『3D独自の難点』


…一方、こんなイイ感じの作品でも、
『3Dゲーム特有の難点』
を克服せずに終わってしまっているのは残念でした。



…具体例を挙げてみましょう。

例えば、当ゲームでは
『カメラ視点切り替えがオート』になっているのですが、
そのせいで移動中に刻々と視点・カメラ距離が変化して、
アクションで重要な「タイミング」や「ジャンプ先の目測」が
合わせづらくなるのには泣かされました。

しかも、『プレイヤーが視点を自由に変えられない』ため、
自分のすぐ近くにある重要な物に気付かず、
たまたま足を踏み外して落下するなどした際にソレを発見する
という場面が度々ありました。




…もちろん、コレらの難点は、
3Dゲームなら必ずついてまわる問題です。

でも、それならそれで、
『オートで変わるカメラ視点を前提としたマップ構成にする』
など、システムを考慮した対応策はあったはずです。


その点が残念でなりません。






■第四章 『イイ所 悪い所』


…では、それ以外に筆者が感じた、当ゲームの良し悪し
以下に列挙してみましょう。




『見せ場が多い』

…爽快なスピード感を見せる『炭鉱内のトロッコ乗り場』や、
圧倒的な広がりをもつ『エアリーフ小島群』など、
10ほどあるフィールドのそれぞれが
特徴ある見せ場を持っているため、心に残ります。

印象深い見せ場は、そのまま「ゲーム内の思い出」となるため、
プレイ後の充実感につながる大切な要素と言えるでしょう。




『しっかりしたチュートリアル』

最初の事件が、そのまま主人公の乗るメカの
「操縦訓練」を兼ねています。 親切ですね。

もっとも、操縦自体も簡単なものなのですが…




『「横ジャンプ」が成功しない』

…インターネット上でもよく見かけた感想なのですが、
敵の攻撃を回避する「横ジャンプ」全然成功しません。

これは恐らく、画面内の主人公が『正確に正面』を向いていないと
「横方向への入力」それと認識されないからではないでしょうか?


そうは言っても、
テレビ内の主人公の向いている方向を「正面」にしようとしている
『カメラ視点の動き』
はコンピュータが管理しており、
プレイヤーにはどうしようもない問題です。


ゲームシステムがプレイヤーの動きを
制限してしまう悪い例です。




『「腕ふりまわし」の説明が無い』

…敵のボスメカとの接近戦で重要になってくる
『腕ふりまわし』についての説明が、
マニュアルに書かれていませんでした。

これに気付かずに、最終ボスで何回死んだことか…

ネットでたまたま、やり方を見つけたから良かったようなものの… (泣)




『ボス戦がつらい』

…主人公のメカの攻撃力に対して、
敵のボスメカの耐久力高すぎるように思えます。

決して難しい攻撃をしてくるわけでは無いのですが、
「攻撃 ⇒ 逃げる」の単調なくりかえしで
何分も戦いつづけるのは苦痛です。


…上記の『横ジャンプ』がスンナリ成功し、
『腕ふりまわし』を最初から知っていれば、
あるいはプレイ感想も変わったかもしれませんが…

(後日調べたところ、猫メカから射出される各種『砲弾』をキャッチして
投げ返してやることで多大なダメージを与えられることが判明。
なるほど! ハイリスク・ハイリターンでいらっしゃいましたかステアたん。)





『ストーリーがちょっと…』

@ 最初に敵対する相手は、実は『真の黒幕』にダマされている。

A 真の黒幕が『世界を滅ぼす力』を手に入れる。

B でも、世界を滅ぼす力を『制御できなくなる』。

C 主人公が、それを『止める』。



…という、手垢つきまくりストーリーが、
ちょっと辛かったです。

子供向けのストレートな物語を目指したのかもしれませんが、
それにしても、どこかにもう一工夫がほしかったです。


最終ボスで苦労したわりには、
エンディングBGMも盛り上がらなくて肩透かしだったし。






■第五章 『総評』


…細かいパーツは丁寧ですが、
全体的なボリューム不足が気になりました。

ゲームとしては簡単なので、シナリオ方面に厚みが無いと、
プレイ後の印象が薄いのも道理というものです。




…個人的なことを言えば、
一見わがままそうな『テリア姫』が、実は結構思慮深くて、
最終局面でヒロイン (『テリア姫』にとっては恋のライバルなのですが)
助けに行こうか迷う主人公に、『彼女を助けに行くべきだ』と言って
寂しそうな笑顔で送り出す場面が涙モノだったりしましたね。



…あと、「海賊三姉妹」の、無口な次女『ステア』を見つけて
主人公の自宅 (おいおい)軟禁 (おいおい) した際に…

(すみません、書いててムカついてきました。
純情ヅラしたエロ主人公に一発ヤキ入れてきてイイすか?






















…お待たせしました。

主人公全機、「エアリーフ小島群」から墜落死させて、ちょっと気が晴れた。)




軟禁した際に、家の入口で

『男の人の部屋に入るのって、初めてですから…』

とか、うつむいて恥ずかしそうに言われたり、
一度外に出かけて戻ってみると自分の服が洗濯されていたりして、
もうココまでされてしまっては、微塵の迷いも無く、選択肢の
『他の海賊たちを捜すのはやめて、
2人幸せに暮らしていく』

を選んでしまった私ですよ。(←ありません)





…この作品を遊んで『獣人好き』になって、
人の道を踏み外した方もいらっしゃるのだろうなぁ、
とか思うと感慨深いですね。



僕ですか? 僕は大丈夫。

もう、『フェリシア』で踏み外してるから。 7年も前に。







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