スーパーファミコン用ソフト

『エリア88』

販売…カプコン      購入価格 2000円ぐらい




■第一章『版権もの』

『エリア88』(カプコン)は、同名の人気マンガを、
アーケード用に開発したシューティングゲームです。


同社の『版権もの』 (アニメ・マンガなどを
原作者から承諾を得てゲーム化したもの)
は、
当時からその高いクオリティに定評がありました。

ゲーム自体の出来の良さもさることながら、
随所に原作を意識した演出が光る
心憎い作りになっております。



…例えば、当ゲームでは敵機を撃墜した際に報奨金
(主人公は傭兵をやっております) が入金されるのですが、
これを元手に、基地内の武器商人である
『マッコイじいさん』から武器弾薬を購入して、
『司令官サキ』から下されるミッションに挑む、
という構成になっていたりします。



…ちなみに、プレイヤーが選択できる主人公は
『シン』 『ミッキー』 『グレッグ』 の3人なのですが、
実はこの3人、原作では「エリア88基地」における
敵機撃墜成績の上位3名だったりします。

開発スタッフの並々ならぬマニア心が光りますね。




…さて、そんな『エリア88』
初期のスーパーファミコン市場に
移植投入してきたカプコンなのですが、
悲しいかな、この機械はシューティングのような
大量のスプライト(キャラクタ)を動かすゲームを
苦手とするハード
でありました。


ですが、そこのところはさすが老舗大会社。

アーケード版のテイストを残しつつ、
大量のキャラが飛び交わなくてもすむシステムを持つ
新たな『エリア88』を生むに至ったのです。





■第二章『新生エリア88』


…「スーパーファミコン版」の「アーケード」版との
相違点は、大雑把に見て2個所あります。


1つは、『自機のショットの連射性がかなり落ちたこと』と、
それに伴って
『画面内に出てくる敵機の数も減らされている点』です。

この変更によって、
画面内の総スプライト数をグッと減らせるわけです。


ただ、そのために、アーケードで遊んだときのような
「大量に飛び交う敵やボスを、重装備の自機と
プレイヤーの連射でもって力でねじ伏せる」

といった豪快な力押しプレイができなくなり、
「非力な自機を適確にあやつって、正確に敵を撃墜する」
という緻密なプレイが求められるゲームに仕上がっています。


なお、それに合わせて、
ミッションの内容自体にも変更が加えられたり、
追加・削除される等のバランス調整
がなされています。




…もう1つの変更点は、
『連続して2回ダメージを受けると即死する』
というものです。

元々、『エリア88』「体力メーター制」を採用しており、
ザコ相手ならば8回激突できるほどの
耐久性を持っています。

ところが、スーパーファミコン版では、
ダメージを受けて機体が煙を吹いている
1秒間ほどの間に次の攻撃を食らう
と、
それまでの耐久力の残量に関係なく
撃墜されたことになってしまう
のです。

そのため、
敵がたむろしている所にウッカリ足を踏み入れて
瞬間的に撃墜されてしまう
、といった悲劇に
見舞われることも珍しくありません。


…ただ、それだけ聞くと厳しいルールのようですが、
『画面内に少数しか登場しない敵に対して、
常にプレイヤーに緊張感を維持させる』

という意味では実に秀逸なアイデアといえます。




…これらの変更点により、全体的に
シューティングとしての「爽快感」は減りましたが、
内容がより原作に近い「ストイックな雰囲気」になった

ことは『不幸中の幸い』と喜ぶべきなのでしょうか?



結果的に、アーケード版・スーファミ版は、
異なるテイストの作品として枝分かれしましたが、
それぞれが「シューティング」として
秀逸な出来に仕上がっており好感が持てます。


何より、同じ原案からスタートしていながら、
ハードによって異なるそれぞれの制約の中で
キッチリと面白い作品作りができる
企画者の方の努力には頭が下がります。

こういった企画者が増えていくことを
切に願う昨今です。




■第三章『オマケ』


…最後にオマケとして、SFC版での
「お薦め購入機体」をご紹介しましょう。


…最初に乗っている『クルーセイダー』の次は、
バランスの取れた火器積載量と足の速さを誇る『タイガーシャーク』を。

最後は、ホーミングミサイルの追尾をものともせず
上方攻撃のサブウェポンも充実した『ステルス・レイ』を購入しましょう。


…あとの機体は「帯に短くタスキに長い」ので、
今イチ使い勝手が良くありませんから。



…あと、余裕があれば原作のマンガもお読みになられてはいかがでしょう?

オリジナルであるコミックス全23巻は、
古本屋ならばまだ揃えることも可能でしょうし、
愛蔵版も存在するようです。

内容的にも「戦う男の生き様」が描かれており、
1960・70年代生まれの方のハートに響くかと存じます。

ただし、中盤〜ラスト前あたりは
主人公の『シン』が戦闘機に乗る場面が少ない
ので、
空戦を期待して読むとガッカリするかもしれませんね。

とは言え、全体的にはお薦めのマンガですので、お試しをー。



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