スーパーファミコン用ソフト

『ガイア幻想紀』


販売 ENIX (開発 クインテット)      プレイ時間 :「クリア3回」

購入価格 1280円            執筆日:2003年 5月8日





■第一章 『はじめに』


『ガイア幻想紀』(販売:ENIX 開発:クインテット)は、
アクションRPGです。


19世紀ごろの雰囲気をもった世界が舞台になっており、
主人公はちょっとした超能力(テレキネシス・クレヤボヤンスなど)
をもつ少年です。

探検隊隊長であった父が『バベルの塔』で消息を絶って1年。

突如、国王から、
「父の形見の『水晶の指輪』を持参するように」
との命令を受けたその日から、
主人公の数奇な冒険の日々が幕を開けるのでした。





■第二章 『システム』


…いかにもクインテット然としたアクションゲームになっています。


前作『ソウルブレイダー』から発展した点としては、

★『「スライディング」など、高さの要素に関わる攻撃手段が増えた』

★『主人公が3形態に変身、それぞれに異なった特技・技があり、
これを利用したアクションや謎解きが豊富に含まれている』


…といった所でしょうか?




…また、前作に比べて
全体的に『パズル性が高く』なっています。

行動の順番を考慮したり、
怪しい箇所を調べたり、
敵の特性を理解して効率の良い戦い方をしなければ勝てなかったり、
主人公をどこでどのタイプに変身させるかを考えないと進めなかったり…


前作より高い年齢層を対象としたゲーム内容になっている感じで、
「歯応え」という点では、今作のほうが上だと思います。

『スピーディな操作感』も健在で、アクションの心地良さは屈指です。





…ただ、一方で、

★『キャラが大きく、アニメーションが滑らかになった反面、
全体としてモッサリとしてメリハリに欠ける動きになった感じ』


★『当り判定がアバウトで、主人公の攻撃範囲が異様に広く、
適当に剣を振っているだけで敵に勝ててしまう』


★『ボス敵の思考が単純なため、
力押し的戦闘になりがちで勝利の喜びが薄い』


など、前作の「キレのあるアクション」を体験している者としては、
ちょっと物足りなく感じたりもしました。






■第三章 『ストーリー考察』


続いて、ストーリー考察を。

…と思ったのですが、
それぞれのパーツについて情報をまとめてみようと思います。
(ネタバレありなので未プレイの方は注意ね)


色んな事件が矢継ぎ早やに起こるため、
僕自身もシッカリ流れを掴めていかどうか自信が無いのです。

プレイしたことの無い人も、
以下を読んで、当ゲームの大体の流れを想像してくださいね。
(主観的にまとめているので、細部が違ってるかも知れません。
違ってたらゴメンして。)



主人公
『テム』

…エドワード王国に住む少年で、本作の主人公。
ちょっとした念動力テレパシーが使える。

 1年前、父の指揮する探検隊に同行し『バベルの塔』へ入り込むが、不慮の事故から主人公以外の全員が行方不明となる。

 愛用の笛から聞こえてきた『父の声』に導かれて、世界中の遺跡に散らばっている土偶『ミステリードール』を集める旅に出る。


…主人公の正体は、古代人が彗星を破壊するために作りだした生物兵器で、『カレン』と心を1つにすることで
『対彗星兵器ファイヤーバード』として完成する。

 どうして、普通の人間として生活できていたかは不明。

 何度でも生まれ変わって今に至る、という事なのだろうか?

ヒロイン
『カレン』

エドワード国王の娘。
最近の国王の横暴ぶりに反発して家出。
 『テム』と行動を共にする。

後半、主人公と恋仲に。
 主人公と心を1つにすることで『ファイヤーバード』になる。
『バロム1』『ウルトラマンA』のような生物兵器といえる。


恋仲にならなかったら地球はどうなっていただろうか?
と考えると背筋が凍る。

『国王』
…主人公の持つ『水晶の指輪』の力を手に入れようと企む王様。
指輪の力の実態については全然知らない。

 主人公の最初の敵であり、しかも『カレン』の父親という重要で因縁的な役どころの割には、最初にちょっと出てくるだけで、
以降、一切登場しない。

『ペギー』
…『カレン』の飼っているペットの豚。
ただ、いつも一緒に行動しているわけではない。


 「人食い人種の村」に入る少し前に、久々に主人公たちと合流…

…したと思ったら、直後に、人食い人種に捕まった主人公たちを
助けるため自ら火の中に飛び込み、焼き豚になるという
壮絶な(かつ都合良すぎる)最期をむかえる。

『リリィ』
…花の妖精とも呼ばれる「イトリー族」の少女。
タンポポの綿毛に変身して空を飛べる。

 『カレン』とは、主人公を奪い合う恋のライバルだったが、
中盤で唐突に『ロブ』と付き合うことになる。
 前日まで主人公にベッタリだったのに、ロブに告白された翌日、
『私も、ずっとロブの事が…』と答えている。


 女性心理の難解さが垣間見られ背筋が凍る。

『ロブ』
…主人公の友人で、一本気な元気少年。
 バベルの塔で行方不明になった探検隊員には、彼のも含まれていた。

…旅の途中の村で、一命は取りとめたが恐怖の余り幼児退行して
しまった父親と、偶然に再会。 リリィと共にその村に残り、父親の世話をしていく事を決意、主人公たちと別れる。

『モリス』
…物語の初期に、主人公たちと渡海中、いきなり海の荒くれ魚
「リバイアサン」
に船を襲われ行方不明に。


…で、中盤になって、なぜか
「リバイアサン」に生まれ変わって再登場。

 主人公たちにモールス信号(水中の岩壁への体当たりによって発信)で、自分がリバイアサンになってしまった事を告げ、どこかに去る。

『主人公の父』
『バベルの塔』で行方不明になった、探検隊隊長。
 たまに、主人公の笛にはまっている『水晶の指輪』を通して、
主人公に助言してくれる。

 彗星の光の影響で人魂になってしまっているが、本人は
『この姿になったときから、あらゆる物事が分かるようになった』
と言っているので、実はけっこう喜んでいるのかもしれない。

『ガイア様』
「冒険の記録」「体力回復」をしてくれる意思体。
いわば地球自身で、主人公に彗星の破壊を頼む。

 地球も、『邪進化』イヤだったらしい。

『イシタル』
…肖像画を描いた相手を、絵の中に封じてしまう能力がある。

 彗星の光によって永遠の命を手に入れたが、そのせいで退屈でしょうがなくなった人たちが、彼に頼んで人生の終止符を打って
もらっていたらしい。

 最期は自分自身を描いて、人生の幕を下ろす。

『フリーダン』
『シャドウ』

…ゲーム中盤〜終盤にかけて、主人公が変身できる形態。

 前者は「攻撃力が高く」、
後者は「それプラス、床をすり抜ける移動が可能」になる。

なぜ主人公が変身できるかは今イチ不明。
 『生物兵器の能力の1つ』と言われればそうかもしれないが、
ならば、最初から変身して戦ったほうがなのでは?

『バベルの塔』
…主人公の父親たちが行方不明になった遺跡。
中では恐ろしいスピードで時間が流れているらしい。

 そのため、中にいる生物の進化は一気に進み、主人公の父は
人魂のような姿(最終進化)にまで行き着いた。

『彗星』
…古代人によって作られた、『進化スピード増幅装置』。
 一定周期ごとに地球に接近し「彗星の光」を地球に注いで、
生物たちの進化を促進・管理している。

 だが、彗星によって管理される進化は、本来のそれとは異なる
『邪進化』であり、これを破壊して生物本来の進化に戻すことが、
主人公の役目である。

 ちなみに、「彗星の光」を浴びつづけると、例えば人間なら天使のような姿を経て、最終的には魂だけの存在(人魂のような姿)になる。
 『モリス』リバイアサンになったのも、光の影響らしいが…

 結局、光に当たるのがいい事なのか悪い事なのか、
よく分からないんですけど。

『水晶の指輪』
『ミステリードール 6体』

…主人公とカレンが、『ファイヤーバード』になるために必要。

 さっさと発動させて彗星をブチ壊せば全ては丸く収まる
のに、そうなるまでにやたらと手間がかかる設計になっている。

 緊急の有事に対処できなければ全てはムダなのに、間に余計なステップを設けるあたり、古代人の危機管理意識の低さがうかがい知れる。

 自●衛隊を管理する内閣みたいなもん? ←社会派発言








■第四章 『まとめ』


…と、色んなことがありますが、
とにかく唐突に事件になって、
主人公がそれに振り回されているような印象を受けます。


また、
『カレンのペットのペギー、自ら焼き豚に』
『モリス、リバイアサンとして復活』
『お父さん、人魂に』
等々、
かなり衝撃的な場面を見ているはずなのに、
あまり旅の思い出が残りませんでした。


これは、
『それに関わる人物の性格や舞台背景がプレイヤーの
心に染みいる前に、事件を起こしてしまっている』

のが原因だと思います。



…例えば『焼き豚事件』について見ると、
『ペギー』との思い出がほとんど無い状態なので
(早い時期に別れて、「人食い人種の村」あたりで
再会するまでは、まったくの別行動となっている。)

悲しみが希薄なのも当然です。


『リバイアサン事件』においても同様で、僕の場合、
モールス信号が『モリス』からのものだと判明したとき、
誰のことか分からずマニュアルを読み直したほどです。
(彼が行方不明になってから、けっこう時間が経っていたし…)




…たしかに『仲間が死ぬ』という展開は、
簡単にプレイヤーの涙を誘えます。

主人公(プレイヤー)の、目的達成への
使命感を増させる効果も期待できるでしょう。



しかし、「人の死」の衝撃
その相手との関係の深さに比例するもの。


シナリオライターの方にも、
それを考慮した物語作りを心がけてほしいです。






…さて、ストーリーの総評としては、

『奇抜な事件は次々と起こるしバリエーションもあるが、
それぞれの深みや互いの関連がスカスカなので心に残りにくい』


『物語が複雑で壮大になりすぎてしまい、
シナリオライターの手に余ってしまっている感じ』


の2点を強く感じました。






…最後にゲームとしての評価を。

ストーリーが所々ですが、
アクションRPGとしては十分楽しく遊べる出来です。

アクション難度が低く、パズル性が高いので、
適度に頭を使うゲームが好きな人向きだと思います。



同社の「アクションRPGシリーズ 三部作」2作目
全体の中間に位置するゲームなので、
システム発展の流れを知る上でプレイしてみるのもイイかも。


中ぐらいお薦めー。




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