スーパーファミコンソフト

『カコマナイト』

販売…データム・ポリスター        購入価格 280円




■第1章 『異母兄弟』


…古くからアーケードゲームに親しんできた方であれば、
『QIX』(タイトー) という作品には
聞き覚えがあることでしょう。


古くからある遊び「陣取り」を基盤としたこの作品は、
同社の実力企画者「MTJ氏」の手によって
『ヴォルフィード』なる作品として
リニューアルされたことがあります。


『QIX』から「スパーク」(主人公を安全地帯から強制的に離脱させる敵)
という要素を外し、逆に「タイムリミット制」にすることで、
腰をすえて戦略を練る余裕をプレイヤーに与えつつ、一方で
安全地帯にいつづける事がプレイヤー自身の首をしめる
環境をスンナリ作り上げた手腕には頭が下がります。



…不思議な事ですが、今回ご紹介する『カコマナイト』、
なぜか『QIX』そっくりなのです。

『ヴォルフィード』ではなく『QIX』に。



古い作品という事で、タイトーが著作権
(ゲームの場合、明確な物ではありませんが)
を開放したのでしょうか ?

詳細は不明ですが、とにかく、
考えようによっては『カコマナイト』
『ヴォルフィード』の異母兄弟とも言える存在なのです。


異なる母親(企画者)によって生み出された
続編『カコマナイト』は、
『ヴォルフィード』を越えたのでしょうか ?


今宵、あなたは歴史の証人となる ! !  うそ





■第二章 『判決』


…まず、ゲームを始めてみますと
「タイム制限」がありません。

そして、『スパーク』がいます。

本作は、『ヴォルフィード』より
むしろ『QIX』に近いゲーム形態
なっていることがここから見て取れますね。



…それにしても改めて対峙してみると、
本当にイヤなやつですね、『スパーク』



ちょっと想像してほしいのですが、
100メートル走の円形トラックの中に
「最低2人・最高5〜6人」の小学生が
常に走っている状態で、アナタが彼らに触れるとアウト。

で、彼らが近付いてきた時はトラックから離れればOKだけど、
その時、近くに浮遊する敵がいたら
問答無用でアウトだとしたら。


どうです ?


随分と厳しいプレイ状況
想像できるのではないでしょうか ?



その浮遊する敵が『弾』とか撃ってきたらどうしますか ?

しかも当たっちゃダメなのはアナタ本人だけではなく、
なんと「自分の通ってきた道筋自体」も含むとしたら…



これはもはやゲームではなく、ただの『苦行』ですね。



それが『QIX』であり『カコマナイト』なのです。




『QIX』15年以上昔の作品ですから
100歩譲って見逃すとしても、
『カコマナイト』は許せません。


このゲームの製作者の辞書に
『工夫』の文字は無いのでしょうか ?


いや、それどころか…


まさかとは思いますが、この製作者…

『ヴォルフィード』様
存在を知らないのではないでしょうか ?



いや、まさか まさか まさか…




…しかし、考えてみればつじつまが合いますよね。

知ってれば、こんな工夫のかけらも見当たらない
旧作そのままのヘボいシステムのゲームを
真顔で商品化できるはずがありません
もの。



そうですとも、これは不可抗力なのです。

この製作者に悪気は無かったのですよ。



ただ、ただちょっと…


かなり…



勉強不足だったことは否めませんが…




…ちなみに当ゲーム、プレイヤーの陣の取り方によって
『1ステージに1枚』魔法鏡が手に入ります。

で、『18ステージで16枚』集めれば、
囚われのを助け出すことが出来ます。



えぇっ、18面で16個集めるの ?」 厳しいなぁ…

…と、腰が退けた皆さん。 大丈夫です。



製作者もその点に開発中に気付いたらしく、
最終ステージあたりで敵の大ボスが、
『残りの鏡は全て私が持っているっ。』
とか鼻息荒く言い放ちますから。



今まで必死に鏡を集めたのは
無意味 小手調べだったわけですね。



とは言え、鏡を集め損なった方には朗報です。
偉いぜ、製作者。 ビバ後付け。




…でも、ルールは変更したものの
「マニュアルの直し」間に合わなかったらしく…

『魔法鏡』の説明文が
「全部集めないとお姫様が元に戻らない」
のままになってるのが涙を誘いますね。


ご愁傷様です。




…結論。 『カコマナイト』『ヴォルフィード』
越えるどころか、先祖返りした。



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