スーパーファミコン用ソフト


『コズモギャング・ザ・ビデオ』


販売:ナムコ         プレイ時間 :「クリア10回ほど」

購入価格:980円        執筆日:2003年 8月19日





■第一章 『ギャ』


『コズモギャング・ザ・ビデオ』(ナムコ)は、
同社『ギャプラス』の流れをくむ
固定画面シューティングゲームです。


「なんで今さら固定画面?」
いぶかしく思う人もいるでしょう。

でも、このゲームの企画者が、
あの『見城こうじ氏』と知れば、
納得される方もいらっしゃるのでは?


往年の名作ゲームに造詣の深い氏の、
『固定画面でも、これだけ遊べるんですよ』
という声が聞こえてきそうな作りになっています。



…ちなみに、
『ギャラクシャン』を筆頭とする『ギャ』シリーズ
スクロールを取り入れたのは、唯一『ギャラガ88』だけです。

が、ステージ間に敵の出現の少ないエリアを設けて、
そこをスクロールさせていく『箸休め』的意味合いが強く、
今イチ成功しているとは思えません。






■第二章 『良い点』


…では、当作品について気付いた事を列挙してみましょう。




『コミカルに統一』

…コミカルな「エレメカ」が元祖であるためか?

それとも、シューティングゲームの
ハードなイメージを払拭しようとしたためか?

『コズモ〜』は、ゲーム全体を
見事なまでのコミカル路線で統一しています。


当作品の直接の原作と考えられる『ギャプラス』
システムをキッチリと継承していながら、
『グラフィックと効果音を変えるだけで
これほどに印象が変わるものか?!』

と、愕然とせずにはいられない様々なアレンジで
ゲームの印象を一変させています。


ちょっと狙いすぎの感のある部分もありますが、
この徹底した姿勢は素晴らしいです。




『飽きさせない工夫の数々』

『固定画面ゲーム』の弱点は、その、
見た目の変化の少なさによる新鮮味の無さです。

後ろで見ているギャラリーにとっても、
分かっている人間以外には、
ステージの違いなど「間違い探し」に等しいです。

そのため、長時間見学したり、
『次は自分が…』という気持ちには
なかなかなれないのではないでしょうか?(特に昨今は)


そこら辺を考慮してか、
『コズモ〜』には様々な視覚的変化がほどこされています。




…まず気付くのが、『背景の多彩さ』

何しろ、「全24ステージ+ボーナスステージ」
背景が全て異なるという凝り様。

よくまあROMカセットに収まったものだと感心します。




…次に、『敵キャラの多彩さ』

従来の同シリーズの敵のほとんどが、
『飛来 ⇒ 爆弾投下』という流れになっています。

が、『コズモ〜』では
「遠くからレーザーを撃ってくる」
「付近に爆弾をバラまく」
「出てきて撃たれるだけ。 ただし、その後ろの敵が
撃てないため、早く処理しないと厄介な事になる」

などの様々な敵性能が組み合わさります。

そのため、『従来+α』の攻略が求められ、
同時に「楽しみ」にも新たな幅ができています。




…そして、『出現の多彩さ』

『出現後、編隊を組み、一定時間の後に攻撃開始』
という基本は受け継いでいますが、
その過程の多彩さはシリーズ随一です。

「整列後もどんどんザコが追加される」
「いきなり全員が出現して、数秒で整列を完了する」
「1ステージ内で、数回の編隊整列が起こる」
など、
『敵の出現タイミング』と『内容』を組み合わせて
様々なステージを見せてくれます。


また、ザコが次々と補充される場面は、固定画面でありながら
『スクロールシューティング』に近いプレイ感覚
があり、
『スクロール型といっても、所詮は
固定画面シューティングの背景を
次々流しているものが基本なのだ』

という事を思い出させてくれます。

(ちなみに、画面外からではなく「画面の中ほど」から敵が出現する際の
違和感を回避する演出として、『空に、紙を破いたような穴が開いて、
その裏側から敵が出現する』
というものがあります。
ОVA『トップをねらえ』などでも使用されていたアイデアですね。)





『「ギャ」シリーズの改良』

…シリーズを継承するに留まらず、
シリーズの持つ『弱点』
キッチリ改良している点にも注目です。

見城氏らしいこだわりが随所に見られます。



…まず、『落ちてきたアイテムが、
すぐにスクロールアウトせず、
3回までは画面下部で跳ね上がる』
という点。


無理にアイテムを取りに行ってミスした経験は、
シューティングを遊んだ者なら、皆一度はあるはず。

それを回避しつつ、かつ、
プレイヤーを甘やかしすぎない
秀逸なアレンジが、このアイディアです。



…次に、『画面端で、さらに外に向かって
移動しようとすると、当り判定ごと縮む自機』


敵弾を避け続けた果てに
画面端に追い詰められることの多い『ギャ』シリーズで、
それでも少しでも死亡率を減らそうとした
作り手の心遣いが感じられます。



…そして、『Pアイテムによる基本点の倍増』によって、
機数をつぎ込むのではなく、
1機1機のプレイを大切にしたプレイヤーが報われる
システムになっています。






■第三章 『重箱の隅』


…実に丁寧な作品なのですが、
ちょっとだけ難点を挙げてみようと思います。

それは、『ボーナスステージの割合』


ボーナスステージは簡単な内容で
たしかに『息抜き』には良いのですが、
エンディングに辿り着くまでに『5回』も遊ばなければならず、
さすがに後半になると飽きてしまいます

ボーナスステージの代わりに、『中ボス』をはさみ、
「ボーナス」⇒「中ボス」⇒「ボーナス」⇒
「中ボス」⇒「ボーナス」⇒「最終ボス」

という流れにしてみはいかがでしょう?



…あと、ショットの「単発時」と「ダブル時」で、
当たりやすさに大きな差がある
ので
ミスしてしばらくは戦いづらくてイライラします。

従来の「単発時」でも『2本のショットを並行』させて、
一方で『2本のショットの間隔を狭める』ようにして
バランスを調整すれば、基本能力に戻ってしまった時の
ガックリ感も軽減
すると思うのです。





…と、重箱の隅をつついてみましたが、
全体としては本当に手ざわりの良い秀作です。

中古ショップで1000円ぐらいで売られている事もありますし、
過去の秀作ゲームをそろえているゲーセンで
オリジナルのアーケード版に出会える可能性もあります。

僕も2002年に、板橋区の大山にある小さなゲーセン
たまたま再会したりしましたし。


…あなたも、ぜひ体験して下さいねー。




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