スーパーファミコン用ソフト

『ザ・ファイヤーメン』

販売…HUMAN     購入価格 1000円



■第一章『め組の人』

『ザ・ファイヤーメン』は、今は亡き「HUMAN社」販売のゲームです。

「ファイヤーメン」とは 放火魔 消防隊員のことで、
当作品の主人公たちです。

ビル火災担当の消防隊員を題材としたゲーム、と聞くと
堅苦しく悲壮なゲーム内容を想像しがちですが、
実際はたいへんに爽快なアクションに仕上がっています。

主人公は「遠距離一点集中」「近距離拡散」
2タイプの消化液を使い分けて火災を鎮火させつつ、ビル内部を進みます。

相棒の「ダニエル」は、付近の炎の状態を見て、
オートで主人公の消火活動をサポートしてくれます。


…話だけ聞くと「火災鎮火ゲーム」に感じられるかもしれませんが、
「消化液」を『自機のショット』、
「炎」を『敵』、
「ダニエル」を『護衛機』
と考えれば、
当作品が『任意スクロールシューティングゲーム』
であることに気が付くでしょう。

セガ社の『エイリアン・シンドローム』の敵が「炎」に変わったゲーム、
と表現すればご理解いただけるでしょうか?



■第二章『良質アクションゲーム』

…当ゲームは、同種のシステムを持つゲームと比較してたとき、
一歩抜きん出た丁寧な作りが随所に見られる優良ゲームです。

新しい敵やトラップが登場する場所では必ず、
それを説明するちょっとしたイベントが発生し、
プレイヤーに今後の注意を促(うなが)すようになっています。

そのため、いきなり見たことも無いトラップで大ダメージを被る
という不条理さがほとんど見られません。


…現在いる区画内の炎の塊をすべて消さないと、
火が燃えさかる「ゴォ〜ゴォ〜」という効果音が消えないので、
ついつい気になって全部消そうと駆け回ってしまいます。

燃えさかっていた炎が全て鎮火して室内に静寂が戻るのは、
妙に達成感がありクセになります。

アイテムなどの配置も絶妙で、
ついつい繰り返して遊びたくなるバランスの良さも秀逸です。



■第三章『あえて難点を…』

…で、当ゲームの難点についても触れてみようと思っ… たのですが、
すいません。 これといって見当たらないのです。

難点が無いわけではないのですが、それは当作品に限ったことではなく、
同じシステム(「斜め見下ろし型任意スクロールアクション」)のゲームなら
もれなく持ち合わせている弱点
なので、当作品のみを引き合いに出して
それを指摘するのは筋違いだと思うのです。


…でも、なんと言いますか、全ての要素を及第点以上でキッチリ持ち合わせた
「優等生ゲーム」というか「死角無き85点ゲーム」というか…

あまりにもまとまりすぎていて、
逆にそれが当作品の印象を薄めてしまっている
ようにすら
感じられてしまうのは私の気のせいでしょうか?

あと少し「毒」「華」があれば、
より多くの人の目に触れる作品になったのでは?
…とも思えて仕方ありません。


こういった感想を抱く自分に、
「見事に整った物よりも微妙にゆがんだ物を好む人間の心の真理」
のようなものを垣間見た思いです。


…間違いなくイイ作品なんですけど、ね。



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