スーパーファミコン用ソフト

『スーパー R-TYPE』

販売…アイレム       購入価格 5000円

執筆日:2002年 5月31日





■第一章『名移植たち』


スーパーファミコン黎明期には、
まだまだ一部のユーザーのシューティングゲーム熱は健在で、
アーケードで人気のシューティングゲームがいくつか
大手メーカーから移植されたものです。


大量のスプライト (キャラクタを表示する機能) を
同時に動かすのが苦手なスーパーファミコンでは
『そのままバッチリ移植』というわけにはいかないため、
各メーカーが知恵と技術を駆使して
『名移植』に挑んだものでした。




…今回ご紹介する『スーパー R−TYPE』(アイレム) も、
そんな名移植に数えられる作品の1つです。

基本的には、同社のアーケード版『R−TYPE U』
基盤としてますが、部分的にオリジナルステージ
(恐らくは、スプライトの制約で表現できなかったためでしょう)
追加・差し換えしたステージ構成になっています。



アーケード版では10艦ほどの中型艦と渡り合うステージが、
巨大戦艦との一騎討ちステージに変わっていたりと、
オリジナルを知っている者にとっては
色々複雑な思いがわいてくるものがありますが、
全体的には、なかなかいいゲームに仕上がっています。





…当作品は、僕が初めてオールクリアできた
思い出深い『R−TYPE』なのですが、
そんな個人的な感傷を抜きにしても、よく練られており、
難易度もまあまあ手ごろ (高難度ですが) なゲームだと思います。


以下に、
「そもそも『R−TYPE』とはどういうゲームか」
という解説も交えて、当作品の紹介をいたしますので、
『「R−TYPE」なんか知らなーい』とおっしゃるヤングメン
どうぞ、ごゆるりとお読み下さりませー。





■第二章『R−TYPEとは?』

『R−TYPE』は、横スクロールシューティングゲームです。

パワーアップアイテムを取ることで、
自機のショットが3種類に変化・強化されます。



…特徴は、『フォース』という護衛機を駆使して戦う点です。

この「フォース」なる護衛機。 なんと…
『あらゆる敵・攻撃に対して無敵』
(ただし、貫通性のあるものを除く)
であり、着脱ボタンを押すたびに
『自機にドッキングする』
『自機から一定距離を保つように浮遊する』

2通りの動きをもたせることができるのです。




「フォース」敵にぶつけてダメージを与えたり、
陰に隠れて防壁がわりにすることもできます。


つまり、「安全地帯」を持ち歩くことが出来る
シューティングゲーム
なわけですね。





…アイテムで攻撃力がパワーアップするのは「フォース」だけなので、
できれば常に自機に装着して進みたいところですが…

地形の上下にへばり付いている敵や、
弱点が本体の奥深くに埋まってしまっているボスなど、
自機のショットが届かない相手に対しては、どうしても
「フォース」を切り離して相手をさせる必要が出てきます。


…また、「フォース」がカバーできるのは、
自機の前か後ろのいずれか一方だけなので、
敵の位置によっては一度切り離して
装着しなおさなければならない場面
も多く、
そこに、『R−TYPE』独自の戦法が生まれてくるわけです。

(当然、このシステムを考慮した敵・地形配置がなされているからこそ、
「フォース」の魅力は引き立つわけですが…)






…なお、自機の通常ショットは貧弱そのものですが、
破壊力バツグンの『波動砲』を撃つことができます。


ただし、「2秒弱のタメ」が必要で、その間の隙を
いかに「フォース」で補うかが戦略の要(かなめ)であり、
当シリーズの面白さのキモと言えます。





…以上の基本ルールによって成り立つ『R−TYPE』ですが、
実はもう1つ、これぞ『R−TYPE』と呼ぶに相応しい
「シリーズを一貫した作りの特徴」があるのです。

次の章では、そこらへんを説明していこうかと思います。





■第三章『パターンゲーム』


『R−TYPE』(と言うより、「アイレム製」のゲーム全般)
共通して持つ特徴。


それは、
『パターンゲーム』の色が非常に濃い
という点です。



「パターンゲーム」とは、
ゲームの流れ(例えば「敵の出現・攻撃など」) が、
プレイヤーのとった行動によって
一切変化しないゲームのことです。

(逆の例を挙げると、往年の名作『ゼビウス』のザコ達は、
主人公のいる位置からなるべく離れた場所に
逃げるように出現しようとします。)





…もちろん、『R−TYPE』に限らず、昨今のシューティングは
大方「パターンゲーム」と呼んでも過言ではないでしょう。


ただ、「アイレム」のパターンゲームは
『パターンを憶えていないと太刀打ちできない』
という点で突出してるのです。

(「パターン」とは、『地形や、敵の出現・攻撃方法、
あるいはパワーアップアイテムの配置』といった、
「ステージの情報」のことです。

当然、そのゲームを始めたばかりのプレイヤーは
パターンを一切知りません。 何度もプレイしたり、
雑誌などで情報を仕入れることで憶えるわけですね。)




…だから、
『なんで、こんな所でこの敵が出てくるんだろう?』
と、首をかしげつつ放ったらかしていたら、
後から追加されてきた別のザコとの連携プレー
大苦戦を強いられた…

といった事態も、しばしば発生するのです。





…ちなみに、『パターンゲーム』の功罪については
昔から賛否両論が言われてきたのですが、
同社のゲームのみに関して言わせてもらえば…


『緻密さを要求するあまり、爽快感が味わいづらい』

『最良のパターンに辿り着くと、それ以上は上達しないので、
プレイが作業的になってしまう』

『パターンを憶える事でゲームが簡単になるのではなく、
憶えた事でやっと適度な難易度になるため、
憶えられない者にとっては手のほどこしようが全く無い』



…という難点がある一方、

『練りに練られた敵配置は、シューティングというより、
むしろアクションパズルゲームと割り切って遊ぶと、
非常に評価が高く感じられる』
こともあり、
良し悪しの結論を出すのは難しいです。



爽快感を求めるプレイヤーは
他社のシューティングゲームで遊べばイイわけですし、
『シューティングという形態だから、
爽快感が無ければダメだ』

という結論は、ちょっと早急で短絡的だと思います。


他社の中途半端なパターンゲームは
「ただの手抜き」としか思えませんが、
アイレムのそれはパターン性を突きつめることで
「上質のパズル」としての魅力を持つに至った…

そう考えることは出来ないでしょうか。




…ちょっと横道にそれましたね。 失礼。

では、そんな『R−TYPE』の血筋である
『スーパー R−TYPE』の評価に入るとしましょう。





■第四章『そして、スーパー』


…まず、全体としての出来ですが、
これは間違いなく『R−TYPE』です。

いい意味で。



…同社お得意の「岩のような質感」を持った緻密なグラフィックと、
スーファミ特有のまったりした音色が奏でる
重厚なBGMとが組み合わさって、
独特の『荘厳な雰囲気』を醸(かも)し出しています。


少しずつ進んでは死に、死んでは進みしながら「突破法」を考える
パズル性の高いステージ構成もそのままで、
実に、攻略のしがいがあります。



気になる難易度の高さも、
コンフィグ設定を『キッズモード』にすることで
「死んでも装備が無くならない」という、
これ以上は無いほどの救済措置が施されているので超安心です。





ただ…

ただ、1つだけ非常に困った変更がなされているのです。


これ1つで、このゲームの印象が
大きく様変わりするほどの重要な変更が…




…それは、

『一度やられると、無条件に
ステージの最初の地点からやり直しになってしまう』


…という点です。



…確かにこうすれば、
途中の復活地点からのやり直しではないので
『パワーアップアイテムが取れずに、敵に力負けする』
という悔しい事態は無くなるでしょう。


が、そうは言っても、1つ1つのステージはけっこう長く、
ボスに辿り着くまでの時間だけでも
かるく2〜3分はかかってしまうのです。

前半で死んでしまった時のやり直しならまだしも、
後半、あるいはボス戦で死んでしまったときの絶望感は、
言葉では言い表せられません。




…たとえパワーアップが無くても、
その付近の復活地点から再スタートしてくれれば、
突破できないまでも、敵の配置や地形を覚えて
次回のプレイに役立てることができます。


なのに、いちいちステージの最初まで引き戻されていては、
時間を喰うわりに上達もしづらく、
回を重ねるごとにプレイが億劫になってしまいます。




『パターンゲームとしてのシステムを、
トコトンまで追究した結果』
なのか…

『単に開発時間が足りなくて、
復活地点を設定してパランスをとる余裕が無かった』
のか…




いずれにしろ、せっかく作り込まれたゲーム内容が、
この1点のせいでたいへんに遊びづらくなって
しまっている事実に変わりはありません。


なんと言うか、非常に残念です。


基本がいいゲームなだけに、実に実に残念なのです。





…この批評をお読みになった方で、
この難点に『耐えられる』という方は、
ぜひ当ゲームを購入して遊んで見てください。

作りの丁寧さは保証します。


スーパーファミコン黎明期の、
メーカーの根性を感じてあげて下さい。

4649〜。 以上。




戻る