スーパーファミコン用


『ドラッキーの
パズルツアー’94』



開発: イマジニアズーム

プレイ時間 : 3時間ほど

購入価格: 300円

執筆日: 2006年 09月21日





■第一章 『匠』


『ドラッキーのパズルツアー’94』は、対戦パズルアクションです。


画面上方からゆっくり流れてくる『3色のカラーブロック』に対して、
画面最下段から同じく『3種類のブロック』を切り替えてガンガン撃ち上げ、
同じ色のブロックを5つ以上隣接させて破壊します。


撃ち出す玉の色を自在に変えられる『マジカルドロップ』(データイースト)
と例えるのは、少々乱暴ですか?



間に混ざるお邪魔パーツ『石のブロック』は、
そのそばでカラーブロックを破壊すれば道づれになって消滅します。

一画面中に4発まで撃ち出せるブロックには、
シューティングパズル『クォース』(コナミ)に似た心地良さがあります。



まれに混じってくる『アイテムボックス』
「石のブロック」と同様の方法で消して、
相手に様々な嫌がらせ効果を発揮することもできます。







■第二章 『良し… 悪し!』


では、良し悪しの列挙をば。



『全体のまとめ方の上手さ』

「背景に対する手前のキャラの目立たせ方」など、
このゲームの画面作りには、センス慣れ をヒシヒシと感じます。

それもそのはずで、製作元の「イマジニアズーム」の
前身である『ズーム』という会社は、
かつてシャープ製パソコン X68000 を中心に、
数々の良質なシューティングやアクション
生み出したメーカーなのです。

さもありなん、て感じですね。

(…で、よかったよな? と自分の記憶が心配になってズーム社の
ホームページに行って確認したら合ってました。 良かた良かた。
…つか、『蚊』てズーム製だったのっっ?? 驚愕の事実。)





『縦メインの展開』

ブロックを縦にしか撃ち出せないので、
自然と縦メインの並びばかりになり、
『並べ方のバリエーションが少なく』なります。

頭よりも反射神経だけに頼った展開になりがちで、
それがそのまま単調さにつながっています。




『出現ブロックの少なさ』

上記の感想を抱く理由の1つに、
『画面内のブロックの出現頻度が、フィールド面積に対して
3分の1程度しか無いこと』
が挙げられます。

土台となるべき横長の地形ができづらいため、
結果的に「縦」ばかりに並べる展開に陥ります。

「5つ隣接させれば消滅」というルールと
「3色しかないブロック」の関係から、
必然、隙間を空けたブロック出現を余儀なくされるわけです。

(もし、3色のブロックが画面内に隙間無く並んで出てくると、
ちょっとブロックを撃ち出すだけで
一度に大量のブロック破壊が達成できてしまう。)



「ならば、ブロックカラーを5色などに増やせばいい」
おっしゃる方もいるでしょうが、5色ものブロックカラーを
いちいちボタンを押して切り替えるプレイヤーの身になれば、
あまりに酷な仕様 だと気づくはず。

『ブロック種類の数のジレンマ』です。




『ブロック形状の問題』

「縦メインの展開」に陥るもう1つの理由に、
『横長の形状のブロックが無い』点が挙げられます。

普通のブロックはすべて「最小の正方形」。 横への絡みは皆無です。


唯一の横幅を持つキャラは、なんと『巨大おじゃまブロック』

相手が大きな破壊を起こすまで、
こちらも大きな破壊が狙えない
とは、なんたるヤキモキ感。




『撃ち出しによる破壊の制限』

例えば『クォース』(コナミ)では、条件がそろって
「破壊アニメーション動作」に入った「ブロックの塊」には、
追加のブロックを撃ち込んでも、すべて消滅して
無効となる
ようになっています。

対して『ドラッキー〜』では、追加分のブロックは
「破壊中のブロック塊」の手前の空中に止まって、
そのまま溜まってしまいます。

つまり、5個あればイイところに7個撃ち出してしまうと、
空中に余分の2個が溜まってしまい、新たに3個の
ブロック打ち出しの手間が生まれてしまうのです。

当ゲームのルールの1つに、足場の無い空中のブロックに対して
「同じ色のブロック」を撃ってぶつけたときに限り、
『撃たれたブロックが、1つ分上に押し戻される』というものがあります。

思うにこれは、上記の「撃ちミス」に対する回避策として
後付けされたルールではないでしょうか?
だとしたら、何ともドロ縄な感じです。


しかもこのルールのせいで、
空中にある同色のブロックを5つ以上隣接させるとき、
『後ろにズレる分も考慮する必要』が生まれます。

ブロックの数を常に把握しておかなくてはならないため、
プレイが息苦しくてたまりません。




『追い詰められる』

このゲーム、画面の構成上、
縦には 12個 ぐらいしかブロックが並べられません。

これを聞いてピンと来た方は、かなりの実力者とお見受けします。

そうです。 もし、周りに足場が無い状態で
画面の真ん中より下あたりまで「石ブロック」や
「後ろに別ブロックをしたがえたカラーブロック」が降りてきたら、
もうそれを破壊するのは不可能なのです。

『縦に同色ブロックを5個並べるスペースが無い』のですから。


「大きな破壊を狙って待っていたら、
土台にできる部分が足りなくてゲームオーバー」

という事態を防ぐには、出てくるものを
片っぱしから壊すしかありません。
それだけやっても死ぬときは死にます。

僕自身、画面中央より下に降りてきた「石ブロック」の両側に
一切足場が無い
という悪夢のような事態に直面したことがあります。

死神の着地を、ただ指をくわえて見ているしかない絶望感を、君知るや否や。




『結局…』

「縦にしか撃ち出せないブロック」、
「横長の足場が無い」、「大きな破壊は見込めない」、
「画面中央より下に降りてこられたら死亡間近」

という現実に対する対処法はただ1つ。

とにかく画面最上段に見えた色と同じブロックを、
反射神経とボタン連射に望みを託して
撃って撃って撃って撃ちまくるのみ!


脳みそ使用禁止!(それ、パズルじゃ無ぇ…)


あぁ、こんな対処法しか見つからないなんて…
俺って、このゲームの楽しみ方を間違えてるのかなぁ…

とか寂しくなって、ぼんやりとデモを見ていたら…
CPU達もそういう戦法で戦っておりました。

僕はココにいてもいいんだ!(まずいだろゲームとして)







■第三章 『ハイセンス文章』


まとめると、見た目・手触りはすごくイイのに、
パズルゲームとして完全に破綻している
という、
非常に残念なゲームでありました。

どんなにいいメーカーでも得手不得手はあるのだなぁ、としみじみと実感。


最後にゲーム内容には関係ないですが、当作品のハイセンスな
マニュアル内の文章を紹介して、批評のシメといたします。




【ストーリー】


1994年、「草やきう」に引き続き「Aりーぐさっかー」によって
またしても地球を救い(…そうだったかなぁ)動物さっかーシーンを
総ナメにしてしまったドラッキー達は、非常に満足し、幸せに暮らしました。

が、やっぱりドラッキーは満足しませんでした。

『なんかこう… なんちゅうかあるやろ… こう… ぶわーって…
アレやがな… セキズイにピピッとくるそーゆーのあるやんか…』と、
ドラッキーはにわかに関西化しつつ一人でブツブツつぶやいていました。

そんな彼のもとに突然、奇妙なものが送られてきました。
それは「空中元素固定顔面パズルDX合体セット」と、
なんだかすごくそそる事が書いてある小包みでした。

添えられた手紙を読むと『すぐ空中で遊べます。いいものです。
タダであげます。楽しんでください。byよしお』と書かれていました。
よしおという名にこころあたりはありませんでしたが『空中』『DX合体』
という言葉になにか魅力的なものを感じてしまったので、とりあえず
仲間を集めて動物パズルの頂点を目指そうと思ったのでした。
(それしかないんか?)

その様子を2つの怪しい影が見つめていました。
一人はドラッキーそっくりの形を、もうひとりは小さなヒトの形をしていました。
ふたりはドラッキーを見てニヤリとしました。
それは今までのシリーズに無い嫌な雰囲気を放っていました。

というわけであやうし!ドラッキー!!




【ブロックの絵の変更】


ブロックに顔が付いている(しかも微笑む)のが
どうしても生理的に受け付けない方は
「マーク」に設定すると○△□×の記号に変えることができます。




【対戦説明】


ブロックを消すときに、同時に消した数が5つより多いほど相手側に行く
「石のブロック」の量が増えたり大きくなったりして相手が迷惑します。









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