スーパーファミコン用ソフト

『マーヴェラス』


販売 任天堂         プレイ時間 「クリア3回」

購入価格 1480円   執筆日:2003年 1月23日





■第一章 『バイキングの大迷惑』


『マーヴェラス もうひとつの宝島』(任天堂)は、
同社の『ゼルダの伝説』のようなゲームです。


…と言ってもRPGではなく、主人公の男の子たち3人が、
それぞれの特技を活かしながら数々の難関を突破
し、
大海賊の残した宝物を目指して冒険するゲームです。



主人公たちはバラバラに行動することもでき(制限もありますが)
例えば、
『3人同時では通れない場所を 特定の1名だけが通って、
その先にあるカギを拾って戻り、
そのカギで開く別の通路を3人いっしょに進む』

などの、一ひねりある解決手段を探る楽しみがあります。

スーパーファミコンに移植された海外ゲーム、
『バイキングの大迷惑』(T&E ソフト)等にも
似たシステムが見られますね。
(…て、誰も知らない気がしますけど… 『バイキングの大迷惑』…)



…これに『3人がそろわないと発動しない技』(肩車とか)
絡んでくるため、それを考慮した謎解きの楽しみもあります。




…また、ゲームには多少のアクション要素も含まれており、
『魚を釣る』『サッカーボールをゴールさせる』等の
ミッションをリアルタイムで突破する場面があります。


いわゆる、話を進めるためのミニゲームなのですが、
この時の操作方法(パッドのボタンに割り振られる、それぞれの役割)
『主人公とプレイヤーの一体感』を感じさせる秀逸なものが多く、
イイ意味で『ゼルダ』シリーズを踏襲していて好感が持てます。


種類も実に豊富です。


しかも、それらが
ストーリー的な見せ場と密接に関係しているため、
ミニゲームに勝った時の『達成感』が大きく、
配置の上手さを感じさせます。






■第二章『良し悪し』


…ではまず、当作品の良さを列挙してみましょう。


『マップ構成の上手さ』

…比較的狭い、限られたフィールド内に、
多彩なイベントを実に上手く散りばめてあります。

数々の謎を解き終わった後に、
自分の通った場所をあらためて歩いてみると、
短時間で一周できてしまって驚いたほどです。


少ないソフト容量の中で、
ギリギリまでプレイヤーを楽しませようとする
マップ職人の手腕が見られ、頭が下がります。




『キャラ特性の明確さ』

『能力』に関わってくるアイテムは、
それぞれ特定のキャラしか受け取れないため、
キャラ特性が明確です。

『誰々に行かせる(一元的な謎)』だけに専念できるため、
難易度は手ごろだと思います。


…ただ、誰々に何々を持たせる
といった『二元的な謎』が無いため、
プレイヤーによっては底が浅く感じるかも。




『メッセージの妙』

…任天堂ブランドとは思えないほどの、
『気取らない、スレたメッセージ』
を楽しめるのも当作品の特徴です。

『ちゃんと体力回復しとかないと、
お前らの人生ゲームオーバーだぞ!』

など、お遊び的なモノが豊富に見られます。


同社の従来のメインユーザーである小中学生よりも、
少し上の年齢層をターゲットとして
作られているのかも知れません。



…かと言って、メッセージがおふざけで
質が低いというわけでは決して無く…

例えば、ある人物から
「主人公のうち特定の者しか持てないアイテム」
を受け取るときに、
それ以外のキャラで話しかけると、普通のゲームなら
『このキャラでは受け取れません』
などの素っ気ないメッセージで弾かれるものですが…

当作品では
『わしの若い頃に似てハンサムな、
そこの背の高い坊やにならコレを譲ろう。』

といった、実に気の利いたセリフで返されるので、
相手に存在感親近感が湧いてきます。




『間髪入れずに発生する数々の事件』

…これらに引っ張られるように、
ぐんぐんストーリーが進みます。

ほとんど中だるみを感じません。







…では、続いて、遊んでいて気になった難点を列挙します。


『ミニゲームの難』

…所々に、足止め的に感じられる
ミニゲームがあったのが残念です。

例えば、第三章の島の入口での『猿とのジャンケン』は、
あんなに何匹もこなす必要があったのでしょうか?




『特殊操作』

何の説明も無く、特殊な操作を求められる場面
いくつか見られ、不親切に感じました。

第四章の『置時計の針』の動かし方とか…




『トライアンドエラー的な謎が多い』

『トライアンドエラー』
(何度も失敗して正解に辿り着くこと)
的な謎が多かったことが残念です。


このタイプの謎は、
推理して正解に辿り着くことができないため、
時間と労力ばかりかかって楽しくありません。

クリアしても、達成感より疲労感のほうが大きいです。




『仲間について』

『ウィンキー』(猿)『ピラック』(鳥)への愛着が薄く、
そのせいで、最後の別れのシーンも
今イチ盛り上がらなかったように感じます。

もう少し、彼らとのイベント的絡みが欲しいです。


何か、主人公たち、彼らの都合
利用されるだけ利用された
ような印象すら感じられました。

(もったいない。 結構いいキャラなのに。)



ここ一番彼らが劇的に助けてくれる場面があれば、
印象もガラリと変わったと思いますが。







…以上です。


総合的には、
作りの上手さが随所に光る秀作だと思います。


ゲーム中のイベントに、もっと
『主人公たちと、それ以外のキャラとの絡み』
を増やして、彼らとの思い出作りの要素を盛り込むと、
さらに思い出深い作品になったかも。




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