セガサターン用ソフト

『コラムス アーケードコレクション』

販売…セガ          購入価格 1000円




■第一章『はじめに』


…この商品は、『コラムス』(セガ)姉妹作4作品
(オリジナル版含む)
を1枚のCDに焼きこむという
たいへんに贅沢な作品構成を誇ります。

基本的には『コラムス』というゲームシステムで
統一された作品群ですが、それぞれの作品が
『オリジナルコラムス』(以降『オリジナル』と表記) から
「異なった遊びの要素」を引き出そうとする
姿勢が見られて面白いです。


また、他の3作品を遊んでから
改めて『オリジナル』を遊びなおしてみると、
いかに『オリジナル』が多彩なゲーム性を
シンプルにまとめあげているか

再認識できたりもします。



…今回は「総集ソフト」という形態を持つ作品を評価するため、
普段と構成を変えて、それぞれの作品に対する評価を
個別に述べていこうと思います。





■第二章『4作品評価』


■『オリジナルコラムス』■

…発売後10年以上が経っても、
色あせない魅力を持つ作品です。

「同じ色を3つ以上並べて消す」という、
今では『落ちゲー』の基本条文に唱えられる
ルールの創始者たる、傑作中の傑作です。


以降、同ゲームの数々のアレンジバージョンが
出ているにも関わらず、視覚的認識度の高さ
(例:それぞれの宝石の色分けがハッキリしている等)
による遊びやすさは群を抜いており、
ロングセラーの実力をひしひしと感じます。



■『コラムスU』■

…『オリジナル』に「パズル的要素」を付加したゲームです。

画面内に最初から、ある程度の宝石が積み上がっており、
その中の点滅している宝石を全て消せば
ステージクリアになります。


「いかに適確に下方に掘り進めるか ?」
勝負の分かれ目になりますが、
一方で出現する宝石に状況を左右されがちな部分があり、
純粋にパズルとして楽しむにはイマイチに感じます。

中級〜上級者向きに思われます。



■『スタック コラムス』■

…『オリジナル』に「対戦の要素」を付加したゲームです。

連鎖で宝石を壊すことによって「チップ」が溜まっていき、
攻撃用のボタンを押すことで、その時の「チップ」の数に応じて
異なる攻撃を相手にしかけるというものです。


…攻撃方法には、相手の床を上昇させることで
フィールドを狭めてミスしやすくさせる
等がありますが、
バリエーションが少なく、
戦いはシーソーゲームになりがちです。



…しかも困ったことに、攻撃をしかけられると、
「その時点に落下してきている宝石」
壊れて無くなってしまいます。

つまり、場合によっては
一発逆転を狙える『魔法石』が落下してきたときに
相手に攻撃をしかけられると、せっかくの『魔法石』
消滅してしまうという悲劇が起こるのです。


…それどころか、相手にこまめに攻撃をしかけられると、
落下してくる宝石を
着地させることすらできずに負ける

場合もあり、なんとも納得がいきません。


せめて、宝石が落下するまでは
攻撃の発動を控えてほしい
ものです。

そのために、蓄積された攻撃が一度に発動して
瞬間的に負けてしまったとしても、
現在のシステムよりは「納得した敗北」を
迎えられると思う
のです。



…あと、当ゲームは敵キャラクタがキワモノ揃いです。

デブのピアニストだったり

イカれたサイボーグだったり

だったりします。


しかも、そやつらがご丁寧に
アニメーションするのを見るにつけ、
製作者が作品に注いだ「情熱の配分」
疑問を抱かずにはおられません。


…蛇足ながら、ランキング入りしたときの
歴史に残るヘボいネーム入力は必見です。



■『コラムス97』■

『ウルトラマン80』(円谷プロ) が
1980年作品である
ことからも御推察の通り、
『コラムス97』1997年に発売された、
『オリジナル版』の正統後継者です。


『この8年間のハードの進歩を見よ』とばかりに、
宝石はキラキラと輝き、回転し、
背景はギラギラと明暗をくりかえします。

ドラッグビデオばりのゲーム背景と、
光沢部分が大きくて色判別がつきにくい宝石のせいで、
ケアレスミスの度合いは4作品中最大です。

(↑少なくとも私は)


キーレスポンス・音声などは
さすがに最先端のハードだけに素晴らしいのですが、
グラフィック面で必要以上に張りきったことが
蛇足となってしまったようで哀れです。


…また、連鎖の際の消失間隔
速すぎるように思えます。

『オリジナル』の3〜4倍のスピードで
瞬間的に宝石が消えてしまうので、
連鎖が成功した快感を満喫できる時間
少なくて寂しいです。


それにともなって、
「連鎖中に周りの状況を確認して
次の行動に備える時間」

極端に短くなったために、
連鎖によって大きく変化した宝石の並びに
すぐには対応できず、苦戦を強いられます。


「上級者向けだから」という
好意的解釈もできなくはないですが、単なる
『客の回転を良くしようとしただけの浅はかな対処法』
にも考えられ、複雑な思いです。





■第三章『思い』


…実は私、10年の歳月を超えて
ここに懺悔しようと思うのですー。


…当時、知識の浅はかな学生だった私は、
「上からパーツが降ってくる」
「そろうと消える」

という2つの類似点だけから判断して、
『コラムス』『テトリス』真似ゲーだと見下しておりました。


…今でこそ、両者のゲーム的方向性の違い
理論的に読み取ることが造作も無い私ですが、
当時は何しろ血気盛んなヤングであったため、
『類似点 = 他作品の真似 = 製作者の怠慢』という
直情的な公式が頭の中に渦巻いておりましたもので…



製作者各位にお詫び申し上げると共に、
当作品が独自性あふれる『傑作』であることを、
ここに明記させていただく次第です。

ごめんなさいー。 ぺこり




…で、謝った直後に何ですが、
当シリーズが一貫して持ちつづけている
「難点」について指摘させていただこうかと。

それは、
『宝石の落下が始まるときに、
その横位置を思い通りにできない事』

です。


左右端に宝石を置きたい場合なら、
「落下が始まるまでにその方向にレバーを入れっぱなしにしておく」
という操作で対処できますが、
例えば「左から2番目」などになると、
瞬間的にキッチリ狙って配置するのはほとんど不可能
ではないでしょうか ?


そのために、
『ゲームスタート直後から左右端に
宝石を高く積み上げることで足場を作っておいて、
宝石の落下スピードが速くなってきたら、
一度宝石を足場に置いてから狙った場所に落とす』

という、余計な苦労が付加されてしまい、
『落とす→そろえる→消す』という流れを
純粋に楽しめなくなってしまうのは
マイナスだと思うのです。



…解決方法も無いわけではありません。

例えば『テキパキ』(東亜プラン) では、
次に落ちてくるパーツが落下前から画面上部に見えており、
「0.5秒ほど左右に移動できる時間」を経て、落下が始まります。



…また、(これは私事で恐縮なのですが)
私自身が学生時代(1989年ごろ)に趣味でPCに移植した『テトリス』では、
奇しくも上記の『テキパキ』とほとんど同じ要素を使用することで
ブロックの落下が高速化した状態に対処できるように設定されておりました。


自慢するわけではありませんが (少ししますが)
自分が原作をプレイしたときに感じた不快感を、
「それが当たり前」と妥協せず
「不快感は不快感」と素直に認め、
できる範囲で解消しようとした思いが
『0.5秒』という小さなアイデアの中に凝縮されているのです。




…この要素を『コラムス』に導入するならば、
例えば以下のような変更で対処できます。


@ゲームフィールド上端を、
半キャラ分ほど上に広げる。

A広がった空間に、
次に落下してくる宝石を表示する。

B落下が始まる前に、宝石を左右に
移動できる時間を0.5秒ほど設ける。




…もちろん、この難点は、『インカム』という
アーケード特有の難題を考慮した上で、やむなく残している
『プレイヤーへの制限』なのかも知れません。


しかし、それならば、例えば「ドリームキャスト」等の
『インカム』を気にしなくていい
「コンシューマハード」に移植する際に、
上記のような何らかの改良を施しても
良かったのではないでしょうか ?

アーケード版そのままを好むプレイヤーのために、
オプションモードで「改良要素の使用の有無」を選択
できるようにしておけば、
商品的にも問題は無いはずです。




『コラムス』は、世に現れてすでに10余年を数える
長寿作品であり、システム的にも比較的簡単に
移植できるゲームなのですから、
遊び勝手の点で改良の余地がある部分
コンシューマ機でフォローする余裕はあるはずです。


現在でも『花組コラムス』などが出ているのを見ると、
大元の『セガ』自体は無くなっても、
子会社の1つが『コラムス』の開発を続けているのでしょう。

『花組〜』自体を遊んだことが無いので
ハッキリしたことは言えませんが、
もし前述の難点をいまだに放置しているのであれば、
1日も早い改良を心待ちにしております。



…『コラムス』の1ファンとして。




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