セガサターン用ソフト

『真説・夢見館』


販売 セガ         プレイ時間 「クリア4回」

購入価格 480円   執筆日:2003年 1月17日





■第一章 『始めに』


『真説・夢見館』(セガ)は、アドベンチャーゲームです。


現世から隔離された世界『夢見館』で、
世捨て人たちが蝶の姿として生きるという
独特の雰囲気を持った物語です。
(世を捨てた理由は、『他人が信じられなくなった』
『自分のちっぽけさがイヤになった』
など、様々です。)



前作は、メガCD対応で発売されて、
一部に熱狂的なファンを持つ秀作であったと聞きます。

残念ながら、僕は遊んでいません。
前作との比較による批評をしたかったのですが…




…まぁ、無いものねだりもアレなので、シンプルに
当作品のみについての客観的な批評をいたしましょう。

前作を知っている方で、この批評を読んでいる人は、
そこらへん食い足りないかもしれませんが、ひとつご容赦のほどー。






■第二章 『またかよ』


…ゲームは、十字ボタンで館内を移動し、
Aボタンで物を調べたり住人との会話を行なうという、
簡単操作で進行するのでです。

ポリゴンによる「人物の表情」
「部屋などの屋内の装飾」も、
当時としてはかなり高い水準だと思います。

声優さんによる熱演も光ります。


このように、作品としては
結構いいパーツがそろっているのです。






なのに、なのに… 嗚呼…

ゲームとしての楽しさがほとんど感じられないのです。



…僕の書いたゲーム批評の数も
そろそろ「100」に手が届こうというのに、
なぜ、ほとんどいつも、『パーツはイイ。 でも…』と続いて、
第三章問題点を列挙せねばならないのでしょう?



頼むから、第三章でも賞賛させて下さい!


このゲームを遊んで心から良かったなー、
という結末の批評を書かせて下さい!



…昔はこのテのゲームに激怒したものですが、
あまりにもそんな代物ばかり見てきたせいか、
最近では腹が立つより情けなくなってきます。


まぁ、それは『真説・夢見館』に限った事ではないのですから、
ここで言うべき事ではないのかも知れませんけど…





…脱線ゴメン。 とりあえず、進みますか。


では、恒例第三章…

当作品のダメ部分を列挙してやるぜ、こん畜生。(←血涙)






■第三章 『ダメ部分』


…と言うわけで列挙しますか。(←事務的)



★『感情入力システム』が分かりにくい

…当ゲーム独自のシステムとして、
『感情入力システム』があります。

これは、会話の途中で相手に受け答えをするとき、
好意的あるいは否定的といった応対の姿勢を
プレイヤーが選べるというものです。

(…とか書くとスゴそうですけど、要は従来の「イエス」「ノー」の選択と大差無いです。)




…ただ、通常のゲームモードだと、
どのタイミングで感情入力すればイイか
(特に、初めての場面では…)皆目分かりません。


相手の会話がとぎれて、『あれ?!』と気付いたときには、
すでに入力時間である「2秒間」は過ぎており、
『無言の返答を返した』ことになって
相手へのイメージを悪くしてしまっています。



イージーモードだと、入力場面では『パッドの絵』が出て、
プレイヤーの入力があるまではゲーム進行が止まりますが、
これが普通ではないでしょうか?


感情の入力内容によっては
即ゲームオーバー
になる場面もあり、ただの足枷としか思えません。




★移動が分かりづらい

…部屋から部屋、といった大ざっぱな移動はイイのですが、
室内での移動において分かりにくいものがいくつかあります。

当ゲームの移動は、言わば
『床に敷かれた目に見えないレール』に沿って動くようなもので、
十字ボタンを押した方向にレールがあれば「そちらに移動」、
無ければ「反応無し」というものです。
『Dの食卓』(ワープ)などと同じシステムですね。)



…逆にいえば、どこにレールがあるか分からないうちは
自分の行きたい場所に行くだけでも一苦労。

同じ部屋のすぐそばに『話すべき相手』がいるのに、
そちらに「移動できる」ことに気付かないまま
相手を探してウロウロする場面もあり、
イヤな気分を味わいました。




★マイクの存在

「主人公ジョン」=「プレイヤー」
の関係をより明確にするためか、
全ての住人に「声優」があてられている中、
主人公だけは終始無言でゲームが進行します。


それ自体はイイ事だと思うのです。

ただ、主人公と同行している友人の『マイク』が、
プレイヤーが次に行くべき場所のヒントを鼻息荒くしゃべりまくるのが、
仕方ないとはいえ耳障りです。



マイク『分かりました、長老! 
よし、とりあえず住人のみんなから話を聞いてみようぜ!』

主人公『………』

マイク『よぉし、ジョン! ●●の部屋へ行ってみようぜ!』

主人公『………』

マイク『こ、怖くなんかあるもんか!
お、お兄ちゃんたちは強いんだぞ! な、なぁ、ジョン!』

主人公『………』





…マイクの「金魚の糞」みたいな
主人公の存在価値の薄さが泣けます。




★館の住人との会話

…館で起こった事件のナゾを解くため、
住人との会話から情報を得ようとするのですが、
その際に『相手の過去』を聞かされることがあります。



『昔から、他人は俺の言うことなんか
これっぽっちも信用してくれなかった』
とか

『あたしのお父さんお母さんは
ケンカばかりしていて悲しかった』
とか

『所詮、人間はちっぽけな物だと気付いて
生きていくことが空しくなった』
とか…




…なんで僕は高い金払ってゲーム買ってまで
大して親しくもない他人の泣き言
聞かされてるのだろうと思うにつけ 死にたくなります。

(ただ、声優さんの演技力はかなりのものです。)



…こういった告白は、その相手とジックリ会話を重ねた
「ゲーム後半」に至って語られて、初めて
重みが増すのではないでしょうか?


…まあ、実生活でこんなふうに
他人から腹を割った告白を受ける 等の
『他人に頼られる経験』無い人にとっては、
この部分は胸に染みる見せ場かもしれませんね。


哀れですが…





★結局、おつかいゲーム

…このゲーム、結局は、
『住人と話をして情報を得て、
その相手の所に行って次の情報をもらう』

という動作の繰り返しがほとんどの、おつかいゲームです。

イベントの分岐も、ほぼ皆無です。



…なら、アッという間に終わるのか?と言うとそうでもなく、
どこで発生するのかが今イチ分かりにくいイベントを捜して、
各住人の部屋をウロウロと何度も訪問する
事になり、
時間ばかりがダラダラ過ぎます。

(実は、最初のほうでジョゼから受け取る『タロットカード』を使用すると、
その時点で次に訪れるべき人物を象徴するカードが出てくるので、
それを元に推理することができます。

逆にいうと、それぐらいストーリーが 一本道 なわけですが…)







■第四章 『ストーリー』


…最後に、当ゲームのストーリーを紹介しようと思います。

大ざっぱにいうと、下のような感じです。





長老に、
『月が赤いので、何か悪いことが起こりそうで心配だ』
相談され、屋敷内の住人から話を聞くことにする。



マイクの部屋から、「長老からかりた本」
盗まれたので、犯人を捜すことにする。



犯人が見つからなかった上に、長老が殺されてしまう。



『レイモンド』が犯人だと分かる。
(実は、悪の精神体『カンドラ』に乗り移られての行動なのだが…)

「夢見館」消滅させようという彼の計画を阻止すべく、
住人全員が聖域に向かう。



真犯人が分かったり色々あって、マイクが殺される。

レイモンドは「夢見館」の創造主『狩人』の計らいで、
蝶の姿のまま現実世界へと旅立つ。



以上。







…結局、
『レイモンド』が現実世界の刺激を懐かしんだせいで
『マイク』と『長老』が殺されてしまうという
迷惑なストーリーです。


ダラダラと繰り返すだけの安息の毎日から、
厳しくも自分で責任を取る自由にあふれた世界への
旅立ちを決意した「レイモンド」には共感できますが、
死んだ2人は浮かばれませんね。





…後味がイイような悪いような、変な話でした。

と言うか、展開急ぎすぎ。




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