セガサターン用ソフト
『ズープ』
販売…メディアクエスト
購入価格 380円
■第一章『一億総ハマりゲー』
…『ズープ』は、海外で生まれたアクションパズルゲームです。
「海外生まれ」「アクションパズル」と聞けば、
どうしても『テトリス』のようなスゴいゲームを想像してしまい、
否が応にも期待が高まります。
CDケースの後ろにおどる
『一億総ハマりゲー』という
自信に満ちあふれたコピーにも、当ゲームの日本での販売メーカー
「メディアクエスト」の
気合を感じずにはいられません。
こんなゲームが中古とは言え
「380円」で手に入るなんて、
まだまだ世の中捨てた物ではないですね。
■第二章『どんなゲームよ?』
…『ズープ』は、上下左右の4方向(16箇所)から
接近してくる「パーツ」が、中央の自分の陣地に
入らないよう消しつづけるゲームです。
当然、陣地に入られれば負けです。
「パーツ」は、プレイヤーの操作する自機から発射される
「レーザー」を当てて、両者が同じ色ならば消すことができます。
「レーザー」は、現在と別の色のパーツに当たったときは、
その色に変化します。 同時に、そのパーツの色は、
それまで自機のレーザーに付いていた色に交換されます。
こうして、必要な色を取りつつ
「パーツ」を消していくゲームが『ズープ』なのです。
ルールはそれほど複雑ではないので、すぐに慣れます。
…ところが、このゲーム。 遊んでいても、
とにかく 全く
さっぱり 全然
カケラほども 楽しくないのです。
なぜでしょう?
…そこで試しに、本来は「4方向」から近付いてくるパーツを、
「上方のみ」から接近してくるシステムとして
頭の中でシミュレートしてみると…
なんと、このゲームは
敵がランダムに降下してくる、消し方が面倒な『インベーダーゲーム』
に過ぎないことが判明いたしました。
一見斬新なシステムに見えて、その実は、
4方向から接近させることでプレイヤーの
混乱をまねき、
不条理な死を繰り返させて
辛酸の極みを味あわせるゲームであったのです。
新ジャンルとして「拷問ゲー」と命名します。
…ちなみに、あらゆる拷問に対する訓練をつんだ
某国の歴戦のスパイを部屋に監禁し、
このゲームを与えたところ、1時間を待たずして
動物のような奇声を発しながら
ドアに体当たりを始めた
といいます。(うそです)
…このような問題作を市場にバラまいた
「メディアクエスト」の罪状は計り知れません。
CDケースの裏面におどる 脳を疑われかねない
自身満々なコピーも、今となっては空しい限りで… と、
ここまで考えていたところで大変な事実に気が付きました。
『一億総ハマりゲー』というコピーは、
実は
『一億総ハマり(解けない)ゲー』
という意味だったのではないでしょうか?
…恐らくプロデューサーあたりの地位の人間が、このゲームの
ヒドさに気付いたものの、会社の方針として発売中止に出来ず、
やむなくコピーに忍ばせるという形で
ユーザーに警告を発したものと思われます。
なんと勇敢なる行為でありましょう。
…とは言え、会社に逆らった彼の安否が気遣われます。
東京湾の水底でコンクリートの重りにくくりつけられて、
ワカメや海苔といっしょにユラ〜ユラ〜と
揺れていらっしゃるのではないでしょうか?
彼の死をもいとわぬ正義感に黙祷を捧げつつ、
『ズープ』の評価の閉めの文句とさせていただきます。
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