セガサターン用ソフト


『スナッチャー』


販売:コナミ              プレイ時間 :「クリア1回」

購入価格:1280円        執筆日:2003年 8月11日





■第一章 『15年』


『スナッチャー』(コナミ)は、アドベンチャーゲームです。

2〜30代以上のゲームプレイヤーなら、
『あぁ、P8で遊んだっけ…』 『俺はMSXで…』など、
ヤングに聞かれたら救急車で運ばれかねない
「怪しい暗号」で会話してしまうほどの、
往年の有名アドベンチャーです。
(ちなみに僕はMSXでした)




…10年程前、「PC−エンジン」に移植された際には、
『一部のBGMに生演奏バージョンを使用』
『グラフィックの一部描き換え』
『動画の追加』

といった改良がなされていました。

「サターン版」は、
PC−エンジン版の延長上にある感じです。



…内容的にはさすがに、オリジナルであるパソコン版が
出てから15年以上も経っているため、
システム的な古さが目立ちます。

が、そのオリジナリティあふれる設定やデザインは、
古さを感じさせないどころか、いまだに新鮮です。


僕など、主人公ギリアンの
『ラフなオールバック』のカッコ良さに惚れ直してしまい
床屋に走ったほどですというのはウソですが、
惚れ直したのは本当です。






■第二章 『良し悪し』


…それでは、当作品の良し悪しを箇条書きで見てみましょう。

中には、オリジナルが15年も前のゲームなのに
評価が厳しいのでは? と、思われるものもありますが、
「商品」である以上、同時期の他商品と相対的に
比較されるべきだ
と思ったので、あえて書きました。




まず、『良い』と思われる箇所は…

『15年経った今見ても遜色の無い、
設定・デザインの数々』


『雰囲気バッチリのBGM』

『シリアスな中にもギャグを散りばめた、
サービス精神あふれる作り』


『コマンド選択の際、直前に選択した選択肢の位置に
カーソルがセットされるため、
似たような入力を繰り返すときに便利』


などなど。




逆に、『良くない』と思われる個所は…

『BGMが豪華になっている割には画面が昔と
大差無いので、全体としてアンバランス』


『コマンド総当り (深く考えずに、全ての選択肢を
選んでいけば、いつかは先に進めること)
的なゲーム展開』


『緊張感あふれるシーンで、のんびりしたBGMが
かかる場面がありアンバランス』


『頻繁に使用するトライサイクルでの移動シーンが
経路によって変化が無く、単調』


『カーソルのせいで敵が見にくい射撃シーン』

『後半になるほど、説明がメインになって
わざとらしくなってくる、登場人物たちのセリフ』


『最終場面の、30分にも及ぶ
「エリア=マッドナー」の愚痴』


などなど、といったところ。






■第三章『総評』


…元々の『スナッチャー』は、
当ゲームにおける「ACT2」までの内容を語った作品であり、
「PC−エンジン」版以降から
『ACT3』を加えた完全版となっている。

が、この「ACT3」
少々まとめを急いだ感があり、
前半とかなり違和感がある。



ACT1・2では
『圧倒的な殺傷力を持ち、
行動全般に謎が多い「スナッチャー」を、
探偵のような立場の主人公が少しずつ追い詰めていき、
最終的に4、5体の破壊に成功するもジャンカー本部壊滅』

という、スナッチャーの恐ろしさ
見せつけた内容になっている。


反面、ACT3では、
『敵の本拠地に楽々と侵入した上に、
スナッチャーを数10体破壊し、
過去の因縁も全部暴露

という、スピーディすぎる展開。

元々あった構想を、短時間でムリヤリ
全部詰め込んだ
としか思えないのですが…



…それに、あの結末では、
『人間の疑念の恐ろしさ』というより
『身のほど知らずの恋は、不幸の元』
結論せざるを得ない感じ。

制作者の言わんとした事が、
スベってしまっているように思いました。





…あと、グラフィックの着色などに問題を感じます。

あの『テカテカした塗り』は、
当作品の持つ緊張感をうまく表現できていません。


また、ビルの根元の部分などは、
モヤっぽい塗りにしたほうが、
ネオコウベの『薄汚さ』を実感しやすくなると思います。



…色々な意味で、そろそろ「旧作」の呪縛から
放たれるべきではないでしょうか、『スナッチャー』は?






…では、総評を。

色々けなしましたが、そのシッカリとした内容は、
歴代のアドベンチャーゲームの中でも
五指に数えられる物
だと思います。

一度は体験してみる価値はあるでしょう。




…最後に個人的な感想ですが、
『スナッチャー』で語られている時代が、
現実ではとっくに『過去』になっている状況は、
往年のプレイヤーとしては実に感慨深いものがありました。

ふと気付けば、
三十路主人公『ギリアン』と歳が並んでいる自分がいて、
時の流れにしみじみとしたりも。




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