セガサターン用ソフト

『蒼穹紅蓮隊』

販売…ライジング     購入価格 1300円ぐらい



■第一章『外見で判断してましたゴメンなさい』

…シューティングメーカー「ライジング」の秀作、『蒼穹紅蓮隊』を紹介いたします。

えー、最初にお詫びしておきたいのですが、私はこの作品、出た当時は
『レイフォース』の真似ゲーだとばかり思って
ほとんど触れていませんでした。


もちろん、このゲームが「『レイフォース』の影響を全く受けていない」
いうような、乱暴なことを言うつもりはありません。
しかし、例え根底に『レイフォース』があったとしても、
当ゲームの持つ味わいは『レイフォース』のそれとは異なる方向で花開いております。


…具体的に言えば、『レイフォース』のロックオンシステムは
「自機前方の小さな照準」を使って、緻密なパターン戦略によって
的確な「先制攻撃」を行うことを目的としていました。

一方の『蒼穹紅蓮隊』「自機を中心に大きく広がっていくロックオン範囲」
を使って、付近の敵をガンガン破壊することで「敵の数を少しでも減らす」
「あらゆる方向から攻めてくる敵に的確に対応する」
ことを目的としています。

そのゲーム性の違いは両者の敵の配置にも現れており、
『蒼穹紅蓮隊』は『レイフォース』に比べて、「敵の出現数がかなり多い」
「あらゆる方向から敵が出てくる」
という点で大きく異なっています。


…それぞれの作品がそれぞれのゲームシステムに合った敵配置を施した結果、
このような違いが現れたということは、この2つのゲームが目指した「遊びの形」が
異なるものであったことの何よりの証拠
と申せましょう。


…ということに、2年程前にサターン版をジックリ遊びこんでから気が付きました。

すいません、ゴメンなさい。

これからは見た目が似ていても、
とりあえずジックリ遊んでから作品の評価を下すようにしますー。

5年前に当ゲームが発売された当時は、
私もまだまだ血気盛んなヤングであったため、
結構こういった先入観による失敗をやらかしていたものです。
そのせいで良質な作品を見逃していたとすれば悔やまれることです。
ホント、作品との付き合いは、人間同士のそれに良く似ていますねー。

ほほほほほほほほほ。 …反省。



■第二章『で、当ゲームの総評をば』

…このゲームの音楽は重厚でたいへんにカッコいいです。
崎元仁さんとおっしゃる、その筋では有名な方だそうです。

シューター好みの、なにか「宿命」を感じさせるような孤独で重い雰囲気が、
ゲームの重厚感を強力にバックアップしています。


■お詫び■

上の「崎元仁」さんなんですが、何を血迷ったか
2004年3月まで『山崎仁』と表記しておりました。
たまたまウチを訪れた「ACES HIGH」さんの指摘によって
勘違いに気付いた次第です。 ゴメソ。

崎元さんは、マニアックで質の高い
トレジャー・エイティング系シューティングゲームを中心に、
最近では『FF12』の作曲も手がけられたそうです。

あと、日本テレネットの『デスブリンガー』(MD)も作曲されたそうで。
幸か不幸か、あのゲームとは少なからず縁がある俺です。




あと、ポリゴン表示の画面をちゃんと「立体空間」として使っている点が
とても興味深いです。 つまり、自機を中心にロックオン範囲が広がるとき、
その判定範囲は「2Dの円」ではなく「3Dの球」になってまして、
下方から横一列に上昇してくる敵がいた場合、まず中央の敵が、
続いてその両隣の敵が、さらにその隣の敵が…

という感じに順次ロックオンされていきます。


単純にロックオン範囲を全開にしているだけでは「敵に届かない」場合があり、
「届かせるためにはさらに接近しなくてはいけない」ところに
戦い方の工夫が求められるわけです。 実に良く考えられています。



…と言ったところで、最後にこのゲームの難点を1つ。

ロックオンした敵に対して自機から発射されるレーザーなどに、
付近の敵を見にくくしているものがあります。

だから、例えば私は『紫電』で戦うときは「一点集中型レーザー」は使いません。
青白い光で敵が見づらくなって非常に危ないからです。


…とは言え、たいへん丁寧に作られている秀作で、私的評価としては
ライジング作品中1、2を争う完成度と信じております。

正直、これ以外のライジング作品と比較したとき、
「これだけ外注作品なのでは?」
とすら思えるほど、
一歩先行く完成度を感じさせます。



…と言ったところで『蒼穹紅蓮隊』の評価は終わりです。

評価と言いつつ、筆者自身に対する「戒め」の部分が大半を占めておりますが、
こんなのも面白いかなぁと。 今だと中古品しか入手できないでしょうが、
サターンをお持ちの方は是非お試しのほどを。

中古ショップから姿が消えてしまう前に。



戻る