セガサターン


『大牌砦』


販売: メトロ

プレイ時間 : 2時間

購入価格: 280円

執筆日: 2005年 11月06日





■第一章 『あの遊びの親戚?』


『大牌砦(だいとりで)』(メトロ)は、牌を使ったパズルゲームです。


高さを含めた様々な配置に並べられた牌を、
『同じ物3つ』(刻子)か、『同じ種類のものを、数字続きで3つ』(順子)
1セットとして取り除いていき、全てを取ればステージクリアです。



ただし、全ての牌がいつでも取れるというわけではなく、
以下の状態になっている牌は取ることができません


  ・「上下」「左右」のいずれかを、他の牌に挟まれている。
  ・「斜め4方向全て」を、他の牌が塞いでいる。
  ・他の牌が、上にかぶさっている。




もうピンと来た方もいらっしゃるでしょう。
そう、このゲームはルールが多少異なる『上海』なのです。







■第二章 『「手持ち牌」が生むゲーム性』


ただ、ここでもう1点、この作品独特のルールが存在します。

それは、
『消去前の牌は、最高8つまで「手持ち牌」にストックされる』
というものです。

つまり、現時点で取れる牌の中に「消せる牌のセット」が全く無くても、
とりあえずジャマをしている牌を取って
『手持ち牌』に置いておく
ことが可能なのです。

『この牌の左右にいる牌さえどかせれば、
1セット作れるのにな〜』という時は、
取って「手持ち」にしておけばイイわけです。




注意点は2点。


この手持ち牌を持ちすぎて、
『9個目を取ってしまうとゲームオーバー』となる点。


そして最も重要なのは、
例え消せることが分かりきっているセットでも、
消去するまでは「手持ち牌」の中にストックされるため、
『セットを収納するだけのスペースを、「手持ち牌」の中に
常に空けておかなければならない』
という点です。

せっかく周りのジャマ牌をどけて、さぁこれから3個1セットを消すぞ〜、
と意気込んだはイイが、よく見たら「手持ち牌」の入れ物に
6個(あと2個しか取れない)の牌が入っていてゲームオーバー確定
といった事態は、けっこう頻繁に発生します。




さらに、ステージが始まった時点で、
すでに「手持ち牌」の中に
いくつかの牌が入っている
場合もあります。

残った少ないスペースを考慮しつつ
牌を取っていかなければならないので、一工夫が必要ですが…


一方で、最初から入っている牌をよく見てみると、
『今後優先して取らなければならない牌が推測』でき、
そのステージにあらかじめ用意されている「クリア方法」が
見えてきたりするあたり、パズルゲームとしての奥深さを感じさせます。




当作品のルールはかなり良くできているので、もしかしたら、
『上海』同様、昔からあった遊びをデジタル化したものかもしれません。

もし『上海』を元にアレンジしたゲームだとしたら、
企画者さんは、かなりパズルに精通された方ではないでしょうか?







■第三章 『良し悪し』


それでは、列挙してみましょう。 この作品の良し悪しです。


『分かりやすいルール』

「刻子」「順子」による消去ルールは、
少しでも「麻雀」を知る者にとっては、
説明不要にスンナリ飲み込める手順です。




『見た目の分かりやすさ』

取れる牌は、他の牌よりも明度を上げてあり、分かりやすいです。

慣れていないときは、『明るい牌だけに意識を集中すればイイ』ので、
解けないまでもサクサク進行させられます。




『下の牌の見づらさ』

上にかぶさった牌を少しズラしたり、
牌の種類(マンズ・ピンズ等)ごとに
牌のフチの色を変えたりの工夫も見られますが、
今イチ見づらく、完全には把握できません。

それとも、推理の要素を残すために、
あえてこういう構成にしているんでしょうか?




『タイム制限はいらない』

元がアーケードであり、そのルールをそのまま使っているので
しょうがないとも言えるのですが、
このゲームに「タイム制限」はいりません。

そんなもの無くても十分難しく、
無くなって初めて『妥当な難易度』だと思うのです。

もっとも、設定変更で
ノンペナルティで『時間制限なし』を選べることからも、
そのあたりは製作サイドも十分わかっているようですね。




『ベタ移植はちょっと…』

アーケードの内容を移植して「はい、完成」では、
あまりにももったいないです。

特にこのゲームは、『手持ち牌の内容』『牌の並び』で、
パズルとしていくらでも幅を広げられる秀逸なシステム。

『全100ステージのパズルモード』あたりを付加するだけでも、
当作品の深みはド〜ンと増したのではないでしょうか?




『牌の並びが常にいっしょ』

何度もコンティニューして牌の並びを憶えることで、
相対的に難度を下げる構成になっているようですが、
逆に、一度クリアしてしまったステージを繰り返し遊ぶ気になれません。

『牌の並び』と『手持ち牌の上限』で基本的な難度は決まりますから、
並んでいる牌の内容をランダムにすることで、『上海』のような
「解けるか解けないか、最後のほうになるまで分からないドキドキ感」
を維持できるゲームになった可能性もあると思うのです。

もちろん、アーケードでは無理な案かも知れませんが、家庭用なら…
少ない開発労力で遊びの幅をグッと増せる案だと思うのですが、どうでしょう?





結論、先日『蒼天龍』(童)でも言いましたが、
『アイディア的にすごくイイのにもったいない扱いをしているので、
将来僕が基盤アイディアだけもらっちゃうかも知れませんよ〜』
て感じ?

いや、マジもったいないですよコレ。 メトロさん…
『2』とか検討されてみては??






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