セガサターン用ソフト

『ダイナマイト刑事』

販売…セガ        購入価格 1280円

執筆日:2002年 10月23日





■第一章『逮捕してやる』


『ダイナマイト刑事』(セガ) は、ちょっと変わった
『ファイナルファイト』(カプコン) タイプの格闘アクションゲームです。

巨大ビル内にたてこもった犯罪者どもから
大統領の娘を救出すべく乗り込んだ、
命知らずの刑事が主人公です。



…ゲームは、画面内に現れた敵を全員倒すことで
次の場面に進んでいきます。

パンチ・キックはもちろん、
地面に落ちている鉄棒を拾ってブン回したり、
拾った銃器を撃ちまくることも可能です。


小悪党を相手に、しかもビル内
「ミサイルランチャー」
をブッ放す救助姿勢には疑問が持たれますが、
相手もブッ放してくるので正当防衛と申せましょう。




ちなみに、これらの銃器には当然「弾数制限」があるのですが、
ピストルを使用しているときに限り、
敵に密接する危険をおかすことで
相手を『逮捕』(手錠をかける) することができます。

「逮捕」した敵は、倒したことになるため、
弾薬の節約に大きく貢献します。

なかなか面白いシステムですね。




…また、場所によっては、格闘ではなく、
画面に一瞬表示される「矢印やボタン」にしたがって
主人公を動かすボーナスゲームのような場面があります。

往年のLDゲーム『タイムギャル』(タイトー) のような感じです
と言っても、若い方にはさっぱり伝わりませんね、この文章。


入力に成功すると、
敵に強烈なラリアットを見舞ってブッ飛ばしたり、
飛んでくる小型ミサイルの爆発をジャンプでかわすなど、
主人公が爽快なアクションを披露してくれます。






■第二章『逮捕しちゃうぞ』


ハチャメチャなゲーム展開を持つ当作品ですが、
システム的にも結構ハチャメチャなのが困りものです。

列挙しますと…



@ けっこう見づらいゲーム画面 

ガクガクしたポリゴンのキャラクタが入り乱れるので、
何が何だか分からなくなります。

色使いのケバさも、それに拍車をかけてますし。




A「ライン合わせ」の面倒くささ

『ファイナルファイト』(カプコン) 以降、
同タイプのゲームで問題視されていた
「ライン合わせ」のシステム的弱点を、
当ゲームはそのまま受けついでしまっています。


このタイプのゲームは、相手との『Y座標』(画面に対する縦位置)
ピッタリ合わせないと、自分の攻撃が当たらないのですが、
当ゲームは特に素手による攻撃リーチが短く、
敵の横移動のスピードがけっこう速いので、
攻撃を届かせるために敵を追いかけまわすという
面倒くささが目立ちます。
(銃器を使えば横方向に対して圧倒的に強くなりますが…)


…しかも、ゲーム自体が『斜め視点』になっているため、
微妙な「ライン合わせ」が困難という、
『水と油』のゲームシステムには泣かされます。

敵はプログラムで動いているから、
ばっちりラインを合わせて攻撃してくるし… (泣)




B へんに高い難易度

…敵から受けるダメージが、同タイプのゲームに比べて
3〜5割ほど高いように思えます。

すぐ死んでしまうので、ちょっとイヤ気がさします。


…これに、@画面の見づらさが絡んでくると、
死んだときに納得がいかず、かなりストレスが溜まります。


実は、このゲーム、全体のボリュームがイマイチなのですが…
もしや、そのボリューム内で、プレイヤーに
ガンガン「コンティニュー」してもらうために、
このような高い難度に設定したとか?





C 『ディープスキャン』

…おまけに付いている、同社の往年の有名ゲームですが、
今遊んでみるとまどろっこしくてイライラするゲーム内容です。

それは仕方ない (古い作品ですから) として、
このゲームで高得点を出さないと
『ダイナマイト刑事』本編のクレジット数が増えない
というのは、ちょっとアレなのではないでしょうか?




D 敵全滅後のアイテム

…室内の敵を全滅させるとすぐに次のシーンに移りますが、
そのせいで、最後のほうに倒した敵が放出した
アイテムが取れません。

苦労して倒した敵の死体から貴重なアイテムが出て、
なのに、目の前でそれがフェードアウトしていくときの
悲しさといったら…




E ブツ切れイベントシーン

…時々、「イベントシーン」が挿入されるのですが、
途中の読み込み時間が長めのように思えます。


ムービーが一区切りして画面が暗くなり、
『さぁ、行くぞ』と身構えたら、
実はまだムービーが終わっていなくて出鼻をくじかれたり…

逆に、気が付いたらムービーが終わっていて、
近くの敵に主人公がタコ殴りになっていたり。


…読み込みに時間がかかるのは仕方ないとして、
どこまでがゲームで、どこからがムービーかが
明確に分かる演出を施してほしかったです。






■第三章『逮捕だ、ルパーン』


…と、前章でボコボコにけなしましたが、
当ゲームにも見るべき点はあります。


それは、
『イカれた登場人物と、それを表現した技術力』です。
(いえ、イヤミじゃなくて…)



…主人公こと「ダイナマイト刑事」は、
マッチョな体にタンクトップの白がまぶしいガニ又の中年ですが、
彼があたりをウロウロ見回しながら歩いていく姿には、
他のゲームでは味わえない独特の哀愁が漂っています。
(最初のシーンでいきなり着地に失敗して手すりに激突する姿には痛々しさすら漂います。)



…対する敵のアクションも多彩で、
笑った命乞いをするのは当たり前。



主人公の登場にビックリして
腰掛けていたコンテナの中に転がり落ちたり (悲鳴付き)、


主人公のキック攻撃を股間に受けて内股で飛び跳ねたり、


トイレで用を足している途中に刑事に乗り込まれたのに
優雅に尿を切って (なめらかな動きで) から戦いはじめたり、


シコ (攻撃判定アリ) を踏んだり…





ゲーム制作における技術力の割り振り
かたよりを感じずにはおられませんが、
とりあえず素直に大笑いです。


一般に『バカゲー』と呼ばれる部類に、
(バカバカしい部分に力が入っており、
ゲームとしてはイマイチであるが笑って許せる範囲の作品)

当作品は当てはまるのではないでしょうか?





…最後に「高い難易度」についてですが、
『銃器』を使用すればかなりサクサク進めることができ、
しかもそれらが頻繁に入手できることから、元々、
『銃器を持って戦うハゲなゲーム展開を前提とした難度設定』
に、してあるのかもしれません。

欲目かなー?



『ディープスキャン』でたっぷりとクレジットを増やしてから、
友達を集めて大笑いをしながら短時間で楽しむ。

そんな『パーティゲーム』としての使い道が、
当ゲームには相応しいように思えます。




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