セガサターン用ソフト

『テトリスプラス』

販売…ジャレコ        購入価格 960円

執筆日:2002年 5月2日





■第一章『功労者の名は…』


故『ジャレコ』、現『パシフィック・センチュリー
なんたらこーたら』 (略称『パセサジ』)
が、
名作『テトリス』様をパズル風にアレンジしたゲーム。

それが『テトリスプラス』です。



『テトリス』の名前をそのままに、
しかも『プラス』を付加するあたり
故『ジャレコ』の並々ならぬ
思い上がり 自信がうかがえますね。



…ところで、最初に正直に言っておきますと、
数ある『テトリス』の亜流の中でも
かなり下のランクにあるゲームだというのが
『テトリスプラス』に対する僕の感想でした。



「〜でした」と言うからには、今は違うのか ?

と聞かれれば、
10段階評価の「2」が『7』に
上がったような感じ
ですね。



…元々、アーケードで遊んでいて散々だった評価が、
コンシューマ版を遊んでみて上がった理由は、
ひとえに
『無限コンティニューができる点』
に尽きます。


このおかげで、難度の高い『パズルモード』に
ジックリ腰をすえて取り組む
ことができるようになり、
そのおかげで、
当ゲームのパズルの作りが「結構イイ」
ことに気付けたのは、大きな収穫でした。



…それではとりあえず、当ゲームの2つのモード、
『エンドレスモード』『パズルモード』
それぞれについて、順に解説していこうと思います。

ご一読のほど〜。





■第二章『エンドレスモード』


…いわゆる、普通の『テトリス』を、
積み上がるまで延々遊べるモードです。


で、いきなりですがコイツの出来が悪い。


僕が当ゲームの評価を下げた理由の筆頭が、
この『エンドレスモード』なわけで、
そのキーレスポンスの「中途半端なマズさ」
凶悪です。


なんというか、反応が1テンポ遅かったり、
反応しなかったりするのです。


回転ボタンを2回たたいたのに
ブロックが1回分しか回転していない
なんてのはザラで、
最初にゲーセンで遊んだときは、
コンパネ(ゲーム機のコントローラー)がブッ壊れている
のかと疑ったほどです。




…それに追い討ちをかけるのが
『ブロックの固定の早さ』です。


オリジナルの『テトリス』などでは、
ブロックがどこかに着地した後でも
約1秒間は固定されないので、
ジタバタ動かして活路を見出すことも可能です。


にも関わらず『テトリスプラス』では、
ブロック内に磁石の混入を疑わずにはおられぬほど
短時間で固定されてしまうため、
半分より上にブロックが積み上がってくると
巻き返しはかなり難しいです。



…そこに、前述の
「回転ボタンの反応の悪さ」が絡んでくるため、
反撃する気力がわきません。



やってられねー感じです。



盗んだバイクで走り出したい心地です。




ポテトをコーラで流し込む日々です。


もういい、分かった。





…コンシューマ版になっても、このモードは
忠実に移植されていました。

あらためてプレイして、
やはり私がアーケード版で遊んだときの感想に
間違いは無かった
ことを再確認し、
パッドを叩きつけて
『エンドレスモード』と別れを告げました。





■第三章『パズルモード』


…このモードは、『テトリス』の亜流の中でも
けっこう異彩を放っております。


まずゲームをスタートさせると、画面内には
「ある程度つみあがったブロック」
「そこに閉じ込められている主人公」
表示されます。


『主人公』は左右にゆっくり歩きつづけ、
ブロックの壁にぶつかると反対に向きを変えます。

そして、足元に『2ブロック』以上の大きさの
「穴」「へこみ」があれば下に降りていき、
一番下まで降りきればステージクリアとなります。



『ジョイジョイキッド』(SNK)という
往年のパズルゲームをご存知の方は、
アレを「上下逆さま」にしたゲームと言えば
ピンと来るのではないでしょうか?

「主人公自体が移動する」という発想からすると、
『ぐっすんおよよ』(アイレム)のほうが
近いかもしれません。




…とにかく『一番下まで辿り着けばOK』なので、
極論、画面中ブロックだらけになっても、
「たった一筋、最下段まで通じる
幅2ブロックの道さえあればクリアできる」
という豪快なルール。



そのため、見た目は『テトリス』なのに、
その攻略法が全く異なり、
実に新鮮な知的好奇心
楽しむことができるのです。




…また、主人公に重ねるようにブロックを
置いてやる
と、主人公はそれを足場にして
上に登ることができます。


深い穴にはまり込んだ主人公を助け出すのに
重宝するテクニックです。



…さらに、画面の上のほうには『釣り天井』
回っており、これに触れたブロックは
全て粉砕されるようになっています。

つまり、ブロックが高く積み上がってしまった時も
「吊り天井」がそれらを破壊してくれるため、
本来の『テトリス』にあった
「上までブロックが積みあがる事による
ゲームオーバー」
無いのです。


そのため、ブロックが積み上がったことによる
「思った所にブロックをはめることが出来ない」
といった煩(わずら)わしさは、
当ゲームではほとんどありません。




…そして (これが大切なのですが)、
それぞれのパズル問題が、
上記の「システム」を実に良く
考慮した構成になっているのです。



とんでもなく難解に見えるステージでも、
例えば、一番下まで行ける通路をふさぐ
フタになっているブロックを
たった1ライン消しただけ
スルリと解けてしまったりします。



…問題の中に隠された
「制作者の仕掛けたワナとヒッカケ」との
思考的対戦という
『パズルならでは』の魅力が、このモードには
キッチリと内包されているのが感じられます。


当ゲームの問題の制作者は、そのあたりを
『良く分かっていらっしゃる方』なのでしょう。



…問題数も結構ボリュームがあり、
「20問×5箇所」の計『100問』。

じっくりと腰を据えて付き合えるゲームです。





■第四章『にも関わらず』


…シンプルなルールと操作形を持つ『テトリス』に、
「主人公を逃がす通路を作る」という
見た目の納得性が高いシステム
付加したゲーム『テトリスプラス』。


…なのに、
思ったほど高い評価を聞くことができないのは、
どうしてでしょう?

事実、私もアーケードで遊んだときは、
それほど面白いとは思えませんでした。




…理由は恐らく、
その『高すぎる難易度』にあると思うのです。



先ほど、上に積みあがったブロックを
壊してくれる「吊り天井」の話をしましたが、
実はこの「吊り天井」
たとえ相手が『主人公』であっても
粉砕してしまうのです。


しかも時間が経つにしたがって
じわ〜りじわりと降下してくるため、
のんびりとプレイしていれば押しつぶされますし、
主人公が深い穴からよじ登って脱出してきたところに
「吊り天井」が待ち構えている場合も
多々あるのです。




…また、「練り込まれたステージ構成」
というパズル的な良さが、逆に
『そのステージの意図に気が付くまでは
打つ手が無いほど難解』

な状況を生んでしまっていたのも、
プレイヤーが離れてしまった原因でしょう。
(皮肉なことですが…)




…そして最も大きな原因は、
『1ミスでゲームオーバーになってしまう』
厳しさにあると思うのです。


アーケードという市場の性質上、
長いプレイ時間が店側に嫌われるために
このような形態にしたのは分からなくもないですが…


コンシューマ版を全ステージクリアした私ですが、
それまでに行なったコンティニュー回数
100は下らないはずです。


お金のかからない「コンシューマ」なら
まだしも、「アーケード」だったら
ぜったい、途中で投げ出していたことでしょう。




…例えば、

@『1つのステージで3回まではミスできる』

A『ミスした直後から一定時間、主人公は無敵になる』

B『ステージをクリアすれば、ミス回数は0に戻る』

…という風にすれば、難解なステージにも
少しは対応ができると思うのです。



『残機制』と違って、
「ミスするごとにステージの最初に戻る」ような
時間のかかるシステムではないので、
プレイ時間が極端に伸びることもないはずです。




…まとめてみますと、
元のアイデアは良いのだが、
対象市場が『アーケード』である事を考慮した
システム・ステージ作りに、
もう一考の余地があるゲーム。


それが『テトリスプラス』だと思うのです。



…またいつか、さらに心地良く遊べる
環境を備えての続編を期待しましょう。

て、たしかどこかで
『テトリスプラス2』
見たことがあるような気が…


それに続編を期待しようにも、
もう大元である『ジャレコ』自体が
無いわけだし…




止むを得ん。


お前が意志を引き継ぐのだ。



頼むぜ『パセサジ』ーー。




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