ドリームキャスト用ソフト

『爆裂無敵バンガイオー』

販売…トレジャー       購入価格 1980円

執筆日:2002年 5月19日





■第一章『薬』


『爆裂無敵パンガイオー』は、
知る人ぞ知る硬派シューティングメーカー
「トレジャー」の作品です。


故郷『男星(おとこぼし)』に巣くう社会のダニどもに
一発ヤキを入れるべく、
2人の兄妹巨大人型メカ「バンガイオー」を駆って戦う、
全方向スクロール爽快シューティングゲーム
であります。



…合間々々に入るストーリーヒントメッセージ
イカれ具合も素晴らしく、
「気合」「投げやり」がほどよく調和した
ナンセンスシナリオは強烈です。


このシナリオライターさんは、
よほどの実力者か、
よほどのドラッグキング
いずれかかとお見受けします。

(僕は大好きですけどね。)





■第二章『疾走、破壊王』



…当ゲームのルールは、
広いフィールド内を自在に飛び回り、
あらゆる物体を撃破しつつ、
どこかにいるボスを叩き壊せばステージクリア

という単純明快なものです。




…まず、ゲームを始めて驚くのが、
その圧倒的な自機の小ささでしょう。

テレビ画面の横幅が「自機20機分」ほどもある
と言えば、そのコンパクトぶりが
ご理解いただけるかと思います。



昨今の、特に対戦格闘ゲームに慣れた人たちには、
その小ささによる「見た目の迫力の乏しさ」
味気なく感じるかもしれません。

が、このサイズのキャラだからこそ、
「画面を縦横無尽に飛び回る自機のスピード感」
を表現したり、
離れた場所にいる敵を画面内に収め、
「プレイヤーが一目で獲得できる情報量を増やす」
ことが可能なのです。



『バンガイオー』を遊ぶと、
他メーカーに数多く見られる
「自キャラを大きく見せるためにカメラ視点がアップがちになり、
相対的に付近の状況が把握しづらい遊びにくいゲーム」

ヒドさが際立ちます。



そんな基本的なことも分からない
カス企画者の作ったものを押し付けられる
か弱いユーザーの身である自分たちが
悲しくなってきますね。




…さて、話をゲーム説明に戻しましょう。


主人公の乗り込む「バンガイオー」
2種類のショットを自由に切り替えて
使うことができます。



1つは『ホーミングミサイル』

ショットが敵を追いかけてくれる上に、
ショット自体の飛距離が長いので、
広い場所で大量の敵を相手するときに威力を発揮します。

ただ、ショットが急角度で曲がれないので
高速に動く敵が近距離に来たときに対応できなかったり、
狭い場所での使いづらさなどが難点
です。

また、相手がショットの届かない
「囲まれた壁の向こう」に居ても、
直線距離さえ近ければ向かっていこうとする
ので、敵の配置によっては
とんでもなく使いづらい武器になってしまいます。




…もう1つの武器は『反射レーザー』

その名のとおり、
壁などで跳ね返りつつ飛んでいく高速レーザーで、
狭い通路や密閉空間で威力を発揮します。

狭い場所で撃ちまくれば、
付近が「飛び交う自機のレーザー」で埋め尽くされ、
敵に対する同情の念すら湧く思いです。


一方で、直線にしか飛ばず、飛距離も短めなので、
広い場所ではキッチリ狙って撃たないと
敵にカスりすらしません。




…以上2つのショットを場面場面で使い分けて、
画面内のあらゆる物体を破壊していく事が、
当ゲームの目的です。

敵のショットすら撃ち落とせますから、
撃って撃って撃って撃って
撃ちまくって下さい。


これこそがシューティングです。



…敵ばかりか、
付近の民家すら破壊することができます。


破壊時に、
『うわああぁ』
『ぎゃああぁ』

等の悲鳴が遠くから聞こえて良心が痛みますが、
ようは慣れです。


やがては快感です。



ズラリ並んだ民家を一気に連鎖破壊して、

『うわ、ぎゃ、ぎゃ、うわ、ぎゃ、うわ、ぎゃああぁ…』
(7コンボ)

などとリズミカルな殺戮に酔うも一興。



これこそがシューティングです。





■第三章『爽快、弾幕王』


…以上のルールだけでも結構な爽快感を得ることができますが、
さらに『カウンターショット』なる
特殊攻撃のアイデアを加えることで、
当ゲーム独自の快感を生むことに成功しています。


『カウンターショット』は、
いわゆる「緊急回避ボム」と似ており、
物を壊す (なんでもイイ。 敵弾ですらOK) ことで
メーターが溜まり、ストックされていきます。

 敵の弾すら壊せる当ゲームですから、
「ボム」が枯渇することはほとんどありません。



これを使用すると、自機のを中心にして
その時点で使用している種類のショットが、
全方向にまんべんなく、合計数10発撃ち出されます。





『なんだ、よくあるタイプのボムじゃん?』

…と、お感じのアナタ。

続く説明をお見逃し無く。




…たった今、「数10発のショット」と書きましたが、
これは付近に敵の弾が飛んでいない静かな場面でのこと。

当作品のボムは
カウンターショット』の名に恥じず、
付近を敵弾に囲まれれば囲まれるほど、
そのショット数が
飛躍的にアップする
のです。



最大数は、驚く無かれ『400発』。



もう、敵を狙うとかそう言うレベルの話ではなく、
自機を中心に広がっていく「丸い壁」に
敵が飲み込まれていく
と言ったほうがピッタリくるほど
圧倒的な弾幕を張ることができるのです。




しかも、『ホーミングミサイル』が撃ち出されたときに
それらが敵を追いかけるのは当然ですが、
「カウンターショット時」に限り、
『反射レーザー』にも擬似ホーミング能力が付きます。


つまり、
普段は壁にぶつかると鏡のように反射するレーザーが、
『壁にぶつかった時点で、最も近くにいる敵に飛んでいくよう
自動的に反射角度を調整

してくれるのです。

狭い空間を進んでいるときに
『反射レーザー』が有利な理由の1つが、
この『カウンターショット』の改良点にあるのです。





■第四章『細やかなアイデア』


…大雑把なシステムの説明はこんなところですから、
次は「細かい仕様」「改良の余地」について
語ることにしましょう。




■『ダメージ』について

…自機「バンガイオー」は、敵のショットに対して
7〜8発分ほどの耐久力を持っています。

が、なんと、他のゲームでよく見かける
『ダメージを受けた後の無敵時間』ありません。

そのため、体力がマンタンでも、
ちょっとした油断で瞬殺されることも多々あり、
常に適度な緊張感の中でプレイすることができるのです。




■『各面のボス』について

…普通に攻撃をしかけてくるボス以外に、
『全く反撃してこないボス』(コア類)があります。

これは、
そこに辿り着くまでの道のりが困難なステージにおいて、
やっと見つけたボスに「残り少ない体力」で挑んで
惨敗 → 最初からやり直し
というイヤな思いをさせないための、
スタッフの心配りではないかと思うのです。




■『敵配置』について

…遊び込んでみると、一見難解な場所
実は『カウンターショット』一発で大逆転できるよう、
絶妙な敵配置を施されているところが随所に見られます。


たとえば…

「壁を全部壊して、その向こうから解き放たれた
大量のザコを1匹1匹倒す」


のではなく、

「壁に小さな穴を開けて中に入り、
ザコの真っ只中で『カウンターショット』をブッ放して、
逃げ道を無くしたザコどもを一網打尽にする」


…などなど。


行動の順番によって
作戦も得点も全く別物
になる敵配置は秀逸です。




■『BGM』について

…往年の「コナミ」のゲーム音楽CDの目玉であった
『アレンジバージョン』を思い起こさせるような、
心地良いフュージョン系のBGMの数々は、
当ゲームの爽快感を支える大切な「柱」となっています。

通常ステージのBGMだけでも
15種類ほどのバリエーションを持っており、
ストレートに気持ちいい曲作りの姿勢には、
しみじみとした感動すら覚えます。


…昨今の、変にひねった、
その割に中途半端な盛り上がりしか無い曲
を作って
「個性」を気取っているようなカス作曲者の方々は、
ぜひ『バンガイオー』の曲から何かを学んでください。




■『爆発エフェクト』について

『カウンターショット』を撃ったときに
画面がフラッシュしますが、そのせいで一瞬、
付近の状況が分からなくなることがあります。

特にボス戦で、
お互いが『カウンターショット』を撃ち合ったときなどは、
自分の居場所を見失い (あるいは、ボスと自分を見間違えて)、
不慮の死を遂げることが度々ありました。


…初期コンフィグで、
フラッシュの「ON/OFF」を設定できる
と嬉しかったです。




■『マニュアル』について

『カウンターショット』等、
特異なルールが採用されているのに、
それに関する説明がほとんど見当たらないため、
プレイしていて行き詰まったときに実に不安です。




■『得点システム』について

…最終的には
『各ステージ毎の高得点をめざして切磋琢磨する』
のが目的のゲームなのに、テクニックの中核をなす
『連続爆破数』に対するボーナスが素っ気なさすぎます。
(単純に「爆破数×100点」で計算される)


「大きな爆破数」は出すのが難しいのですから、
その成功率に反比例した、飛躍的に高いボーナス
与えられるべきでしょう。


…そのほうが、プレイヤーも挑戦しがいがあると思うのです。




■『ステージ1の構成』について

最初から動ける範囲が広いので、
ウロウロしているうちに死んでしまう事がよくありました。

ボスも、プレイヤーが『カウンターショット』
よく理解できていない序盤にしては強すぎです。


ステージの上下幅をテレビ画面と同じぐらいまで狭めた
『通路状ステージ』にして、
プレイヤーを迷わせないようにしたり、
部屋の中の敵を全滅させるなどの小目的をこなす事で
次の部屋へのハッチが開き、
ゲームルールを学びつつ先に進めるような
『ミッションクリア型ステージ』にするなどの、
初心者への配慮を希望します。




■『最終ボスの難度』について

…対処方法が無いわけではないですが、
ちょっとのミスで瞬殺される激烈な難易度
には疑問が残ります。

そこに至るまでのステージの長さもかなりのもので、
その疲れを引きずってのボス戦は
あまりにもキツすぎます。


一度ボスまで辿り着いた場合、たとえ死んでも
2回目以降はボスの直前から始められる選択肢
(当然、道中で稼げるはずの点数は手に入らないため
総合得点は低いものになってしまう。)

があれば、最後の印象も良くなったのでは?

…と思うのです。





■第五章『さいごに』


…さて、このゲームの感想を書く前に、
ネット上での当作品の批評をいくつか見てきたのですが、
ちょっと不本意な批評が多かったのが残念でした。


『キャラが小さいからダメ』だとか、
『ストーリーが同人的だからダメ』だとか…

ゲームの根幹となる『システム』に言及している人が
ほとんどいない
のにはガッカリさせられました。



『キャラの小ささ』には、
当批評の最初のほうで話したような理由があります。

そして『ストーリー』に関しては、
制作者自身が「オマケ」と割り切り、
面白がって書いている
としか思えない内容なのに、
それを捕まえてゲーム全体を批判することに
何の意味があるのでしょうか?





「物を批評する行為」は、
人間どうしの付き合いと似ています。


批評する本人の『定規』を
無理に変える必要はありません
が、
『幅』を広げる努力は常にするべきであり、
その「幅」に責任が持てないのなら
物事を批評すべきではない
と僕は考えます。





…かたい話になってしまいましたね。
ではでは、そろそろ「まとめ」といきましょう。



…敷居は高いかもしれませんが、
『爆裂無敵バンガイオー』は、
間違いなくシューティングゲームの秀作です。

アナタもぜひショップに走り、
弾幕を張りまくって下さい。



攻め、かわし、肉薄し、そして撃破する。

シューティングの基本にして最高の快感が、このゲームのです。




…男なら、生涯のうちで一度は
「弾幕」を張ろうではありませんか。


幼少のみぎり、
『超時空要塞マクロス』弾幕に胸ときめかせた方は、
是が非でも『バンガイオー』を入手すべきです。

そして、張るのです。 弾幕を。


…今宵、「一条 光」となるために。




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