ドリームキャスト用ソフト


『レインボーコットン』


販売:サクセス        プレイ時間 :「ステージ3の初めまで」

購入価格:釣人さんに借りる      執筆日:2003年 7月15日





■第一章 『萌へ萌へ』


『レインボーコットン』(サクセス)は、
3Dシューティングゲームです。

主人公が画面中央に位置し、
画面奥に向かって進みながら敵を撃ち落していきます。



…元々、『コットン』というゲームは、
同社の看板2Dシューティングゲームで、
2000年ごろに続編も出ております。


愛らしい姿とうらはらに、
銘菓『ウイロー』に対する凄まじい執着心をたぎらせる
主人公の魔道少女『コットン』や、
お供の妖精『シルク』
デモグラフィックが受けたり…

見た目とうらはらに
結構ハードなゲーム難度丁寧な作り
当時の多くのシューター(ソレ系に萌へ萌へな方々は特に…)
に指示されたりと、色々な意味で有名なゲームです。

(…て、偉そうに書いていますが、僕はほとんど遊んでないのです『コットン』
当時の僕には難しすぎて…)





…さて、そんな経緯を経て、何やかんやで
3Dになって帰ってきた僕らの「コットン」なんですが、
その出来や如何(いか)にー?






■第二章 『概要』


…ゲーム進行は、ほとんど
今までの「3Dシューティング」の流れそのままです。


画面奥に進み、奥や周りから迫ってくる敵を撃ち、
ステージ最後の巨大ボスを倒せばステージクリア…


という構成は、『スペースハリアー』(セガ)の頃から
少しも変わっていません。


でも、建物・地形などが障害物となっているあたり、
むしろ『ギャラクシーフォース』(セガ)
近いかも知れませんね。





…当ゲーム独自のシステムとしては、
『敵を一掃する魔法』(途中にあるアイテムを取れば補充される)
がストック分だけ使えることと、
妖精の体力が残っている限り
『妖精を敵に体当たりさせて攻撃補助に使える』
ことの2点。

つまり、「2Dシューティング」の雰囲気を、
そのまま3Dに持ちこんでいる
わけです。



遊んでいて、
『これでカメラ視点を「横から」にしちゃえば、
2Dシューティングだよなー。 そのほうがイイなー。』

と思う場面も多々ありました。
(いや、もちろん、視点を変えるだけではゲームにならないのは当然ですが…)




「パステル調のキャラクターたち」や、
空気遠近法による「遠くの風景の霞みぐあい」
などが醸しだす雰囲気は、ちょうど
『夜のカーニバル』
『夢の中のサーカス』

を感じさせる幻想さです。






■第三章 『3Dゲームとして』


…しかし、遊んでみると、
その『とてつもない遊びづらさ』に愕然とさせられます。

理由は、だいたい以下の3つではないかと。




『自機に隠れる敵』

…敵が、主人公「コットン」
隠れてしまって見えません。

特別「コットン」のポリゴンモデルが大きいという
わけではないのにこんな事態に陥るのは、
『敵が真正面の、しかも遠方から登場する』
のが原因だと思われます。


真正面から現れる敵は大きく動かすようにしたり、
上下左右から登場する敵を増やすなどすれば、
回避できる問題だと思います。





『大混乱のゲーム画面』

クッキリとパステル調のキャラクタが入り乱れる
ゲーム画面は、とんでもなく見にくいです。

主人公の『ショット』はもちろん、『照準』もカラフル、
これにカラフルな『アイテム』が浮遊しまくる様は、
『ディ●゛ニーランドのポスターを貼り込んだ水槽で泳ぐ熱帯魚』
を見る思いです。


場面によっては、ショットを撃たずに
「避け」に専念したほうが生き残る確率が高い場合すらあり、
イヤ気がさします。





『根本的なシステムの問題』

…さて、この問題を分析するにあたり、
ちょっと過去の作品との比較をやってみましょう。


■『パンツァードラグーン』(セガ)


…まずは、当ゲーム同様「主人公が空中を飛び、
ほぼ画面中央から動かない」
という点で酷似している
『パンツァードラグーン』(セガ)のシステムを見てみましょう。

『パンツァー〜』は、『コットン』で見られるような
3Dゲームの弱点を、どう克服しているのでしょうか?




…まず気付くのが『敵のスピード』で、
『コットン』に比べて
敵がゆ〜っくりと出現し、ゆ〜っくりと移動します。

そのためプレイヤーには、敵の動きに
「ロックオンカーソル」を合わせる余裕があります。


逆に、『コットン』の敵は速すぎて、
ロックオンが運まかせな場面が多すぎます。

(こう考えると、現在の『3Dシューティング』のシステムは、
『もぐら叩き』の延長といえるかも知れませんね。
敵が出てから、そこにカーソルを合わせるまでの時間と、
ショットタイミングの正確さを要求する、という点で…
蛇足な話ですが。)





…次に、『レーダー』の存在。

プレイヤーからは見えない
「画面外から接近する敵」をレーダーで表示させることで、
『ショット方向をどこに持っていくのが効率的か?』
についての情報を事前に提供しており、親切です。




…さらには秀逸なのは『ロックオンレーザー』です。

カーソルがちょっとでも敵に重なれば迎撃できるため、
大量のザコにも対応でき、爽快感も得られる
という一石二鳥には、
考案者への尊敬すら感じます。

(もっとも、『ロックオンショット』の初出は
「アフターバーナー」(セガ)なのですが…)







…上記の比較から分かることは、
『「コットン」は、大量の敵への対処法が
ほとんど用意されていないにも関わらず、
敵の出現数が多すぎる』

という点です。

2Dゲームを作る感覚で
「3Dゲーム」を作ってしまったのが敗因

という事らしいですね。





…では逆に、
他の『敵の数が多く動きも速い3Dシューティング』は、
その問題をクリアしているのでしょうか?



■『スペースハリアー』(セガ)


…最初に結論から言ってしまうと、
『ハリアー』と『コットン』には
決定的に異なる部分が存在します。

それは『弾道の違い』


『コットン』で、
「主人公が左右上下を向いて撃ったショットが
カーソルの向いている方向に飛んでいく」

のに対して、
『ハリアー』では、
「画面のどの位置から撃ったショットも
そこから『まっすぐ奥』を目指して飛んでいきます。




…つまり、上空から眺めたときに、
『コットン』のショット角度は広く拡散し、
『ハリアー』は進行方向に沿った直進ショットのみ

というわけです。

これが、『敵への命中率』にどう影響するかは、
言うまでもありませんね。

(ピンと来ない人は、左右に動くたびに自機が微妙に傾いて、
ショット方向まで変わってしまう「縦スクロールシューティング」を
想像してみて下さい。 …ね、遊びづらそうでしょ?)





…また、一見すると『コットン』同様に
ものすごいスピードで動いている『ハリアー』の敵も、
攻撃態勢に移るにしたがって
画面中央付近に集合する
ようになっています。


…主人公を大きく動かして
敵弾をよけながらショットを撃っていれば
意外と何とかなる『ハリアー』バランスの秘密は、
こんな所にあったんですねー。






…結論。

『敵の動きを再考』するか、
『ショット方向を練り直す』か。

いずれかの変更によって
『レインボーコットン』遊びやすくなるでしょう。






■第四章 『その他ー』


…あと、気付いたことをチョコチョコと。




■OPムービー寒すぎ■


…ゲームの所々で「ムービー」が入るのですが、
『妖精の国で事件発生〜旅立つコットンとシルク』
のムービーの出来が
筆舌に尽くしがたくヒドいです。


やっている事自体は底々及第点なのですが、
『低い画力』
『ダラダラした間(ま)』
『15年前のレベルのお約束ギャグ』
のオンパレードに、
誇張ぬきに頭痛をもよおした私です。



…直後の『町に到着したコットンたち』のムービーで
一気に「画力」も「間」も良くなるあたり、
(ムービーごとに制作チームが違うらしい)
ムービーの受注先の選択を誤ったサクセスに哀れみを感じます。





■妖精、うるさすぎ■


…主人公の周りを飛んでいる妖精がしゃべるんですよ。


独り言を。


時には会話を。


ゲーム中、延々と。



…その内容がまた、
『15年ぐらい前の女性キャラがお約束で口にするグチ』
めいたものばかりで、
上記の「ムービー」の出来などからも合わせると、
『なんか、やりたい放題の内輪ネタが祟(たた)って
会社が傾いた時期の「スタジオぴえろ」の
ダメアニメを延々見せられている』

ような不快感がありますね。

(古い話で申しわけない。 当方、最近のアニメ事情には疎くて…)






…さて、こんなとこでしょうか?

実はこのゲーム、友人の釣人さんから借りて
「批評書かなきゃー、書かなきゃー」と思いつつ
『2年近く』ほったらかしにしておりました。

理由は、
『僕が3Dゲームの批評に疎かった』から。




…当ゲームが面白くないのは分かるんだけど、
その明確な理由がシステム的に証明できなくて、
ズ〜っと心に引っかかっていたのです。

でも今回、他作品との比較の中で
何とか結論が出せたのでほっとしています。




…ただ、僕の気付いていない『原因』が、
まだ他にも存在する可能性は残っています。

これを読まれた人の中で、
そういったシステム考察に自信があって、
問題点に気付かれた方!


不肖私めにご教授下さりませ〜。


世露死苦ー。 では。




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