プレイステーション2用


『蒼天龍』 ジ・アーケード


販売: デジキューブ (開発:童)

プレイ時間 : オールクリア2回

購入価格: 550円

執筆日: 2005年 10月22日





■第一章 『こんなルール』


『蒼天龍 ジ・アーケード』(童)は、パズルゲームです。

ずらりと並んだ「牌」をルールにしたがって取り、
全てを取り除くのに成功すれば勝利
、というゲームです。

ルールは以下のとおり。



『全体は一本につながっている』

一見すると、カクカクと直角に蛇行する並びになっていますが、
先頭から尻尾まではつながっています。

「牌」を取ると、先頭のほうに隙間をつめるような動きをするため、
取った場所より尻尾側にある牌の位置が全て変化します。



『牌の取り方』

「同じ列にある牌」か「1回だけ曲がった先にある牌」の中で、
『ペアになっている牌』は取ることができます。

つまり、同じ種類の牌が『くの字型の範囲内に2つ』あれば取れる、
ということですね。



『牌は4枚一組』

なので、最初のほうでどれとどれを組み合わせて取るかによって、
後々の展開が変化してくる。 これは『上海』、『四川省』にも見られる、
麻雀牌ゲーム独特の戦略の1つですね。



『裏になっている牌もある』

牌が『裏返し』になっているせいで、
正体が分からない場合もあります。

すぐ隣の牌を取ると、表を向いて正体が判明します。



『高さの違い』

「高さ」は異なっても、上から見たときに
『くの字型』の中に収まっていれば牌は取れます。


が、『土台となっている牌』(高さが1⇔3と変化する場所なら、
「一番下」と「真ん中」の牌)
は、絶対に取れません。






…と、こうしてルールを並べてみると、
なかなかに独創的なゲームに仕上がってる感じです。

ちょうど、『四川省』(二角取り)と、
トランプゲーム『王様の結婚』を足したような、
ありそうで無かったシステム。




上のルールから逆に考えれば、
様々なステージ構成が思いつきます。


『くの字型の長さに強弱をつけることで、ひとつのステージ内でも、
どこを中心に戦うかによって有利不利が変化する』

『配置する牌の総数、種類のバラつき等を変化させることによる難度調整』

『アップダウンを多用することで高難度ステージに』




古本屋で10本ぐらい並べられて投売りされていたものを
大して期待せずに買ってきたんだけど、
実はかなりの『当たり』を引いたのでは!?と興奮しました私。







■第二章 『ええーーーーーー!?』


なのにジックリ遊んでみると、大変なことが分かってきました。

このゲームは、せっかくの良いアイディアを
全っ然かみ砕いていないのです。



このゲームが、「アーケードゲーム」という
インカム最優先の特殊な商品として開発された経緯は理解できます。

が、これは『家庭用ゲーム』なのですから、
移植の際にそのあたりについての改良が施されるのが当然。

でも、このゲーム、アーケードそのままをDVDにブチ込んで
『はい、家庭用』
て感じになっています。 なめてます。



どこらへんがダメなのか、
取りあえず思いつく限り列挙してみましょう。




『チュートリアルが希薄』

「全体が一本につながっている」というキモになる部分をスッ飛ばして
解説がなされているので、説明を見ていてわけが分かりません。

特に筆者は、当ゲームを『上海』げなゲームだと思い込んでいたので、
なぜアレが取れてコレが取れないの??? と、大混乱。


もちろん、『上海などのゲームとは違うんだ。 先入観を持たずに見てくれ。』
という開発者の思いがあったのかも知れませんが、
それならタイトルに『龍』を冠するべきではありません。

既出のゲームで「龍」が付いて、しかも牌を使っていれば、
『上海系のゲーム』というのがこのジャンルの暗黙の了解の
ようになっていることは、ちょっと市場調査すれば分かるはずです。




『早い時点でゲームオーバー確定』

元々「取った牌によって、後ろの並びが全部ズレる」という
偶発性の高いシステムをつんでいるにも関わらず、
「裏返しの牌が混じっている」という極悪ルール。

ステージによっては最初のほうでいきなりゲームオーバーが
確定してしまう
場合も多く、アドリブ度外視の作りは不快です。


「制限時間」まで設けているんだから、
『一手戻し』ぐらいさせてくれないとユーザーが不利すぎます。




『ステージ構成が単調』

先述のとおり、ステージ構成の工夫次第で
ドンドン新しい魅力が生まれそうなシステムなのに、
それを考慮したステージがほとんど見当たりません。

裏返しの牌の数を増やして『はい、高難度ステージ』 …て感じ。

胸をかきむしるほどモッタイナイです。




『追加要素ナシ』

先ほども書いたとおり『家庭用』なのですから、
アーケード向きということで泣く泣くケズった
様々なアイディアを実現してほしかったです。

このゲーム独特のルール(くの字型の大小・高さの幅・牌の種類)
について特化したステージをまとめた『パズルモード』なんて、
オーソドックスだけど楽しめると思うのになー。




『極悪最終面』

最初は『四川省』の画面かと思ったほど、シンプルな長方形。
実は内部でグネグネに曲がった高難度ステージでした。

いや、それはイイ。

問題は、『どこで曲がっているのかが分からないので、
ほとんど作戦の立てようが無い』
という点。

つながっていない部分に「壁」を示すラインぐらい入れてくれよー。


何か、エンディングを見られるとマズイ事でもあるのですか?







■第三章 『まとめ』


遊んでみて、こんなに
『もったいない!』と思ったゲームは久しぶりです。



製作者さんがまだこの業界に残っていて、
このシステムに愛着があり、志も残っているのなら…

いつの日か『蒼天龍2』にて、今回指摘したポイントを改良の上、
さらなる良作へと進化させてやってほしい。

その気が無いなら俺がもらっちゃうぞ、このアイディアー。
製作サイドの奮起を期待しております。


そうそう最後に、このゲームの女性たちのグラフィック。
クセはあるけど、僕は結構好きです。
表情が多彩だと、もっと良いですね。





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