NINTENDO 64用ソフト


『ウェットリス』


販売:イマジニア            プレイ時間 :「2時間ほど」

購入価格:980円          執筆日:2003年 9月20日





■第一章 『天国から地獄』


『ウェットリス』(イマジニア)は、
3D落ち物パズルゲームです。


ルールを大ざっぱに言うと…


上から、「壁」「水」「火」が降ってくる。

「壁」をうまく配置して囲いを作り、
その中に「水」を落として池にして、
「火」で池の水を蒸発させる


というものです。

なにか、昔公園でやっていた『水遊び』を思い出させて、
興味が湧くシステムですね。


囲いが出来ていない場所に水を落とすと、
隙間からポトポトとフィールド外に流れ出し、
その量が規定値を超えてしまうとゲームオーバーです。


…今まで色々なゲームを見てきましたが、こんなに
『感覚的に納得がいくシステム』も珍しいと思います。

幼い頃の実体験が、そのまま
ゲームシステムに結び付いているのですから。





で、期待に胸ふくらませて遊んでみたら…

なんじゃ、こりゃ!?

遊びづらいわ、つまらないわで、
ものの10分でイヤになってしまいました。




…その後も何度か挑戦してみて、とりあえず
『なぜダメか?』だけは掴む事ができました。

それは第二章で語りますね。
とほほ… 楽しみにしてたゲームなのにー。(泣)






■第二章 『周転円』


…では、発想自体は素晴らしい『ウェットリス』をダメにした
システムの数々を列挙いたしましょうコン畜生!



『分かりにくい3D表示』

…パーツの下にはができるので、
落下地点は把握できます。

が、ボンヤリした影なので、
しっかり画面に見入って付近の地形と照らし合わせなければならず、
他の落ちゲーで味わえる『自分の瞬間的な判断と操作』
酔うことができません。

イライラします。




『足りない壁』

…降ってくる『壁』には、
「直方体」「T字型」「L字型」があります。

これで水を受けられる囲いを作るには、最低でも「2〜4個」
余裕のある広い囲いを作ろうとすれば「5〜8個」
欲しいところです。


ところが『水』のほうは、平均して
4回に1回ぐらいのハイペースで落ちてくるのです。

足りねぇじゃん。


…マニュアルによると、
すばやく『壁』を配置していけばイイそうです。
どうやら、『水』の出現は
一定のタイムテーブルによる
らしいですね。

でも、そのシステムって根本的におかしくないですか?

遊んでても、常に急(せ)かされているようで、
なんかイヤです。 ヒドい話です。




『ボム』

…たまに『ポム』が降ってきて、
フィールドに大穴を開けます。

どんなに高く壁を積み重ねていても関係ありません。
一発で下まで貫通し、そこから溜めた水が流れ出します。
ヒドい話です。



『ならば、フィールドの一角に
「ボム投下」専用地点を作ればイイ』。

誰でも考える戦法ですね。

ところが、穴があいた場所にさらにボムを着弾させると、
新たに3個の『ボム』が投下されてしまいます。

ヒドい話です。




『雨』

…少ない『壁』で効率良く水を受けるには?

そう、狭い場所に高〜く壁を積み上げて
「井戸」のような地形を作れば良い
のです。


…ところが、それをあざ笑うかのように
ランダムで『雨』が降り注ぎます。

囲っていない所に落ちた『雨』は
全てフィールドから漏れ出してしまう
ため、必然的に
「フィールド全体を囲うような壁配置」にせざるを得ません。


そこに、前述の『ボム』が降ってくるのです。
どこに着弾させろというのでしょう?

ヒドい話です。






…結局、上記の4つの問題点に対抗する戦法は、
『全体の9割ほどを壁で囲い、残り1割を
ボム落下地点として使用する(開いた穴は補強しつつ…)

というものでした。

曲がりなりにも戦法が見つかったので、
まあ、良しとするべきでしょうか?

ただ、後はそれを死守するだけなので、
ゲームとしては単調ですが。




…しかし、こうして見回してみると、
このゲームの「根本となるシステム」以外のサブシステムに、
ある共通点が見られます。

つまり、
『遊んでいくと必然的に浮かび上がる必勝法を、
サブシステムで妨害している』
点です。

それってヒドすぎません?




…「システム」は本来、
全てが影響しあって1つの生命体を形作る『臓器』
のようなもの。

にも関わらず、このような、
『システム上の欠陥が見つかるたびに、
後付けシステムでムリヤリ埋める』

という行為の蓄積では、
そのゲームのシステムがちぐはぐになるのも当然です。

(こういう行為を、『空想科学読本』でおなじみの柳田理科雄さんは、
『周転円に周転円を重ねる』と表現していました。)






『実は、基本となっているシステム自体に
根本的な問題は無かったのか?』


製作者には、穴の補強よりも先に、
そこにこそ考えを巡らしてほしかったです。






■第三章 『最後に』


…最後に、他に気付いたことを2点ほど。



『統一感の無いビジュアル』

…BGMなどが物凄く重厚なのに、
キャラがポップ過ぎてチグハグです。

これ多分、キャラのほうが後付けなのだと思います。


ゲーム自体が海外ゲームぽいので、
海外で人気の出たゲームを日本に輸入する際に、
キャラを日本人好みに描き換えたのではないか?

と、勝手に想像している僕ですが。


元からだとしたら、もう何も言いません。
今後も、そのセンスで突っ走って下さい。

責任は持てませんが。




『改良のアイデア』

…フィールドにマス目を敷いて、
『パーツの配置はそれに合わせる』
ようにしてみてはどうでしょう?

3Dによる高さの把握のしやすさを残しつつ、
2Dゲームの微調整の容易さを取り入れられると思うのですが?





…結論としては、
他人には、ちょっと薦められないな〜、このゲーム。




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