NINTENDO 64用ソフト


『ウッチャン・ナンチャンの炎のチャレンジャー
電流イライラ棒』


販売:ハドソン        プレイ時間 :「ステージ1まで」

購入価格:680円        執筆日:2003年 8月5日





■第一章 『不景気』


『〜電流イライラ棒』(ハドソン)は、
実在するテレビ企画をゲーム機で再現した商品です。


流れとしては、
金属のレールで仕切られた細長い通路を、
それに接触しないように金属棒を動かしていき、
ゴールインすれば現金100万円がもらえます。

(実際の番組ではね。 ゲーム機のほうはタイムアタックが目的。)


番組としては、けっこうヒットしていたようです。
僕はほとんど見ませんでしたが。





…それにしても、この
『〜できたら100万円』というテレビ企画、
商売的には実に上手く考えられていて感心します。


「100万円」というと庶民には大金ですが、
番組制作費としては破格のものだと思います。

チャレンジも、毎回成功するわけではないし。

何より、出演者は素人ですから、
当然出演料はゼロ

お金をかけなくても番組が作れる、という
見本のような企画です。




…そして、不景気まっただ中「本物の実力」
要求される昨今に、さっさとリタイアして
ヘボバラエティ見て喜んでるヘタレども
を満足させるには、
『自分たちよりダメっぽい人間の姿』
を見せるのが一番!


ならば、人間が最も浅ましくなる
『食欲・性欲・金銭欲』が露出する番組にして、
出演者の浅ましい奮闘を見せ、
視聴者にいつわりの優越感を与えて喜ばせるのが、
最も手軽かつ効果的なわけです。




…あらためて文章にしてみると、
制作の連中がいかに我々視聴者をナメているか
実感されてムカつきますね。

もっとも、制作者もアレですが、
こんな『目クソが鼻クソを笑う番組』
大喜びできる視聴者がいる
という事実にも、僕は寒気を感じますが…





…そういえば当時、新聞の投稿番組評で、
この手の企画のテレビについて
『不景気で色々たいへんだが、
成功を目指して頑張っている人の姿を見ると、
自分も頑張ろうと思える!』
とか、
番組にエール送ってるヤツがいましたね。


おいおい、不景気でたいへんな事になってるのは、
君のではありませんか?


こんなヘタレ番組『襟を正され』ては、
そりゃ、太宰治も入水しますね。



まあ、この投稿者
『番組制作関係者ではない』
という保証はどこにもありませんが。





…て、全然ゲーム批評に入らなくて
読んでる人もイライラしてると思うので、
この話はココまで。






■第二章 『ゲームとしては』


…では、ゲーム内容を説明しましょう。


操作には『3Dスティック』を使います。

十字ボタンにはできない『微妙〜な方向指示』ができる
「3Dスティック」だからこそ実現できた企画という点では、
『表現の進歩』として純粋に嬉しい僕です。

『実況中継』を入れることで、
番組の臨場感を作り出すことにも
成功していると思います。





…ですが、こうしてテレビ画面で遊んでみると、
所詮は昔からある『マウスを使った迷路脱出ゲーム』
大差無いことに気が付いてしまいます。

また、「3Dスティック」を使うとはいえ
非常に微妙な操作を必要とするゲーム内容なので、
ちょっとスティックがズレただけでミスになる事が多いです。


しかも1ミスでゲームオーバーという
悪い意味での本物志向。


爽快感は、カケラもありません。





『「イライラ棒」の名に恥じない』
と言えばそうなのかもしれませんが、
もっと、ゲームとしての楽しさの付加があっても
良かったのではないでしょうか?

『3ミスまでOK』とか。
『練習用のミニマップを多数用意する』とか。



どうせ、このゲームで完璧になるまで練習したって、
実際の番組の「電流棒」は
『2本の腕と、体全体』
でコントロールするわけですから無意味ですし。






…最後に、ゲーム部分の改良案としては、
ボタンを押したときの「棒のスピードアップ」に加えて、
『棒のスピードダウン』ボタンがあるとイイですね。

で、このボタンを使っているときだけは
『画面の拡大率が上がる』ようにすると、
もっと良いのでは?



スピードダウンするときは、
イコール『小さな領域で、細かい操作が必要な場面』
に決まってますし、実際のそういう場面でも
挑戦者は通路に顔を近づけて棒を動かそうとするはず。

ミスも減り、プレイの現実感も増すはずです。




…まぁ。 続編があれば、の話ですが。




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