対戦

『ジャンケン』


プレイ回数 :「おまえは今まで食べたパンの枚数を憶えているのか?」

価格 その腕1本       執筆日:2003年 7月10日





■第一章 『究極』


…誰かと勝負をするときに、
最も重要な点といえば何でしょうか?


そうです。

『お互いが同等の勝率を見込めるものであるかどうか?』
という点ですね。




『将棋』『リバーシ(オセロ)』が、
両者とも全く同じ性能・数の駒を使って戦うのも、
互いの対戦条件を同一とするためです。

『将棋』で、強い人間が自分が使う駒をあらかじめ制限したり、
『野球』などで、先攻・後攻を弱い相手に選ばせることで
両者のペナルティを埋められることからも、それは明らかです。




…また、
『メンコ』『ベーゴマ』『対戦格闘ゲーム』などのように
各々の使用する手駒に性能差があるような場合は、
仲間どうしの内輪ルールや、設定値のバランス調整によって、
互いの格差を埋めています。



誰だって、明らかに自分が不利な勝負など、
(人によっては有利であったとしても…)
嬉しいはずがないのは当然ですね。





…では、誰もが知っていて、誰もがすんなりルールを飲み込め、
いつでもどこでも手軽に勝敗を決することができる

究極の勝負方法とは一体何なのでしょう!?




…タイトル見ればバレバレですね。

そう、『ジャンケン』です。






■第二章 『ルール』


『ジャンケン』ルールは以下のとおりです。

いえ、決して、これを読んでいる人を
バカにしているわけではなく、周知のものだからこそ
第三者的視点で冷静に分析する必要があると思うので。

とりあえず、以下を読んでみ。(横柄)




■ルール■


@ 出せる「手」は
『グー』『チョキ』『パー』の3種類。

力関係としては、
「グーは、チョキより強い」
「チョキはパーより強い」
「パーはグーより強い」
という『三すくみ』になっている。



A 『ジャンケン、ポン!』の掛け声と共に、
対戦者全員(理論上、人数の上限無し)
同時に好きな「手」を出す。



B 勝敗は@の力関係にしたがう。

この際、全員の出した手が
『2種類』に分かれている必要がある。

3種類、あるいは全員同じ手だった場合は、
『あいこでショ』の掛け声と共にAをくりかえす。



C 負けた者は勝負の輪から外れ、
勝ち残った者どうしで改めてAをくりかえす。



D 残り人数が規定数(任意)まで
減った時点で、勝負終了。


規定数より少なくなってしまった場合は、
直前に(負けて)抜けた者たちどうしで
敗者復活戦を行なう。






■特殊ルール■
(名称は地方によって異なる)



『最初はグー』

…上記ルールAの時点で、1回目だけ
『最初はグー』の掛け声で全員がグーを出す。

当然、勝敗には無関係。

一撃で勝敗が決まってしまう精神的ショックを和らげたり、
参加者全員の連帯感の増加への期待に起因する行為
と思われるが、事実は不明。




『最初は… ジャンケン!』

『最初はグー』が慣例となっている場合に、
他者のウラをかく技。

当然「パー」を出す。

…ただし、周りの人間の猛反発にあって
『無効』となる場合がほとんどなあたり、
横並び社会「日本」の実状が垣間見える。

TPOへの十分な配慮が不可欠の技。




『最初はチョキ』

「最初はジャンケン!」が多発する状況で、
さらにウラをかいて『チョキ』を出す技。


この上さらにウラをかこうとすると結局「グー」に戻ってしまう。

それなら最初から
『ジャンケン、ポン!』にすりゃイイじゃん…

とか考える俺は日本の社会システムの異端児ですか?




『個別ジャンケン』

参加者がとんでもなく多人数の場合に使われる
ポピュラーなルール。

参加者全員が、適当な相手とペアを組み、
ジャンケンをする。


つまり、一度戦うごとに、
勝者が半分… 半分…と激減していくわけですね。


10000人近い参加者でも、このルールなら
たった10数回の勝負で『最強の1人』を選べる

と言えば、
この勝負法のすごさを実感いただけるのではないかと。




『抜けジャンケン』

…グループ分けの応用のようなジャンケン。

出した手の中で『一番多いもの』『一番少ないもの』
(どちらが抜けるかは最初に決めておく)
敗者として輪から抜ける。

参加者が多く、
かつ短期間で決着をつける必要がある場合に使用される。




『一発ジャンケン』

「抜けジャンケン」同様、多人数の参加者から
一定人数を残すのに適したジャンケン。

最終的に残る人数を最初に決めておき、
全員で「手」を出す。

同じ「手」の人の人数が、最初に決めた人数と
ピッタリ同じになったら終了。

当然、どの手が勝利できるかは予測がつかない。

10人ぐらいでの勝負に適している。








■第三章『勝つために』


…以上、様々なルールを見てきましたが、
「ジャンケン」の素晴らしさは、その
『理論上、絶対に勝てるという手段が無い公平さ』
にこそあります。



あえて『勝率を上げるテクニック』を挙げるとしたら、
それは『相手を知ること』の一言に尽きるでしょう。


「手」を出すのが人間である以上、
そこに『完全なランダム』はありえません。
何らかの規則性が必ず存在するはずです。


『無意識に、好きな「グー」を出しがち』ぐらいの偏(かたよ)りは、
皆さんにも経験があるのではないでしょうか?






ちなみに、僕が以前勤めていた会社の同僚を例にとると…

生真面目で律儀な「I君」は、
まんべんなく「手」を出そうとする傾向が強い。
「チョキ」「パー」と出して勝負がつかない時は、
次にかなり高い確率で「グー」を出す。』

(そういう所が、また彼らしくて、俺は好きだなー。)


自意識過剰なため行動全般が神経質気味な「K君」は、
『こちらが「ジャンケンポイ!」などと
大声で叫んでペースを握ると、ビビリが入って、
かなりの高確率で「チョキ」を出してしまう。


(後日、K君から『あれは周りの人間とも裏で打ち合わせた上での作戦なのですよ』
という、子供の言いわけのような身も蓋もない弁明が寄せられる。 わははは。
 だから、そういう自分の本性を悟られることを極度に恐れる所が「神経質」だっての。
 と言うか、頭に血が上って『八百長』を告白するあたりが、やはり抜けている。)



などなど…




…これ以外に、僕の経験から大ざっぱに言うと、
『攻撃的な人間は、握りこぶしの、グー』
『神経質な人間は、チョキ』
『大らかな性質の人は、パー』
出す傾向が強いように思います。
(あくまで「傾向」ね)


なんとなく、出される「手」が
その人の性格をそのまま表しているようで面白いですね。





…もちろん、これを知っているからといって
必ず勝てるわけではありません。

人数が増えてくれば、
それだけ予測不可能なファクターも増加するからです。


それがまた、『ジャンケン』の持つ
素晴らしさ・公平性なのですが。





…今後、皆さんも『ジャンケン』をする事があったら、
相手や自分の出す「手」の中に、
お互いの人柄を感じてみたりしてはいかがでしょうか?


ほほほ… なんちて。  ジャンケン、ポン!




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