ウインドウズ用ソフト

『Nu−cell』


開発 T.Misawa      プレイ時間 :「20時間ぐらい?」

フリーウェア           執筆日:2003年 7月22日





■第一章 『思い出』


…ちょっと思い出話から入らせて下さい。

今から5年ほど前、インターネットがブワ〜っと
広がりはじめた頃のお話です。



…ネットの一般化によって、
今まで発表の場がほとんど無かった自作のゲームを
タダで皆に遊んでもらおう
、と考えた人たちが、
続々とソフトを公表しはじめました。

いわゆる『フリーウェア』ですね。



企業的な金銭問題がからまない分、作りもストレートで、
それが良かったり悪かったりします。


ただ、悪かったとしても、
基本的には笑って済ませられる範疇ですし、
デキに対して怒ること自体、
勘違いもはなはだしい
ですね。

何しろ、タダなんだから。





…ですが正直なところ、
「従来の商品の外観を変えただけの
二番、三番煎じゲーム」が『5割』

「アイデアを形にしただけのゲーム」が『3割』
「アイデアは良さそうだが、表現力や構成力が
それに追い付いていないゲーム」が『2割』

といった所でしょうか?



げぇっ! 足して『10割』、100%!

もちろん、上記は大ざっぱな数字で、実際には
『100本中、4〜5本』はイケてるゲームに出会えます。




『100本中4〜5本なんて、少なすぎ。
フリーウェアってダメだな。やっぱ市販品最高〜。

と思ったアナタ。

そんな事は無いですよ。



例えば、あなたが買って遊んでいる「市販ゲーム」。

もっとたくさんの「ゲーム」や、それ以外のメディア…
つまり、「映画」とか「小説」とか「マンガ」などを
大量にこなして(しかもジックリと良し悪しを味わって)から、
改めて遊びなおしてごらんなさい。


もし、そばにド●ラえもんがいようものなら、
あなたは土下座して『タイムマシン』を借り、
青かった頃の自分に再会して
パロスペシャルの1つも
かけてやらねば気が済まぬほどの
羞恥に身悶えることでしょう。


フリーだろうが市販品だろうが、
「質」を考慮して全体の比率を見れば、
どんなジャンルにも大差は無いのです。



市販品が良く見えるのは、その『装飾』に惑わされたり、
(特に若い時分は、『音楽』の出来のいいゲームを過大評価する傾向があります)
総合点の高いゲームを、雑誌などによって
あらかじめ『選択させられている』結果であって、
なんの前情報も無しに手当たり次第に遊べば、
あなたの抱く印象はガラリと変わるはず。



…もちろん、
『フリーウェアと市販品のデキの良さは同等!』
みたいな血迷った暴言を吐くつもりも無いです。

あくまで比率の問題。

(あと、市販品は「金を払って買ったもの」なので
『なんとかして楽しんで元を取らねば!』
という心理が働いている点も見逃せませんね。)







…ややっ、話がだいぶ横道にそれました。
申し訳ない。


つまり、
『タダで手に入るのは嬉しいけど、
面白いフリーウェアに出会えるのって稀(まれ)なのよねー』

という事を言いたかったのです、はい。






■第二章 『思い出2』


…さて、それで『NU−CELL』なのですが。

入手したのは、たしかダウンロードサイト『窓の杜』
時期は2000年春ごろだったと思います。


まだ、ネットやフリーウェアというものに
慣れていなかったため、
『「ダイレクトXのバージョンが古い」って何のことだー!?』
『ファイルが解凍できないのは何故にー!?』

などと、今なら何でもないような事に阻まれつつ、
かろうじて動作に至ったソフトの1つが『NU−CELL』でした。




…見た目は今までの『コラムス』(セガ)タイプのゲームなのに、
遊び勝手が全然違って、
面食らいながらもチビチビくり返し遊んでみました。

そうこうするうちに、
このゲーム独特のゲーム性が見えてきたのです。






■第三章 『遊び方』


『NU−CELL』のシステムは以下のとおりです。




…基本的なシステムは『コラムス』(セガ)と同様。

 画面上部から「色の付いた四角いパーツ」
『2個一組』で降りてくる

このパーツは
『四角い外枠』『中のボール』から成り立っており、
それぞれに色が付いている



…着地させたパーツが消える条件は、以下の3つ。

【1】…同じ色の「ボール」が、
縦か横に3つ以上並んだ場合。

【2】…同じ色の「枠」が、
縦か横に3つ以上並んだ場合。


【3】…「枠」と、その中の「ボール」の色が
同じになった場合。






…さらに、当作品は「着地時」の処理が変わっており、
『枠は枠どうし』『ボールはボールどうし』
積みあがっていくのです。


つまり、「枠」ばかりを優先して消したために
「ボール」だけが高く積みあがって残って
しまっている場所に『パーツ』を置くと、
中のボールはそのままだけど、
枠だけがストーンと下のほうに落ちていってしまうのです。




…えーと、つまりですね。

『画面と「手前」と「奥」に配置された、
2面の「コラムス」を同時に遊ぶようなゲーム』

といえば、分かってもらえるでしょうか?


『枠の積み上がりが高すぎないか?』
『ボールの積み上がりが高すぎないか?』

の2点に気を配りつつ、余裕を見つけて
『枠・ボールの色をそろえる』
というプレイスタイルが当作品の基本となっております。




…言葉にするとスゴく難しいゲームみたいに聞こえますが、
ちょっと遊べばすぐ理解できると思います。

パーツの落下スピードも遅いので、
ジックリ考えて置けるし。


しかも、ルールは以上で全て。
難解なテクニックは一切必要ありません。






■第四章 『明日のために』


…さて、元アイデアが非常に優れた『NU−CELL』
なのですが、難点が無いわけではないです。



『装飾が簡素』

…過剰な装飾も考え物ですが、もう少し
『プレイヤーの向上心を刺激する装飾』
があってもイイと思います。


例えば、パーツが消えたときの『得点表示』

今の連鎖でどれぐらいの得点が入ったのか?
どういったプレイをすると高ポイントにつながるのか?

といった部分をより明確にすることで、
『もっと上手くなりたい』という思いを、
プレイヤーから自然に引き出せると思うのです。




『難易度の頭打ち』

『パーツの落下スピードが一定』
という珍しいシステムのため、
後半になっても特に『危なくなってきた!』という
感じが無いので、単調になりがちです。

とはいえ、うかつに『パーツの色数を増やし』たり、
『落下スピードを上昇』させると、
極端に難度が上がってしまうはず。


…なので、降ってくるパーツを「2個一組」ではなく
『L字型に3個一組』にしてみてはどうでしょう?

もっとも、これは実際に試してみないと
イイかどうかは分からないのですが…

とりあえず提案として。




『高すぎる偶発性』

…これは、「問題点!」と言うには酷なのですが…

「枠」「ボール」の2種類でそれぞれ消滅が起こるので、
消滅後、これらの配置がどのように変化するかが
見極めにくい
です。

その偶発性こそが味といえば味なのですが、
『意図的には大きな連鎖を組めない』状況を生み、
プレイヤーの向上心のさまたげにも
なっていると思うのです。


…もし、この点についての改良に成功すれば、
『NU−CELL』のゲーム性は、
既存のゲームと比較しても
十分トップクラスになりうるでしょう。







…以上、『NU−CELL』の批評でした。

自分としては初の、
『素人の、しかも全く面識の無い方の作品』
に対しての批評です。

実は、僕にとって初めて
『フリーウェアって、やるじゃん!』
と感じた思い出深い作品だったので、
批評内にも思い出話が咲き乱れてしまいました。

申し訳ないー。




…でも、『NU−CELL』は良い作品です。
出会うだけの価値が、このゲームにはあると断言します。


『プロではないが、才能はプロ並』。

フリーウェアの素晴らしさが、
この作品の中で確かに息づいています。




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