ウインドウズ用ソフト


『パレット』


制作:西田好孝さん           プレイ時間 :「クリア1回」

フリーウェア               執筆日:2003年 9月4日





■第一章 『ジャンル不明』


『パレット』(制作:西田 好孝さん)は、
ジャンル特定が難しいですが、
強いて言うならストーリー重視パズルゲームです。


と言うのも、この作品、「アスキーRPGツクール」という
RPG製作ツールで作られているため、
基本システムがRPGなのです。

にも関わらず、『記憶を失った少女が、
断片的な情報の中から過去の自分を取り戻していく』

というアドベンチャーゲーム的なストーリーを持ち、
その行動に「パズル性」を要求しているため、もう何が何やら…



…大雑把にシステムを説明すると、


通路でつながれた各部屋で、
白くフレーム表示されている対象物を調べることで
徐々に「過去の記憶・情報」を入手し、
それによって「自分の移動力」が上昇、
より遠くに新しい情報を探しに行けるようになる。

移動力の限界まで歩いてしまうと、
スタート地点に戻される。


…といったところです。



あらためて文章にしてみると、
たしかに基盤にRPGのにおいを感じますね。

自分の成長が、世界の行動範囲を広げているあたりとか…



ただ、自分の限界能力を考慮した移動が求められるので、
やはり手ざわりは『パズル』ぽいです。

とはいえ、要領さえつかめばサクサクと先に進める低難度なので、
ストーリー進行の妨げになることはあまり無いです、はい。






■第二章 『どんなゲーム?』



…主人公の私立探偵『シアン』は、
事務所を訪れた謎の女性に強制され、
電話を通じて記憶喪失の少女の過去を取り戻すための
カウンセリングをする事になります。

なぜか「赤い色」に触発されて
断片的な記憶がよみがえる少女『B.D.』


血だらけのナイフが横たわる部屋から始まる
彼女の記憶の旅の行き着く先は…?



導入はこんな感じです。




…犯罪心理学や社会の暗部の隠蔽などを絡めたストーリーは、
ちょっとしたプロレベルの出来です。

散らばった記憶の欠片を拾い集めて
『自分の本当の過去』を組み上げていく過程は、
良質の推理小説の味わいに近いです。

「A級!」と呼ぶにはちょっと足りませんが、
十分「B級プラス」の手応えがあります。



…この批評では、あえて過程・結末は書きません。

と言うのも、この作品、
パソコンの『フリーソフト』なので、
誰でもタダで遊ぶことができるからです。

ぜひ、ご自分でダウンロードして、実際に体験してみて下さい。
ダウンロードは以下で…


■■第4回 アスキー ソフトコンテスト■■





…ちなみに、この作品、
プレイステーションで商品化もされております。


が、オリジナルのフリーウェアにちょっと付加要素を
入れただけの内容らしく(僕は実物を見たことがありません)
ネット上で見られる感想のほとんどが
『面白いけど、3〜4時間でアッという間に終わってしまった』
というコストパフォーマンスへの不満で一致しています。

たしかに、僕自身も、
『システムが変わっていて面白い!』とは思いましたが、
『じゃあ、本当にこのシステムが最適なのか?』
冷静に思い直してると、ちょっと…



そこらへんのボリュームまで考慮すると、この作品は
『1500〜2000円シリーズの1本』
ぐらいが適度なポジションかなー? と思います。






■第三章 『色々』


…では、上記以外の、
この作品の細かい良し悪しを列挙しましょう。



『赤への執着』

…基本的に色調がおさえめでモノクロに近い画面の当作品で、
唯一、鮮烈な色彩を放っているのが『赤色』です。

謎を解けば解くほど、真実に迫れば迫るほど、
画面内の赤色が増していきます。

そして、その『何らかの赤い物体』に触れることが、
そのまま新たな情報の収集につながるという点で、
この作品は見事なまでの統一をはかっています。


この視覚的演出には唸らされました。




『小さな親切』

…他の部屋とをつなぐ「ルート」の入り口部分のグラフィックが
『赤枠で囲まれた白』になっている事がありますが、これは
「このルートの先で出来ることは全てやった」という意味です。

プレイヤーに無駄足を踏ませない、製作者の心配りですね。




『優先度』

…ちょっと気になったのが、『体力回復』の床に隣接して
『ルートの入口』『障壁』がある場面。

ウッカリそちらを向いてボタンを押すと、
「入口」や「障壁」が優先されてしまい、
体力切れになってしまう
事がありました。


この場合、何よりもまず『体力回復』が優先されるべきです。
回復床が出るのは、「体力が低下している時」と
決まっているのですから。






…以上です。

実は僕自身、プレステ版を購入するつもりだったのですが、
今年の春ごろにメールのやりとりをした『田中さん』から
フリーウェアの情報をいただきまして。

で、そちらをプレイしました。


ネット上の評価を見てみても、
フリーウェア版で遊んで正解だったようです。
ありがとう、田中さん。




…あと、このゲーム、「ツクール」の性能のせいか
動作が今イチ安定しません。

すぐ、効果音が鳴りっぱなしになったり重複したりします。
また、カラーパレットも何かおかしいです。


そういう時は、ゲーム途中にコンフィグで画面モード
『ウィンドウモード ⇔ 全画面モード』
と切り替えてみましょう。

これで、音バグは100%、カラー異常もたいがい直ります。
(画面切り替えのできない『イベントシーン』などでは、あきらめるしかないですが。)


…て事で、レッツプレイ!




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