ウィンドウズPC用


『Mr. Sweets』


開発: SKT 宮澤卓宏

プレイ時間 : ステージ10付近まで

購入価格: 無料配信

執筆日: 2006年 09月10日





■第1章 『見た目斬新』


『Mr. Sweets』(SKT 宮澤卓宏)は、
ShockWave.com で無料配信されているアクションパズルゲームです。


「縦12 × 横10」に配置されたカラフルなパーツたちを
マウスでクリックして変形させ、それによって付近のパーツをズラして、
同じ色のパーツを縦か横に3つ以上並べて消していきます。

パーツが消えた空間には、上に載っていたパーツが落ち込み、
そこでまた同じ色で3つ以上並べば連鎖消滅

連鎖が完全に終了してから一定時間が経つと、
空間が空いた分だけ新たなパーツが上から降って補充されます。




『ZOO KEEPER』(ROBOT)のパーツ起爆方法を変えて
目新しくした感じでしょうか?




次に、『パーツの変形』について説明します。

このゲームのパーツには、上下左右にランダムで小さな出っぱりがあり、
クリックすることでそれをニョンと伸ばすことができます。
伸びる長さは1パーツ分です。


つまり、「上に出っぱりのあるパーツ」なら、
クリックすると縦2つ分のパーツになって、
上に載っている他のパーツを1個分押し上げます。

「上下左右に出っぱりのあるパーツ」なら、十字型になって、
上下左右の他パーツを1つ分ずつ押し広げる… といった感じです。



要は、『このパーツが、あと1つズレてくれれば
同色で3つ以上並ぶんだけどな〜』
という箇所を見つけて、
そのパーツの上下左右のライン上にそういう変形をしてくれる
パーツを見つけてクリック!のくり返しのゲームなわけですね。




他のオリジナリティとしては、
『連鎖爆発中にもパーツがクリックできる』という点。

これは『連鎖中にも別の連鎖の発火点を見つけて、
後付けで連鎖数を増やせる』
という、
名作『パネルでポン』(任天堂)で開拓されたシステムです。



さて、これだけそろったこのゲーム。 出来はどんなもんでしょう?







■第2章 『置いてけぼり』


さて、実際に遊んでみたのですが…

何なんでしょう、この空しさ?

これは『ゲーム』なのでしょうか?



といっても実際にプレイしていない方には意味が分からないでしょうから、
以下に説明しようと思います。 できれば こちらShockWaveゲームページ
先に実物(無料)を体験してもらえると、さらによく理解してもらえるのではないかと。




『パーツ配置に介入できない』

従来の「落ち物ゲーム」では、次々落ちてくるパーツを
ある程度自分の意図する配置にしておき、
ゲームオーバーの危険とを天秤にかけながら、
ここぞというタイミングで「破壊を着火する」という流れでした。

つまり、『パーツの配置にある程度ユーザーが介入できた』わけです。

が、自動補充型のこのゲームでは、それは不可能

プレイヤーはあくまで
与えられた配置を淡々とこなすだけ
の展開となってしまいます。




『破壊が始まれば大混乱』

第1章で『後付け連鎖ができます』と書きましたが、
実はこれ、ほとんど運まかせなのです。

というのも、破壊したパーツは爆発の瞬間
なぜか自動的に「出っぱりが伸びて」
付近のパーツの並びをガラリと変えてしまうのです!
(当然、連鎖した物も、出っぱりが伸びます)


パッと見に「後付け」できそうな所を見つけても、
一瞬後には別の場所で伸びたパーツに押されて全体の配置がズレ、
うかつにクリックしたせいでせっかくの連鎖を
中断させてしまう
こともマレではありません。


『1つのパーツの挙動が画面全体に影響してしまうシステムは、
意図的な連鎖には決定的に向かない。』

これは、同系列のアクションパズルにおいての鉄則として、
企画者はその脳に深く刻み込むべきでしょう。




『プレイヤー置いてけぼり』

これ、実は『ZOO KEEPER』(ROBOT)にも
似たような問題点がいまだにあるのですが…
このたった1点が、このゲームの
『ゲームとしての意味』を破壊してしまっているのです。


具体的には、パーツの破壊後の場面…
当然、空いた隙間を埋めるために上から自動的にパーツが補充されて、
その時に同色パーツが3つ並んでも連鎖が起こるのですが…

なんと、ただその繰り返しだけで、
ボカボカと信じられないほどの連鎖が
つながってしまう
のです。


例えば僕が実際にプレイして起こった事なのですが、最初の起爆だけ自分でやって、
いっさい「後付け」をしなかったにも関わらず… 81連鎖


『俺、いつになったら介入していいんですか…?』と、
呆然と画面を眺めているときの空しさ…

『完全な置いてきぼり感』いっぱいです。


自分のプレイよりも、連鎖の時間のほうが長く、しかも運まかせ。
それは、ゲームと呼べるのでしょうか??







■第3章 『デザインはいい』


このように、ゲームとしては悲しい代物ですが、
決して悪いところばかりでもありません。

『パステル調の、やわらかく暖かいゲーム画面』
『ノルマ・残りタイム・追加補充タイムなどが一目で分かる、
1枚の絵のように配置されたパラメータ画面』

『セリフとボーカルが中心の、楽しげなBGMとSE』


そういった『見た目の敷居の低さ』をキチンとこなしながら、
本当に大切なゲームシステムの練りこみが浅いのは
実にもったいなく悲しいことだと思うです。



製作者の方には、今のデザインセンスを大切にしつつ、
一方で『ゲームにとって一番大切なもの』
改めて熟考していただきたいと思います。






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