ワンダースワン


『ミングルマグネット』


販売: ハル・コーポレーション

プレイ時間 : 2時間

購入価格: 980円

執筆日: 2005年 11月23日





■第一章 『箱を回せ』


『ミングルマグネット』(ハル・コーポレーション)は、落ち物パズルゲームです。


「縦横10マス」の正方形のフィールドにはたらく
『磁力』(引力)を自由に回転させて、
一定時間ごとに降ってくるパーツで
フィールドが埋まってしまわないように消していく
ゲームです。

大ざっぱな流れは以下のようになります。



一定時間ごとに、「上」(正確には、現在はたらいている引力の反対方向)から
5個のパーツが等間隔一列に降って、フィールドに溜まっていく。



プレイヤーはフィールド内のカーソルを動かし、
『同じ種類のパーツを3つ以上隣接』している場所を
指摘することで、それらのパーツを消滅させる事ができる。



また、『フィールドにはたらく「引力」自体を90度単位で回転』させて、
パーツの並びを変化させる事ができる。

これによって、『パーツが3つ以上隣接した箇所』を意図的に作り、
効率良く消滅させることが可能。



上から降ってくるパーツが、フィールドの
最上段より上に積みあがったら、ゲームオーバー。




まとめると、
パーツの入った箱を自由にグルグル回転させて、
中身の並びを変える
感じですね。

『指摘しないと消えない』という所に、
プレイヤーがアクティブに関わる余地と、
ギリギリまで耐えて『まとめて消す快感』
味あわせる意図があると思われます。


アイディアだけ見れば、現実に則したルールなので、
ユーザーの理解度も高い良いシステムに感じます。







■第二章 『寂しー』


…が、実際は、非常〜に遊びづらく寂しいゲームに仕上がっておりました。

理由は以下をご覧下さい。



『できることの少なさ』

結局プレイヤーにできることは
『4方向に引力を切り替える』だけなので、
細かいパーツの並びは運頼り。

すぐにイヤになります。




『パーツの見分けづらさ』

携帯ゲーム機に加えて、フィールド自体が画面よりさらに小さいため、
パーツの見分けがチト困難です。

これがカラーブロックなら、もう少し何とかなったはず。

白黒ハードの限界が露呈したとも言えますが、
企画段階で気づかなかったの?と、
企画者の怠慢ぶりが不愉快だったりも…




『どっちに「落ちる」?』

せっかく現実に則したアイディアである
『物体は引力にしたがって下方向に落下する』を使っているのに、
フィールドを回転させた時、見た目がそれに反映されなくなります。

つまり、フィールド自体は回転せずそのままで、
パーツのほうが「右」や「上」に『落ちる』
ようになるのです。

そのたびに自分の頭の中で『今はパーツは右に落ちる…』
などと確認しながら遊ぶため、テンポが悪くなります。

引力の反対側から降ってくるパーツも、「下→上」ならまだしも、
『左右』へ降るようになると瞬間的な認識が困難で、
ケアレスミスが発生します。


これが据え置きタイプのゲーム機の性能なら、例えば
「フィールド自体」を実際にクルリッとすばやく90度回転させて、
パーツは『常に下に落ちる』
ように表現できるスペックがあるので、
プレイヤーの視認度もグッと上がると思うのです。


そうしちゃうと、『磁力を使っている』という
基本コンセプトはほとんど無意味になるけどね。

イイじゃん。

そっちのほうが「ゲームとして」遊びやすいなら、
それを優先するのが『クリエイター』。 だろ?




『システムの矛盾』

これは、『なんでテストプレイの時点で気がつかないの?』という感じで、
当ゲームがいかに作り込まれていないかの証明になるような部分なのですが…

遊んでてヘンだと思わなかったのかなー?


えーとですね、皆さん…

上からまんべんなく降ってくるパーツで、
下のほうの段にズラリとパーツが埋まった様子を想像してみて下さい。

で、その状態から「右」か「左」に
磁力の方向を変えたらどうなりますか…?

そうです。 画面の(引力方向に対しての)一番端に、
いきなり『最上段まで積み上がった塔』ができてしまいますね。

そこにパーツが降ってくれば、どうなるか?
考えるまでもありませんね。 そう、『即死』です。



つまり、ある程度ゲームが進んでからの「90度回転」は
いきなりゲームオーバーの危険をはらんでいるのです。

最もパーツの並びの大きな変化が見込める、
しかもプレイヤーの取れる行動のほぼ半分を占める
『フィールド90度回転』がコレでは、
我々どうやって戦えば良いのでしょう?


テストプレイで気づかなかったとしたら企画者は本物のアレだし、
気づいてたとしたらそんな不良品を市場に垂れ流したわけですね。

大したゴミ企画者です。







■第三章 『幻影を捨てよ』


まぁ、当ゲームのプレイ印象は
『ネット上に置いてあった無料ゲームをダウンロードして遊んでみたけど、
あぁやっぱり素人アイデアだな、と当たり前のことを再認識した』

時と同じような、不愉快でパサパサした感じとよく似てますね。



それにしても、このゲーム。
開発はアノ、技術の『ハル研』 …なんでしょ?
(「ハル・コーポレーション」て、ハル研の販売部門… ですよね?)

初プレイでこのゲームのあまりのツマラナさにビックリして、
『でもあのハル研のことだから、きっと何かちゃんとした遊び方があるはずだ!』と、
説明書をなめるように熟読したけど、自分のプレイした内容で
全てだったと確信したときのあのガックリ感ときたら…


『あらゆるジャンルにおいて、ブランドは幻影』。

当たり前のことですが、改めて心に刻んでおこうと思います。






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