プレイステーション用


『I.Q FINAL』


販売: SCE

プレイ時間 : 15時間

購入価格: 1680円

執筆日: 2006年 09月24日





■第一章 『思い出はやがて』


『I.Q FINAL』は、アクションパズルです。


僕の『IQ』シリーズとの付き合いは結構長く、
まだ自分のプレステを持っていなかった97年の夏に、
友人のアパートで体験したのが最初だったと記憶します。

実は、生まれて初めて遊んだプレステソフトだったりします。
(市販品として。 デバッグや試供品を含まず。)



当時、3D慣れしていなかった自分にとって、
『真っ暗な空間に浮かぶ巨大な立方体たち』
という独特の世界表現は強烈でした。

また、常々『シンプルで分かりやすいゲームデザイン』を心がける自分にとって、
『IQ』の物作りは共感できる点があり、実にうれしく思ったものです。




さて、それから2年が経ち、僕も自分のプレステを持ち、
「IQ」は『IQファイナル』という続編を出しました。

当時の印象もあって、期待して遊んでみたのですが…

あれれ? たしかに手ざわりは良いのですが、
すぐにプレイがイヤになってしまうのです。

初めてさわった時のように、最初の10分くらいなら、
まぁまぁ楽しめるのに、なんで??


結局その日はプレイを切り上げ、
数日後にまた… 数週間後にまた… 数ヵ月後にまた… と
間隔をあけながら何度もプレイしてみるのですが、どうしても楽しくない。

やがて僕も多くのアクションパズルをこなすようになり、
口はばったいことを言えば「一家言を持つ」プレイヤーに成長して…
そして、ある根本的なことに気づいてしまったのです。


このソフトって『つまらない』んじゃねーの? と。







■第二章 『理由』


「つまらない」の一言でバッサリやって、
盲目的なファンに仏っ殺されるのもつまらんので、
理由を考えてみようと思います。



『服部隆之の音楽』

いや、「デキが悪い」と言っているのではないです。

「では嫌いなのか?」だと?コノヤロウフザケンナ、
俺は服部さんの曲の1ファンだ!

『使いどころが間違っている』と言っているのです。

服部さんの持ち味の1つである「荘厳だが辛く重い曲」を、
比較的長時間プレイを前提としたゲームに
どうして使用したのか?
と言っているのです!!


メインに持ってくるなら、もっと軽い、
長時間聴いても心に負担の来ない曲
使用するべきではないでしょうか?

服部さんは、そういう曲も書ける人。
できない相談ではなかったはず。




『美しく、心づかいに欠けた画面』

前方から無言で迫り来る、巨大キューブの群れ。
床に映りこむ、キューブ群と主人公の姿。

それを斜め上から見下ろす…

止め画面で見ると神秘的なそれらの画面も、
実際に遊んでみると、その遊びづらさに驚愕です。

主人公が歩くたびに、リアルタイムにカメラの
視点と距離がズレるので、ケアレスミスを招きやすく、
床の映りこみが画面の混乱に拍車をかけています。


特に正確な操作を必要とするパズルゲームに
このようなカメラ視点を取り入れた製作者のには、
「物作りの何たるか」が本当に詰まっているのでしょうか?




『結局のところ…』

このゲームて、基本的に底々な内容を、
「服部さんの荘厳な音楽」と「画面の奇抜さ」、
あとは「SCEの資金力によるCM効果」で、
『物の良し悪し』の本当の意味が今イチ理解できていない
ライトユーザーをケムにまいた、ただの安易な商品なんじゃねーの?

というのが僕の結論です。


そもそも『IQ』のゲーム内容など、見おろし固定視点だったら、
誰もがもっと労せずにサクサク解いていける代物ではないでしょうか?

それを細々と足を引っぱって、ユーザーのケアレスミスを誘うことで、
『長時間プレイできる』(せざるを得ない)商品としての体裁を保たせた。

冷静に分析すれば、そのたった一言で説明できる
代物のように思えるのですが、皆さんはどうですか?


もっとも、そんなこと言い出したら、SCEが一時期多発した
アクションパズルはみんな同罪だし、『IQ FINAL』だけ
つかまえてここまで言うのも酷かな…? とも思うのですが…

あまりにもネット上に落ちている素人感想文が、
本質の見えていない脳の悪い悲しい代物ばかりだったので、
代わりに僕が厳しくズバリとダメ出ししてみました。






以上のような感じでしょうか?

10年ほど前の自分のファーストインプレッションに
真っ向からダメ出しする形になってしまい、
できれば誰かから『このゲームはこうやって遊べば楽しいんだよ』
という情報提供が欲しいぐらいなんだがなぁ…

自分の批評眼がそれだけ鋭く冷静になった… と前向きに考えるかな。






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