プレイステーション用ソフト


『悪魔城ドラキュラX
月下の夜想曲』



販売:コナミ        プレイ時間 :「20時間 真のエンディング」

購入価格:友人に借りる           執筆日:2004年 4月2日





■第一章 『銀河連邦アルカード』


『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』(コナミ)は、
アクションRPGです。


かつての完全なアクションゲームではなく、
悪魔城中を歩き回り、
敵を倒すことでレベルアップして基本能力値を上げ、
お金を集めて装備を購入
していきます。

「主人公の成長」のおかげで、
過去の「ドラキュラ」シリーズに比べて、
戦闘における難易度はかなり低くなっています。



また、『主人公の武器が剣』になっていたり
『必要アイテムを探して歩き回る』というシステムは、
同社の『ガリウスの迷宮』を感じさせます。

「多彩なジャンプ」「狼の疾走感」の手ざわりには
任天堂の『メトロイド』の匂いを強く感じます。

「伝統うんぬん」を語るのはキライな僕ですが、ここまでくると
『「悪魔城」じゃ無ぇじゃん…』と言いたくなります。



とはいえ、「アクションRPG」としては、
なかなかの秀作だと思います。



そうそう。 このゲームからはもう1つ、
『グランディア』(ゲームアーツ)の匂いも強く感じました。

理由は第二章で。






■第二章 『良し』


では、このゲームの良かった所を列挙してみましょう。



『多彩な謎』

とにかく、色んな所に色んな謎が配置されています。

また、それを解かなくても一応エンディングまで行ける
(ツラいけど)というバランスが上手い。


クリアに必須の謎は、比較的難度を低くしてあるわけです。




『様々な見せ場』

背景的にも、キャラ的にも、
実に細かい様々な見せ場が用意されています。

一部の場所でしか見れない
『背景の流れる雲』や、『地下の巨大な滝』、
『破壊したザコの首がカロンカロンと地面を転がっていった』り、
倒したザコが『最期の気力で主人公に剣を投げつける』
などなどなど…


局所的にしか使用できない細かく大量なプログラムを、
よくもここまで書き上げたものだ!

と、驚愕させられます。


このこだわりは、ゲームアーツ社の大作RPG
『グランディア』を彷彿とさせます。

…て、時期的には両作品は同じか。


(蛇足ですが、なんかあの『97年』という年は、
「情熱」を感じさせる作品の当たり年だったように思えます。

僕の個人的意見ですが、
「95年」に放映された『エヴァンゲリオン』の製作姿勢が
各方面のクリエイターに影響を及ぼし、
それが形となって現れ始めたのが
「97年」だったのではないでしょうか?)





『エロ彫像』

背景を見ていると、とにかくあらゆる場所に
『裸婦像』が配置されています。

「ドラキュラ」という題材も考慮した演出かもしれませんが、
購買層を『20代以降の男性』にしぼっての商業的付加価値
と考えられ、なかなかうまい手だと思いました。


ただ、あんなに大量にあると、
さすがにちょとウンザリしますが。




『読込み時間への配慮』

本来なら気になるはずの
「CDの読み込み」「セーブ」にかかる時間が、
あまり気になりません

というのも、前者の場合は『通路を歩く時間』が、
後者の場合は『ポリゴンの棺桶に主人公が収納されるデモ』が並行するため、
「動作が止まっている」という感じが希薄なのです。




『あふれるボリューム』

『2〜300部屋分はあろうかという膨大な悪魔城マップ』
『すみずみにまで配置された大量のアイテム』
『多彩なザコと、多彩な中ボス』
『あらゆる場所に配置された謎』
『各「使い魔」のレベルアップのための戦闘』

によって、常に「小目的」が途切れない、緊張感ある展開。

しかも後半は、悪魔城の上下が反転した新フィールドに移行するため、
マップ量がさらに『2倍』になるという大盤振る舞い。


攻略本無しでしゃぶりつくすには、
どれだけ時間をつぎ込めばよいのやら…

背筋が寒くなりそうです。






■第三章 『悪し』


続いては、ゲーム中に感じた難点の列挙を。



『後半のバランス』

悪魔城が反転した途端に、ザコが異様に強力になったり、
強さの割にはもらえる経験値が異様に少ないものが多かったりと、
極端にバランスが崩れます。

もらえる経験値が少なくなるのは仕方ないとしても、
ザコもそれ相当に弱く(つまり主人公が強く)なってくれないと、
バカバカしくて戦ってられません。


結局、「霧」や「コウモリ」になってザコを無視して進む、
さびしいプレイになってしまいます。




『中ボス攻略』

ほとんどが力押しで抜けられたり、
安全地帯のようなものがあったりと、
気付くまでは強敵だが気付いてしまえば楽勝なバランス
には疑問が残ります。




『食料アイテム』

「コレクション的意味あい」があるのでしょうが、
食料アイテムの数の多さには閉口します。

キチンと役に立つほど体力が回復するものはほんの一部なので、
アイテム欄から選択する時に、アイテムが多くてジャマでジャマで。


ユーザーにコレクションさせるのなら、
「宝石」(非売・使用不可)などにして、
かつ『常用品とは別の項目』でまとめてほしい
ものです。



あと、装備した食品は
『ボタンを押した時点で使用』してほしかった。

一度前方に「投げ」て、それをゲットしなければならない
(しかも一定時間で消える)ため、タイミングを誤って取り損なったり、
『画面外に投げ捨て』てしまって愕然としたこともありました。



また、RPGのような長丁場で、
しかも「購入のきかない回復アイテム」というものは、
どのタイミングで使用していいのかが分からない
(この先にどんな強敵がいるか分からないので、使うに使えない)
という弱点があるので、1プレイヤーとしては
「歓迎できないアイデア」だと常々思っています。




『ストーリー』

 ファミコン版『悪魔城伝説』で、主人公と苦楽を共にした
ドラキュラの青年「アルカード」を主人公にしている割には、
そこらへんが全然活かされていないのが残念です。

なんかチラチラと『大河感たっぷり』な伏線を引いている割には、
あっけ無くカタが付いちゃうし。

アルカードの親父さんも「最後」だけしか出てこないので、
『諸悪の根源』と言われてもピンとこないし、
別に憎らしくも思えません。



せっかく途中で
『悪魔城伝説でいっしょに戦った仲間達のゾンビ3体が
襲い掛かってくる』
というスゴイ展開があるのだから、
『親父はヒドイやつだ』という印象を
プレイヤーに与える機会は皆無では無かったはず。

もったいないと思います。



あと、お袋さんの遺志だから『人間の味方をしている』
というアルカードの生き方には、今イチ主体性が無く、
青臭さすらただよう感じで、感情移入できませんでした。






■第四章 『総評』


ゲーム部分を総合してみると、
20〜30時間は十分に遊べる内容です。

やり込み要素がかなり多彩なので、
「自分なりの目標」を設定すれば
かなり繰り返し楽しめるゲームでしょう。



欲を言えば、『体力回復アイテム無しでも
(セーブポイントでの体力回復オンリーでも)対処できる難度に抑えて、
回復アイテムを別の「コレクションアイテム」に置き換え、
バランスを再考したゲーム内容にしてほしい』

『アルカードに、もう少し主体性を持たせて、
好感度を上げてほしい』
といったところでしょうか?

後者は、個人的好みになってしまいますが。



「悪魔城シリーズ」ファンよりも、
『ガリウスの迷宮』『メトロイド』のファンにこそ
薦めたいゲームですね。




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