プレイステーション用ソフト


稲川淳二 恐怖の屋敷』


販売:ヴィジット              プレイ時間 :「全て読んだ」

購入価格:1980円           執筆日:2003年 10月9日





■第一章 『全3作』


『稲川淳二 恐怖の屋敷』(ヴィジット)は、怪談ゲームです。


ただ、プレイヤーにできる事は、
所々で先に進むために「ボタンを押す」だけで、
あとは『怪談を語る稲川淳二のムービー』を眺めるだけなので、
「ゲーム」という枠には入らないと思いますが。


ヴィジット社が出した怪談ゲームには、筆者がすでに遊んだ
『大幽霊屋敷』 『稲川淳二 真夜中のタクシー』と、
そして今回遊んだ当ゲームの、計3本があります。




『〜恐怖の屋敷』の出来はどうなのでしょう?

最初のOPがヤケに力が入っており、
本編への期待が高まります。

それでは早速遊んでみましょう。






■第二章 『?』


…このゲームは、僕が友人と集まる際に恒例となった
『夜中2時から始める怪談ゲーム祭り』
のために、直前に購入したものです。

そのため、持っていった僕自身もほとんど内容を知らず、
新鮮な、第三者的視点で遊ぶことができました。



…で、そのときの様子なのですが…


僕の友人たちは大して怪談に詳しくなく(例外1名アリ)
したがって評価も甘めなはずなのですが…

当ゲームの怪談を1つ聞き終わるたびに、
『え?』 『はぁ?』 『これで終わり?』
と、皆で首を傾げてばかり。



照明を落とした薄暗い部屋の中で、僕の目には、彼らの頭上に
『蛍光グリーンでぼんやり灯った、
直径30センチほどの「?」』

が見える思いでした。


僕自身も内容にウンザリして
『じゃあ、次の話で最後にしようか?』
と言ったときの、部屋に広がった安堵感と言ったら、もう…



…直前まで走り回ってこいつを探し出して購入した、僕の立場ゼロ。






■第三章 『ダメ原因』


…何が、これほどまでに我が友人達を『?』たらしめたのか?

以下に理由を列挙してみました。



『背景が…』

…普通、この手の怪談ゲームでは、
『現在の語りの内容にそった背景』を表示して、
聞いている人間が「主人公」に感情移入しやすいようにします。

また、普通の風景を加工して不気味な配色や絵柄にする事で、
『さらなる恐怖感をかもし出す』など、
背景グラフィックの演出効果は重要です。


…なのに、当ゲームでは、
全背景のうちの3分の2
『稲川淳二の顔』なのです。

多彩なアングルと、様々なライトアップを施されていますが、
所詮は同一人物の顔なので、すぐ飽きます。
つか、不愉快です。



…でも、実は当ゲーム最強の恐怖画像
『セーブ画面の青い稲川顔面アップ』
であろうと、ひそかに確信している私です。
(そんな怪談ゲームが許されるかどうかは別として…)





『語りが…』

…稲川淳二の語り口調は、
「怖い」というより『神経に障り』ます。

おちょぼ口で話しているような『小手先感』がイライラするし、
クライマックスになってくると
『早口』プラス『ろれつが回ってない』ため、
天下一品の聞きづらさです。

同社の他のゲームに出演されている
『浜村淳さん』と比べて
どうしても「安っぽさ」があります。


…あと、特に当ゲームでは「音質の劣化」が見られ、
語りの聞きづらさに拍車をかけているのが致命的です。





『つか、話自体が…』

…全部で20弱ある話の8割方
『どこかで聞いたような話』なのは、
ヒドすぎだと思います。


『二階からの電話』や、
(殺人鬼からの電話が、
実は自宅の2階からかけられていた話)

『メリーさん』など、
(電話がかかってくるたびに、謎の相手が
ジワジワと自室に近づいてくる話)

有名な話を流用しているくせに、余分なアレンジを加えたせいで、
オリジナルの恐怖を半減させてしまっています。

駄目話です。



『赤い半纏』に至っては、
(トイレの中で「赤い半纏、着せましょか〜♪」
という歌が聞こえてくる話)

原作をそのまま使いまわす手抜きっぷり。


シナリオライターは稲川氏本人では無いようですが、
『ライターとしての最低限の良心があるのなら、
ちょっとは脳みそ使えや、ゴミ。』

と言いたくなっちゃったなー僕。 てへ。(はーと)



…もっとも、それ以外の話も、
『伏線どうしが全然かみあっていなくて、
首をひねらずにはいられない混乱話』
や、
『どうでもイイ描写が大量にあって、
伏線を忘れたり、聞き疲れたりする話』
ばかりなので、
いちいち論(あげつら)うのも面倒です。






■第四章 『お勧め度』


…最後にちょっとだけ誉めるとすれば、
当ゲーム、『怪談以外の部分の臨場感』は結構イイです。


OPの、多彩な心霊写真とか…

ボタボタと雨が降る闇夜を歩いて、
薄汚い洋館に入っていく導入部とか…




…でも、思い返してみると、
良かったのはスタート付近だけだなー。

そう言えば昔、そんなゲームばかり
作っている会社があったっけ。 日本テ…




…結論。 お勧めできません。
つか、買っちゃダメです。

同社の怪談シリーズは、
『大幽霊屋敷』だけ購入すればOK! それで十分!



あぁ、それにつけても怪談ゲームの欲しさよ…

どなたか『秀逸な怪談ゲーム』、ご存知ないですか?




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