プレイステーション用ソフト

『エンエンエンジェル』


販売 メディアファクトリー (開発 ディークルーズ)   プレイ時間 :「ステージ15まで」

購入価格 980円                 執筆日:2003年 5月8日





■第一章 『基本システム』


『エンエンエンジェル』(メディアファクトリー)は、
アクションパズルゲームです。

宇宙空間に浮かぶ円盤の上を移動して、
『4つのコースの全ての地面を塗りつぶす』か、
『円盤上のモンスターを全滅』させればステージクリアとなります。




…このゲームのフィールドはちょっと変わっており、





上図のように、4本のセパレートコースが環状になっています。



プレイヤーにできるのは、このコースの上を
『前進(基本的に右方向に)』 『後退(非常にゆっくりと) することと、
『いつでもどれでも、コースの1つをズラす(回転させる)こと』
の3つです。



…主人公のコース間の移動は、
ランダムで現れる『矢印』にしたがってのみ行なわれるため、
プレイヤーの意思で自由に行き来することはできません。
(矢印は2回使用すると消え、同じコースの別の場所にランダムで再登場します。)


当ゲームのフィールドは言わば、
『上と下がつながっている「アミだくじ」』
なわけですね。



移動が独特なので最初は戸惑いますが、
移動方向が一定なので、短期間で慣れると思います。






■第二章 『コレクション要素』


…上記の基本システムに、
さらに『カード収集』の要素を盛り込んだのが、
「エンエンエンジェル」というゲームです。


コースを歩き回って一定以上の範囲を塗りつぶすと、
コース上に『カード』が出現。

これをゲットすると、新生物のデータを収集したことになり、
基地の動物パークその生物が生息するようになります。




…新生物は、全部で『100種以上』。

特異な姿をした生物が、接触する主人公(4人)ごとに、
それぞれ異なった反応を見せます。


また、獲得した新生物に生命力を注いで蘇生させるときに、
ゲーム中で稼いだ『得点』(プレイで取った分は、全て累計されている)
を必要分だけ注入しなければならないため、
高価な生物を実体化するには先のステージまで進んで
得点をたくさん取る必要があったり
と、工夫が見られます。





…と、ココまで読まれたアナタは、
『単純なシステムとコレクション要素。
このゲームは買いかも知れん!』

と、お小遣いを握ってゲームショップに走ろうと
意気込まれているかも知れません。


ですが、それは
おやめになったほうが宜しいかと存じます。




…私には、

当ゲームのビニールパッケージを嬉々として開封し、
CDをセット、フタを閉めて電源ON、
スキップできない「プレステ」ロゴにいらいらしつつも
やがて訪れるゲームとの出会いに胸トキメかせ、
待ちに待ったゲームタイトルとの出会いの余韻も底々にスタート、
試行錯誤しつつ1プレイ終えた後、

薄青く呆然とした表情で
力無く画面を見つめている…



そんな、アナタの姿が目に見えるようですね。





…残念ですが『エンエンエンジェル』、
それぞれの要素は決して悪くないのですが、
お互いが見事にかみ合っていません。

つまり、『ゲームになっていない』のです。



…どこらへんが「ゲームになっていない」かは、次章にて。






■第三章 『システム空回り』


…まあ、まずはジャブとして、
当ゲームの些細な(本当は大事にしてほしい部分なんだけど…)
問題点を2つ3つ挙げてみましょう。




『ロードが長い』

…「部分的に長い」なら仕方無いですが、
1面ごとに入るロード時間が全て長いのですから
ちょっとゲンナリです。

時間がかかるわりには、画面は普通ーな感じだし。




『見にくいセレクト画面』

…デザインに凝りすぎて、逆に
どこを選択しているのかがパッと見に分かりにくく感じます。




『オートセーブ無し』

これは、あんまりかと。




『新生物の反応パターンの少なさ』

…選んだクルーによって4種類の行動を見せる新生物ですが、
それぞれの行動に大差が無いことが多いです。

『間違い探し』やってるみたいな気分になります。






…細かい問題点は、こんなもんでしょうか?


それでは、いよいよ本筋に入りましょう。




当ゲームが、どのように
『ゲームになっていない』かと言いますと…


『カードを無視すれば簡単すぎて、
カードを集めようとすれば難解すぎる
(というか、運まかせな)ゲームバランス』


この一言に尽きます。




…以下で、それぞれの場合を見てみましょう。



■カードを無視する場合■


…この場合、『全ての地面を塗りつぶす』
『そのステージの敵を全滅させる』ことが
クリア条件になりますが、
たいていは『敵全滅』だけで進めます。


ちょっとした衝撃を相手に与れば倒せるので、
『倒すつもりは無かったのに倒しちゃった』
という場面が多発するほどです。
(実はコレが、後々の大問題につながりますので、
よく憶えておいて下さい。)



また、敵が強いステージでも、
敵を適当に避けながらルートを調節していけば
全ての地面を塗りつぶしてクリアできます。

にっちもさっちも行かなくなることは、まず、ありません。


…ゲームとして見ると、
緊張感が皆無で、展開も単調極まりなく、
プレイしていて居眠りしそうになりますが。






■カードを集める場合■


…こうなると、ゲームは途端に難しくなります。
と言うか、『運まかせ』になってしまいます。


…1つ目の問題は
『カードは2枚集めないと意味が無い』 こと。


ある程度の地面を塗りつぶすとカードが出現しますが、
先述の通り、1枚では意味がありません。

離れた場所に同時に出現する2枚のカードを、
2枚ともゲットしなければ
新生物を獲得できないのです。



…当ゲームでの主人公の移動(特にコース間の移動)は、
咄嗟にはなかなか思い通りにいきません。

行くべき場所を定めて、
途中でジャマになる『コース移動の矢印』が無いかを確認、
問題があればそれに応じた『コースの回転』を行う…


という段階を経るため、
瞬間的な対応ができないためです。

そんな困難の中で、
1枚でも大変なのに『2枚』を要求するとは…




…2つ目の問題は、『カードの出現時間が短いこと』

カードを出現させても、
たった『15秒ほど』で消えてしまうのです!


モタモタしてると、あっと言うまに消滅。
カードが取りたければ、
ステージの最初からやり直すしかありません。


ヒドすぎ…




…とどめに、せっかくカードを出現させたのに、
そこに辿り着く途中で
『うっかりモンスターを全部倒してしまい、
不本意なステージクリアをしてしまう』

ことが結構あるのです。
(理由は前述のとおり)



…ここまでくると悪意すら感じます。

我々プレイヤーが新生物を集めると、
何か制作スタッフにとってマズい事があるのでしょうか?



そこまで言うなら、もう
『カード集めを抜きにしてゲームを遊ぶ』
しかありませんね。

でも、「カード集め」の要素が無くなったら、
一体どこを楽しめばイイのでしょう、このゲーム?


単調な行為を黙々と繰り返す空しいゲーム展開。





これが本当の、

『延々演じぇる』










ひーーーーーーーーーーーーーーーー

すいませんゴメンなさい。


でも、単調なのは事実。
ゲームとしては、他人には奨められませんね。

(結局、僕もステージ15あたりで単調さに耐えられなくなって
やめてしまいました。 先には進めるんだけど、全然楽しくなくて。)










■第四章 『その他』


…結果として、
『ゲームになっていない、楽しくない作品』
であると断言せねばならない内容でしたが、
『円形の特異なフィールド構成』や、
あみだクジにヒントを得たと思われる『ひとクセある移動方法』は、
練りようによっては秀逸なゲームにバケる可能性もあります。

(また、個人的には、製作者のチャレンジ精神も買いたいところですが、
そんなこと言ってたら公正な批評にならないので…)




『当ゲームの持つ、独自性の高いアイディアを
活かせる、新しいゲームフィールド』

を用意して再挑戦してほしいものです。




…ちなみに、当ゲームを制作した『ディークルーズ』は、
以前、秀逸なブロック崩し『プリズムランドストーリー』
開発なさった会社だったはずです。 たしか。

社長の石井さんは、昔「BASICマガジン」という月刊誌で
ライターをされていた方らしいです。

当時の愛読者としては個人的に声援を送りたいところですが…

この「エンエンエンジェル」を見る限りだと
『もうちょっと頑張ってほしいなー』
という気持ちのほうが、今は強いかな。





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