プレイステーション用ソフト


『グンペイ』


販売:バンダイ              プレイ時間 :「5時間ほど」

購入価格:1780円          執筆日:2003年 9月22日





■第一章 『先輩』


『グンペイ』(バンダイ)は、アクションパズルゲームです。


一世を風靡した『ゲーム&ウォッチ』をはじめ、
任天堂の数々のゲーム『パネルでポン』『ヨッシーのクッキー』など)
開発をなさっていた事で有名な「故・横井軍平さんの遺作。

それが『グンペイ』です。



…横井さんの作品には、
『難解なテクニックよりも、直感的テクニック』
を主体としたものが多く、その点で、
たいへんに僕と好みが似ておられます。

残念ながら、僕が横井さんという方を知ったのは、
彼が96年ごろに交通事故で不慮の死を遂げられた
という記事がキッカケだったため、
僕がご本人に直接お会いしたことは一度も無いはずです。
(「はず」というのは、初心会などでそうと知らずに
お顔を拝見していたかも知れない… という意味です。)





…後続の僕らが先人に返せるもの。

それは、『先人を超える作品だけ』です。


この『グンペイ』という作品をシッカリと分析し、
将来自分がアクションパズルを作るときの
糧にさせていただきます。

よろしくお願いします、先輩。






■第二章 『システム詳細』


『グンペイ』のルールは非常に分かりやすいです。


下から、ラインが描かれたパネルが上昇してくるので、
それらの位置を換えて、
右から左までラインをつなげればパネルが消える。


一番上までパネルが上ってしまったらゲームオーバー。





…ただ、これだけです。

本当に、基本はこれだけ。
これだけ知っていれば、システムの8割は理解したも同然。



…この、『ほとんど一口で、プレイヤーに
ゲームシステムを理解させられる』

てのは、凄いことなんですよ。
(特に現代の日本みたいに物があふれかえっている世の中では、
いかに短時間で商品の全貌をユーザーに伝達するかが、
商品の生死をにぎっていると言っても過言ではないのです。)






…さて、次は、もう少し詳細までシステムを説明しましょう。

フィールド 『5×10』
流れ  一定時間ごとに、最下段からランダムでパネルが補充される。 全ての列に補充されるわけではなく、空きがある場合もある。
操作  「十字キー」て好きな場所にカーソルを動かして、「ボタン」を押すと、カーソル内の2枚のパネルの上下が入れ換わる
 これを利用してパネルの位置を変更していく。
パネルの
消滅
 右から左までラインがつながれば、爆発して消える。
 パネルは「横一列5枚」である必要は無く、途中でS字に迂回したり、二股に分かれていてもOK。
 関わっているパネル全てが消滅する。
 ただし、分かれた先が行き止まりになっていると、その部分だけは爆発しない。
連鎖  爆発が終わるまでに、爆発中のパネルに
『後付け』(別の分岐点をつなげてやる。もちろん、爆発中のラインと後付けしたラインが、ちゃんと右から左につながっている必要がある。)することで連鎖爆発となる。
障害物  ランダムで『?パネル』が補充される。
 このパネルは、自分と同じ位置にあるパネルを覆い隠してしまう。
 そのため、一度「?パネル」上にカーソルを合わせてパネル交換を行い、その下に隠されているパネルのライン形状を確認する必要がある。
 爆発に巻き込むことで消滅させられる。



…こんなとこですね。






■第三章 『問題点と改良案』


…では、当作品の問題点を見ていきましょう。


『えっ? 「問題点」があるの?』
とおっしゃるアナタ、そして横井先輩。

残念ですが、あるのです。



…良い部分は「第一章」などで紹介しましたから、
以下には当作品の問題点ばかりが並ぶ形になりますが、ご容赦を。




『キャラがちょっと…』

…システム的問題ではないのですが、ビジュアル的に、
今イチどういった購買層を狙って作られたのか首をひねります。

小さーな子供か、あるいは許容量のある三十路過ぎのプレイヤー
あたりでないと、このキャラクターは辛いと思うのですが?




『パネル交換による疲労』

…パネルの配置が上下に別れてくると特に感じるのですが、
両者を引き寄せて横に並べるだけで、
かなりの労力を必要
とします。


いっそ、ゲームオーバーの条件を
『パネルでフィールドが埋まり尽くしたら』にして、
フィールド全体に『下向き重力』をかけてみてはどうでしょう?

つまり『パネルでポン』のようなシステムにするのです。



…さらにさらに、パネル交換のカーソル形状も、
「上下交換」から『左右交換』にして、
完全に『パネポン』形式にしてしまうのはどうでしょう?

…いえ、後者は冗談ですが。




『「?パネル」の意味』

…中に何が入っているか分からないため、
いちいちパネル交換をして中を確認しないといけない「?パネル」

これ、本当に必要なんでしょうか?


『パネル交換をしにいく手間による足止め』が目的なら、
一度中を見た時点で「?パネル」を消滅させてもイイわけですし、
『プレイヤーが自在にパネルを並べるのを妨害する』のが目的なら、
「岩」などの完全な障害物(中に通常パネルを隠していない)でも
イイと思うのです。




『プレステ版特有の難点』

…実は僕自身「ワンダースワン版」も遊んだことがあるのですが、
アレに比べて「プレステ版」は遊びにくい!

大きな問題点は2つ。



…まず、『画面が大きくなったことによって、
瞬間的に全体を把握しづらくなった点』


これは、「昔のゲーム」や「携帯機のゲーム」を
最新のハードに移植する際に、必ず生まれる問題です。

「仕方ない」とも言えますが、
本当にこの問題に気が付いていたのなら、
『表示画面が一回り小さいモード』などを付加する等、
改良の余地もあったはずです。
(もちろん、プレイヤーの目には悪いでしょうが…)



もう1点は…

これこそ「仕方ない」と言える問題かもしれませんが…
『長時間プレイになるほど、左手が疲れる』のです。

これは珍しく、ソフトの問題ではなく、
ハードとの相性の問題です。

つまり、「ワンダースワン」に比べて
格段に『十字キーが重い(堅い)』プレステでは、
十字キーを酷使する『グンペイ』の長時間プレイが
異様に辛くなるのです。


…これは、本当に非常に珍しいケースです。

よく、「マウス」主体のパソコンゲームを、
「十字キー主体」のコンシューマ機に移植して
失敗するというケースはありますが、
『グンペイ』はいずれも「十字キー・1ボタン」による操作。

『ハードの違いによって、意外な障害が生じるケース』
として、胸に留めておきます。






…図らずも、最後に難点の列挙をする形になってしまいましたが、
『グンペイ』の示した新しいゲーム性には、
僕自身、深い敬意を持っております。

新しいからこそ、予想外の障害もまた生まれるのでしょう。


しかし、そのシステムが提供してくれる『新しい快感』
「新しい問題点」による不快感を上回るなら、
それはそれで『成功』といえるのではないでしょうか?



少なくとも、昔からあるシステムに
チョイと「おまけ」(それを「新システム」とか称する厚顔さにあきれますが…)
を載せて『新商品』といって売っている二番煎じどもよりは、
はるかにプレイヤー思いであると言えるでしょう。




…だから、アナタも体験して下さい。『グンペイ』を。

ここにあるのは、広告としてでは無い、
『本物の新システム』なのですから。




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