プレイステーション用ソフト

『serial experiments lain』

販売…パイオニアLDC    購入価格 7800円



★序章『接続する少女』★

…ようこそ、お越しいただきました。 池袋ふきでございます。

今回ご紹介する『〜lain(レイン)』は、1998年夏に
深夜枠で放映されたアニメを題材としたゲームです。

主人公である女子中学生「レイン」は、その多感な時期を、
「両親の不仲」という悲しい環境の中で過ごしています。

小さな少女には抗いようのない寂しさの毎日が、いつしか彼女を
『ワイアード』なるイケない遊びへと没頭させていきます。
あどけなさの残る愛らしい顔立ちの少女が、回を追うごとに
自分の体に 色々なものを接続・挿入 していくというアニメです。

上の文章には一切、嘘・偽りはございません。

疑うのであれば、ぜひLD等をご購入いただき、
ご自分の目でお確かめ下さい… て言ってるそばから、
アニメイトに走る貴方の姿が目に浮かぶようです。

「第一章」以降は、当HPの常連である『朝霧』君による、
ゲーム「〜レイン」への熱い思いであります。
それは「レイン」という少女にあてた一通の恋文とも言えましょう。

 私はこのアニメを知る者の一人として、彼の手記を読まれた
方々の心に、件のゲームの、ひいては「レイン」の魅力
ほんの一部でも届けば、と 願ってやみません。


★第1章『lain(レイン)との出会い』★

…僕がこのゲームを買ったのは2年前、1998年の夏のことでした。
当時は深夜アニメが始まってから時間も経ち、なかなかに
粒ぞろいのアニメが生まれていた時期でもありました。
(アウトロースター、トライガン等)

そんななか、新たなアニメが1クール(13話)でスタートするという事を
知りました。 密かに電撃系雑誌でチェックしていた私は狂喜しました。
それこそが、私の大好きな作家「安部吉俊」さん原画の、 「lain」だったのです。

アニメが良かったのは言うまでもありません。PCを題材としつつ、心と
身体の在り方を問う作品は、謎を含みつつも成功だったと言えましょう。
音楽もマッチしていて最高でした。(BOAという洋楽バンド)
アニメ評論ではないので詳細は省きますが、とにかく、いい作品でした。

当然、ゲームの「レイン」も購入(初回限定版 7800円)した私ですが、
直後、大きなミス(サクセス?)を犯します。

当時の私は、騒がれたPSゲーム、“ギルティ・ギア”に大ハマリして
しまったのです。 そんな私に追い打ちをかけるように各社雑誌の
(レインの)評論には“ロード時間が長い”(←重要)
という見出しがあふれていました。

嫌な予感がしました。 このまま私はこのゲームをやらずに
ただの“コレクション”にしてしまうのではないかと。

予感は的中致しました。

運悪く、その年の冬にはテイルズが出たりと、ゲーム消化能力の悪い
当時の私に2本もの同時プレイは困難を極める物だった為、「lain」
はそのまま、私の部屋の片隅で2年間の時を過す事となりました。

そう、その様はまるでアニメのエンディングの、
機械にうずもれて眠る「レイン」の様に・・・。
深く深く、眠りにつきました・・・。

 そして2年後、私は思い知るのです。
2年もの時を経て蘇る「lain」は、当時の評論者が言うよりも
更に粗悪な物だったということを・・・。



★第2章『コネクト、ワイアード (ゲーム中ではlof)』★

 ゲームをセットして、電源を入れます。
・・・普通にSONY、続いてPSのロゴが出ます。

正直、私はホッとしました。
「lain」の事だからロゴそっちのけで
『電線も繋いでいないのに勝手にネットにアクセスする』
位の事をするのかと、勝手な期待をしていました。

いや、叶わなかったのですから 残念 だったのかもしれません。


続いて、静止画に…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

…あれ?

もう始まっていました。


3分ほど、無駄にいたしました。

いくらアイコンが出ていても選択肢が一つでは全く解りません。
静か過ぎです。 光りもしないのですから。
さすがNEC。 早速不安にさせてくれます。

この始まりのインパクトは、いにしえのFC版「ファミコンウォーズ」
と対を成すと言っても過言ではないでしょう。(あのゲームで
電源を入れた瞬間「バグか!?」と思ったのは私だけではないハズ)

とにかく先に進もうとすると、アクセスコードを入力しろと言って来ます。
説明書には“外国語を入力すると発音できない場合があります”とあります。

『発音?まさかね・・・』

私はその瞬間えもいわれぬ悪寒に襲われましたが、とりあえず
普通に入力しました。 「ソ」… 「ウ」… 「マ」…と。

そのとき私はまだ気付いてはいなかったのです。
このゲームの本当の恐ろしさに。

そして、狂気に。



★第3章『苦行』★

…いきなりですが、「導入部分」全く無しです。

アニメを見ていろとか、説明書に書いてあるだろ的な、いきなりの
製作者の手抜きぶりです。(実際、説明書はあるが説明になっていない)

しかし、説明しすぎてもこのゲームの世界観を損ねると言う意味では、
説明書にもおいそれとはたくさんの説明は書けないのでしょう。
製作者サイドの狡猾さが伺えます。こうなる様に仕向けたのでしょう。

やーい、手抜きぃ(決めつけ)。

きっとこういう輩が『バグは仕様』とかいうのでしょう。恐ろしい事です。

 このゲームは、過去〜未来のデータが存在する電脳世界でデータを
ロードしていって「lain」の記録を調べていく、というもの
なのですが、記録を調べる際に、1〜22階層ものケージ状のフロアを
行き来する事となります。 このマップ表記がやばくて、
『ターミナルドグマのカヲル君、若しくは地下組織ノア』
という印象をうけました。 説明がコアですんません。

説明書には『十字ボタン左右でケージの移動』とあります。
試しに押してみます。 ポチ。

(PSのロード音がしてから・・・3秒後)

ウイ〜ン、カシャ、カシャ、カシャ、カシャ…

(さらにアイコンはこの後移動)

 ・・・予想はしていましたが、あまりの緩慢な動きに、
気付くとこんな台詞が勝手に口から滑り落りていました。

『なんだ、これは』

まるで、テレホタイムに「nifty」に繋いでいるかのようです。
いや、それ以上かもしれません。

アイコンの重たい動きは鉛の様です。 まぢで。

・・・アニメの「lain」のPCは「ナビ」と言って、とても
高性能らしいのです。(テラマシンとでもいうのでしょうか)
それを模倣しているはずなのですが、
これでは旧世代のマシンも甚だしいところです。

NECは、2000年のマシンスペックを
「ペンU100」止まりだとでも思っていたのでしょうか。

書き忘れていましたが、このソフト、実は2枚組で
もう一つ同じ電脳世界が広がっているのです。

『22階層×2=44』。 ・・・地獄の苦しみです。

しかも、1回目のエンディングでは全ての画像は集まりません。
『44階層×2=88』。

・・・ふざけているとしか思えません。 鼠算式も良い所です。
何回もやらせようというスタッフの配慮なのでしょうが、これでは
逆効果です。 やる前から逃げ出してしまう人も少なくないと思われます。

これは2年間部屋の隅に埋もれてきたソフトによる、今度は逆に
私自身を電脳空間に埋もれさせるというささやかな復讐なのでしょうか。


・・・閑話休題。 アニメでもそうでしたが、「lain」に関わった人は全て不幸に
なっていきます。 簡単に言うと、ネット上の「lain」が現実世界に
“染み出して”人を襲うのです。そこでふと、思いついた事がありました。

『・・・ぷち貞子?』

…話を元に戻しましょう。



★第4章『悪魔のつぶやき』★

…ゲームも進み、だんだん話の全貌が明らかになっていきます。
充足感を覚えます。 「初回限定版¥7,800」
大枚をはたいた甲斐もあろうというものです。

そんなとき、突然にそれは訪れました。 確かに、説明書には
“とあるファイルを開くとゲームクリア”とありますが…

確かに、ありました。
突然ゲームクリアになりました。

…まだセーブもしてないのに。

(このゲームほど、セーブしていない状態で消えた時にやる気が
無くなるゲームも珍しいでしょう。 失われる膨大な時間… )

・・・彼女は私に囁きました。 およそ彼女の声(CV清水香里)
とは思えないフルコンピュータボイスで。

『ソォ(↓)  ウゥ(→)  マァァ(右斜め上)』


軽い目眩を覚えました。アクセントが滅茶苦茶です。

…約5分後、ようやく我に返った私の口から、
その一言が滑り落ちたのを記憶しています。

『やるな、NEC・・・』

NECに怒りがふつふつと沸いて来ました。
おのれNEC。 「lain」を愚弄しおって。

(↑言葉遣いは若気の至りという事で勘弁してやって下さい。時効時効。
え?1ヶ月で時効? なんてこった)



★第5章『ゲーム内容について』★

《@説明が不親切》

 何をやるのか解らない。 クリアまでの道筋が不明確。
アイコンの説明が曖昧。そう言う世界観を出そうとしているのか・・・謎。


《Aロード時間が長い》

 一番の理由がこれ。 ロードと言うより、普通の動作が緩慢。
一番の短所であり、長所でもある。 本当は、これだけの「画像&
音声データ」を詰めているので認めざるを得ないのだが・・・。
だったら普通の動作時に何故遅くなるのかが疑問。


《B音声再生システム(?)の導入》

ときメモ2も真っ青であろう中途半端さ。 かなり昔にこのシステムを
導入していたのは先見の明を感じる。 だが、感じるだけ。
音声のノイズが酷い上にアクセントがバラバラ。仕方ないのだが・・・。

とまあ、このように聞いてるだけでもダルくなってきてしまう
ゲエムなのですよこれが・・・。 まあ、幸いにグラフィックが
いいので(ウリ)、後は「lain」への、このシステムを補って
余りある があるかどうかが、勝負への分かれ目でしょう。


 ・・・再び、私のPS内部でCDが回るかは判った物ではありませんが。


《教訓》

@…忍耐力がつくゲームである。
A…1人のキャラをどこまで愛せるかを問われるゲームである。



…最後に、これは評論(のつもり?)です。
悪口ばかりの様でしたが、このゲームに関して、はっきりと言っておく
事があります。 それは、私は決して「lain」をけなしているのでは
無いということです。私はゲーム性に問題があるということを言いました。
私はアニメが大好きです。 パイオニアLDC万歳です。
しかし、ことゲーム性に関しては疑問符を挙げねばなりませんでした。
それはNECインターチャネルに全責任があります。
そう、「lain」はゲームの製作者を間違えたと言わざるを得ない、
悲劇のヒロイン(^^;)・・・だと思うのです。

ゲーム製作者を馬鹿にしている訳では無いつもりなんですけれどね・・・。
いやその、 ちょっと不親切だったかなあと
(今更とって付けたフォロー・・・)。



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