プレイステーション用ソフト


『伸縮対戦 It's a のに〜!』


販売:TMF                プレイ時間 :「3時間ほど」

購入価格:1290円          執筆日:2003年 9月23日





■第一章 『自由』


『伸縮対戦 It's a のに〜!』(TMF)は、
アクションパズルゲームです。


画面下部からせり上がってくる「色付きパーツ」に
画面を埋め尽くしされてしまわないように、
縦横か斜めに「3つ以上」並べて消滅させていくゲームです。



…と、これだけ聞くと、
「アクティブ消し」のできない『パネルでポン』(任天堂)のようですが、
『パーツの位置換え』のシステムが全然ちがいます。

なんと、このゲーム、
すでに配置されているパーツに隣接さえしていれば、
『好きなパーツを、好きな場所に
移動させることができてしまう』
のです!




流れとしては…


好きなパーツを、
『十字キーと○ボタンでドラッグ』して
移動先を指定する。
(マウスによるドラッグのような感じ)



移動先指定したパーツは、
「現在位置」と「移動先」に引っ張られるように、
みょ〜んと伸びた状態になる。

ただし、この状態では、まだ移動はしない。
この調子で、好きなだけ移動指定する。



「×ボタン」を押すと、指定したパーツ全部が
『一気に指定先に移動』する。

と、同時に最初の『破壊判定』がされる。



足元のパーツが消えたものは、
引力にしたがって落下する。

落下後に同じ色のパーツが、
「縦横ナナメに3つ以上」並べば
当然、『連鎖』破壊がおこる。





…他パーツに隣接さえしていれば、移動の制限は一切無し!

「フィールド右下のパーツを左上まで持っていく」
といった、豪快な移動も全然OK。




…下部からせり上がってくるパーツの「並び」が
ほとんど無関係になってしまうシステムは、
賛否両論・好き嫌いはあるにしても、
一度は体験しておきたいところです。






■第二章 『システム考察』


…さて、「落ち物」の積み上げてきた
システムの歴史を完膚無きまでに粉砕した
新システム『のに〜システム』(勝手に命名)ですが、
ゲームとしては成功していたのでしょうか?

実際のプレイによる感想を列挙して、
考察してみようと思います。




『破壊判定のタイミング』

…上記の「流れ」を読んでお気づきの人もいると思いますが、
当ゲームの破壊判定は、従来のものより
「1ステップ」増えています。

つまり、『移動直後』の最初の破壊判定です。

実は、この判定は「完全な移動直後」、つまり、
『配置先が足場の無い空中であっても、落下前に判定』
されるという特殊なものなのです。



…これには良し悪しがあって、
とりあえず簡単に「1発目の破壊」が起こせるおかげで
『結果的に、大きな連鎖数を狙いやすい』という利点。

そして、落下前に勝手に破壊が起こってしまうために
『従来の「落ち物パズル」と同じ要領で、落下後を想定して
パーツ配置をしていると、もくろみが外れてしまう』

という欠点を持ちます。




『想定しにくい、移動後の配置』

…実は、上記と密接に関わってくるのが、
この要素だと思います。


当ゲームの「どこからでもパーツを持ってこれる」
というシステムは、逆にいえば
『足場となる下部のパーツを移動させるため、
移動後の全体のパーツ配置の予想が困難』

であるとも言えるのです。

そのため、プレイの偶発性が高くなり、
なかなか思ったとおりの連鎖が組めなくなります。


…その難点を(気分的にだけでも)解消しようとしたのが、
プレイヤーが狙いやすい『落下前の爆発判定の設置』
だったのではないでしょうか?






…以上2点から導かれる結論。

それは、当ゲームのシステムは
「どこからでもパーツを移動させられる」という自由度の高さが、
逆に「移動後のパーツの並びが予想しづらい」という難点を生み、
結果『ゲーム自体が偶然に頼りがち』になってしまっている
という事実です



残念ですが、この新しい試み『のに〜システム』は、
現時点では失敗作であったと結論せねばならないようです。

開発スタッフさんには、「のに〜システム」を活かす
『新たなサブシステム』と組み合わせての
再挑戦を期待します。






■第三章 『それ以外』


…それ以外の点についての感想を列挙してみましょう。
ほとんど問題点ですが。



『変なノリのキャラとストーリー』

『有名作品(ゲーム・アニメなど)のパロディ』といった
同人的なノリの内容には、
プレイヤーの好き嫌いが露骨に出ると思います。

僕は、底々好きかな?




『 NOW SLEEPING 』

…相手とのパズル対戦が始まった直後に、
両者がバタリと地面に倒れ
『 NOW SLEEPING 』と表示されます。

最初は何事かと思ったのですが、どうやら
CDの読込みタイムがあまりにも長い(15秒ほど)ため、
スタッフが入れた「お遊び」のようです。


開発の力の入れ所がまちがっていると思います。




『伸ばした「のに〜」が邪魔』

…移動先を決定した「のに〜」は、移動が完了するまで
『伸びたまま』の状態で表示されていますが、
他のパーツの手前にあるため、
後ろに隠れたパーツが見にくくてたまりません。


パーツを「のに〜」と伸ばす視覚演出を
『捨てろ』と言いたくなります。




『ドラッグ・リセット』

…敵がプレイヤー側に「お邪魔パーツ」を送ってきた時点で、
パーツをドラッグ中(パーツを移動予定地に引っぱっている)だと、
操作自体が解除されてしまいます。

そのため、連続して攻撃されると、
パーツの移動すらできないままに
追い詰められる事すらあります。




『長時間プレイの辛さ』

…ドラッグ動作がメインとなるため、
「十字キー」と「○ボタン」
つまり両手の親指の握力をかなり酷使します。

CPUは平気でしょうが、
プレイヤーはたまったものではありません。


…新しいシステムへの挑戦は大歓迎です。

でも、そのシステムを人間であるプレイヤーが
使ったときに、どういった問題が生じるか?


ドラッグ動作中、ずっとボタンを押しっぱなしにする
「のに〜システム」が生むであろう、
プレイヤーの体力に関わる問題にも、
開発者には思考を巡らしてほしかったところです。




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