プレイステーション用ソフト


『2999年のゲームキッズ』


販売:SCE               プレイ時間 :「クリア2回」

購入価格:780円          執筆日:2003年 8月21日





■第一章 『デジタル小説』


『2999年のゲームキッズ』(SCE)は、デジタル小説です。


ボタンを押すことで、小説ゲーム形式でストーリーが進み、
対応する挿絵・効果音が入り、
内容に応じてアニメーションしたりします。

「小説」と「アニメ」を程よくブレンド
したような作品
、といった所でしょうか?



…挿絵は基本的に「1枚絵」なのですが、これに
『カットイン』『瞬間的なアップ』『ネガ反転』『ピントずらし』
などの視覚演出をほどこす事で、
非常に多彩な表現に成功しています。


『制約の中での工夫の数々』に、
感心せずにはいられません。






■第二章 『ストーリー』


…主人公『シカ』は、ロボット人間。

巨大な「塔」を中軸とする
直径20キロほどの円形の街
で暮らしています。

街の人々やペットも、全てロボットです。



「塔」は雲の上まで伸びるほど巨大で、
しかし、なぜか99階より上に登った人が街にいません。

街の外周には「鉄柵」があり、
そこより外は電磁波の悪影響で
ロボットである彼らには立ち入れない世界です。

つまり彼らは、
完全にこの街に閉じ込められた状態
で生活しているのです。



…そんな生活に疑問も抱かずに暮らしてきた『シカ』でしたが、
何者かが自分を襲う夢を立て続けに見るようになり、
次第に周りの何かが狂い始めていきました…





…導入はこんなものでしょうか?

全体としては、原作の「渡辺浩弐」さんらしい、
『人間の本質』のようなものをオブラートに包んで、
しっかり読者に飲ませる
ような内容になっています。


…彼の作品て、軽い風邪などをひいた時に飲む、
『ちょっとだけ苦い薬』のような
味わいがあるんですよねー。


好きですが。






■第三章 『疑問とまとめ』


『デジタル小説』として、とても丁寧に、
そして野心的に作られており、
システムとしてもイイ線いってるゲームだと思います。

(…全13章は短すぎですが。)



…ただ、ストーリー上、
どうしても分からない部分があったので、
それを列挙してみようかと。

以下、『ネタバレ』があるので、
内容を知りたくない人は読まないように注意ね。





『主人公の記憶にまざる「生身の子供」の記憶は一体?』


『街の外でシカを救出した女性は誰?』


『街の外で、なぜ「シカ自身の口」から
オッペンじいさんのセリフが出たのか?』



『永久機関の研究でアカデミーを追放になった
オッペンじいさん。 それはいつの記憶なのか?
リニューデイの内容(1年行程を半永久的に繰り返す)を考えると、
彼の記憶は街が永久機関になる前のもののはず。
ならば、彼の技術力は街の開発に
利用されるべきだったのでは?』



『街自体が1年をさかのぼる能力を持っているのなら、
なぜそこに住む人々も同時にさかのぼらせないのか?
それが出来ないから、老化が発覚しないように
ボディを新品にして、以前のものを
廃棄しているという事なのだろうか?
だとすると、これはオッペンじいさんが言っていた
「自分の作った永久期間モデルの
わずかな熱放射による運動ロス」
(100%のエネルギー変換率が得られない)
と同じ意味ということか。』





…あと、最後にもう一人の自分を殺す(殺される)ことで
物語は幕を閉じるが、これは
『彼らの運命もまた、永久機関のサイクルから逃れられない』
という事でしょうか?


ちょと切ないね。




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