プレイステーション用ソフト


『ビブリボン』


販売:SCE                プレイ時間 :「2時間」

購入価格:980円         執筆日:2003年 9月28日





■第一章 『本家』


『ビブリボン』(SCE)は、リズムアクションゲームです。


日本初の音ゲー『パラッパラッパー』(SCE)
制作された会社が手がけたゲームだそうです。
(初の音ゲーは『オトッキー』では?
という無茶なツッコミはいれないように。
あと、起訴で有名な『ビートマニア』(コナミ)は、
「音ゲー」という枠で見ればあちらが二番煎じですね。)




『パラッパラッパー』『ウンジャマラミー』『パラッパ2』と、
「音ゲー」一筋で走ってきた会社の放つ、第4段。

その出来や、いかに?





…で、まずパッケージを開いて驚いたのが、
『説明書がペラ1枚』だった事です。

障害物に対応しているボタンの説明。
ただ、それだけ。



一瞬、ものすごく不安になりましたが、ゲームを始めてみて
『チュートリアル』などをひととおり遊んで、一安心。

たしかに、この内容なら
説明書1枚でもなんとか理解できる。



…逆に、たったこれだけの説明で
ゲーム全体が説明できてしまう点は、
『作り手として学ぶべきだな』と思い直したりもしました。






■第二章 『概要』


…当ゲームの内容は以下のとおり。



主人公は、基本的に右に向かって歩きつづける。
そして、右から障害物が流れてくる。



障害物に隣接した状態で
『対応したボタン』(4種類)を押すことで、
それに対処する事ができる。

例えば、壁が迫ってきたときは、
壁が隣接した時にタイミング良く「L1」を押せば、
主人公が壁を跳び箱のように乗り越える。



後半ステージでは、
障害物が「2つミックス」されて
出てくる事があるが、その場合は、
対応するボタンを『2つ同時』に押せば対処できる。

障害物はBGMのリズムに合わせて出現するので、
リズムに合わせて入力すれば乗り越えられる…
事になっている。(←伏線)



一定距離、つまり曲が終わるところ
まで進むとステージクリア。






…基本ルールは、従来の「音ゲー」と
大差無いので、すぐに慣れます



これに、

『ワイヤーフレーム的表示による、
高いオリジナリティを誇るゲーム画面』


『プレイヤーの手持ちの音楽CDをプレステにセットする
ことで、指定した曲からステージを自動生成できるため、
曲の数だけ異なるステージで遊べる』


という2つの「売り」を引っさげたのが、
『ビブリボン』というゲームです。






■第三章 『色々』


…というわけで、
各々の要素について批評してみましょう。



『特殊な画面』

…なんと、このゲーム、『ワイヤーフレームのみ』
(正確には、ポリゴンで作ったオブジェクトの
「外周だけ」を表示させてるらしいです)

で、画面が構成されています。

真っ暗な画面に、ボヨンボヨンと動く線画だけで
ゲームフィールドが構成されている様は、
かなりインパクトがあります。


人によって好き嫌いはあるでしょうが、
ゲームとしてしっかり「しているなら」、
こういう表現も僕はアリだと思います。(←伏線)




『チュートリアルは歌』

…ゲームの内容・操作が、なんと「歌」で説明されます。

『壁は、L〜♪』て感じに。


歌なので、頭にもしみこみやすいです。
これは、面白いアイデアではないかと。




『障害物以外の、障害』

…なんというか、このゲーム。
元々簡単すぎる内容のためか、
『なんとかプレイヤーにミスしてもらおう』
という思惑が垣間見える部分がチラホラあります。


例えば、
『いきなりカメラ視点が斜め』
になったりします。

そのせいで、
今までノっていたタイミングが微妙に外されてしまい、
ケアレスミスにつながる事がままあります。


これをお読みの人の中には、
「画面に頼らずに、BGMのリズムに合わせて
ボタンを押してれば問題ないじゃないか?」

と、おっしゃる方もいる事でしょう。

まぁ、「本来は」そうなんですけどね。(←伏線)



…あと、時々ぐにょ〜んと
『BGMのテンポが変化する』のです。

えぇ、遅くなったり速くなったりするんです、テンポが。
ステージ途中で。

一定のリズムにノる事で「リズム入力」に専念し、
ナチュラルハイになっていくのが「音ゲー」の快感要素なのに、
それを取っ払ってしまうステージ構成に
どういう意味があるのでしよう?

正直、最初はバグかと思いました。


「皆がやっていないアイデア」=『新しい快感』
という式は、必ずしも成り立たないと思います。



…そして、状況に応じて『地面がゆれる』せいで、
ますますタイミングが計りづらくなってしまっています。

えぇえぇ、これをお読みのあなたは、こうおっしゃる事でしょう。
「BGMのリズムに合わせてボタンを押せ!」とね。

分ーかってるって。
とにかくを読んでくれ〜。 それが答えだ。




『ズレているタイミング』

…信じられない事ですが、このゲーム、
『リズムと障害物回避の
タイミングがズレている』

のです!

だから、リズムにピッタリ合わせて
ポンポンとボタンを押していると、主人公が
『キャー』『ギャッ』『キュー』などと悲鳴を上げて
ダメージを受けてしまうのです。


…いえ、全ての場面というわけではありません。

それでも、体感的に全体の3〜4割でズレているので、
もう全然ノれないか、ノってきたな〜と思った途端に
ダメージを食らったりして、不愉快きわまりありません。


では、それにどう対処するかというと、
『BGMを信用せずに、主人公が障害物に
隣接したことを「目視確認」してボタンを押す』

しかないのです。

…それって「音ゲー」か?



…結局、細かな「良さげなアイデア」も、
基盤となっている『音ゲー』部分の不出来により、
全て相殺どころか、個人的にはマイナスですな。




『自動生成の謎』

『自分の音楽CDから新たなステージが生成される』
というアイデアは面白いです。

と言うか、このシステムがキッチリ整ってしまったら、
もう、新しい「音ゲー」を買う必要が無くなるよね。


それを考慮してかどうか、
当ゲームの自動生成は、どこか中途半端な感じです。

前述の障害物タイミングのズレも手伝って、
『本当に自分のCDからステージが作られているのか?』
と、疑わずにはいられない出来なのです。


…これは、完璧な生成システムを載せたせいで
「音ゲー」の需要が無くなってしまうことを恐れた、
制作サイドの長期的経営視野によるものなのでしょうか?

だとしたらスゴイね、SCE。


違ったとしても、別の意味でスゴイけどさ。






総評。

普通の「音ゲー」を期待している人は、
買わないほうが無難です。


『少々タイミングがズレててもいいです…
自分の好きな音楽を聞きながら、
底々の難易度のアクションゲームでもやって、
持てあました余暇をつぶしたいんです…』
という、
心に余裕があるんだか無いんだか分からない
奇特な方
は、試してみてもイイのでは?
…責任は持たんけど。



…ちなみに、
『ビブリボン』のBGMがちょっと気に入ったので
作曲者を調べてみたら、
『 Laugh & Peace 』という方々だそうです。

自分の覚書きとして書いておこう。




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