プレイステーション用


『ブレス オブ ファイア3』


販売: カプコン

プレイ時間 : クリア1回

購入価格: 200円

執筆日: 2006年 10月26日





■第1章 『工夫されたシステム』


『ブレス オブ ファイア3』は、RPGです。

スーパーファミコン時代から続く同社の看板RPGで、
2006年現在で5作目までリリースされています。


メリハリの利いた演出と、軽快なBGMなどが心地良い良質RPGですが、
なかなか特異なゲームシステムが目に付く異色作でもあります。
まずは、そんな当ゲームの個性を、分析を交えて紹介してみようと思います。




『軽快なフィールド移動』

ロング視点のフィールドマップでは、
基本的にポイント間での敵とのエンカウントが無く、
スイスイと行き来ができます。(イベント戦闘は除く)

また、同一の村や城の中でも、
ロング視点のマップのどの時点から拡大マップに入るかによって
途中の道程をスキップすることができ、
慣れるほどにショートカットができる作りになっています。




『ドラゴン』

主人公は、冒険の節目節目で手に入るクリスタルを組み合わせて
『ドラゴン化』することが可能です。

ただし、変身に1ターンを要し、MPの消費も激しいため、
必然的に使用箇所はボスクラスに限定されます。




『ブレスのダメージ』

ドラゴン系のモンスター(変身時の自分も)『ブレス』を吐くことができますが、
この威力は、その時点のドラゴンのHPに比例します。

そのため、味方の場合は
ドラゴンを最優先したHP回復が求められます。

また敵の場合は、1にも2にも強力なダメージを先行させ、
ある程度敵ドラゴンを弱らせたらわざと放っておき、
他の中堅的モンスターを優先して倒す…
といった戦い方の幅も生まれます。




『予防注射』

ある属性についての防御力を上げるシステムです。

「炎の注射」を打っておけば、
敵からの炎攻撃のダメージを軒並み半減できます。
効果は、宿屋に戻って一泊するまで。

他のRPGでは「指輪」などの服飾品の形で常備するのが通例ですが、
1回かぎりの注射は事前に現場の下調べも必要なので、
プレイヤー自身の工夫が求められます。

一方で、遠出するたびに注射を受けに行くのが実にメンドウで、
どうしようもない難所以外では疎遠になりがちです。




『師匠』

特定の人物に「弟子入り」することで、以降のレベルアップで
特定パラメータが上がりやすくなるシステムです。

他のRPGで言うところの「職業」に近いですが、
いつでも変更が可能な上、制約がほぼ皆無で、
自由度ははるかに上といえるでしょう。




『気絶』

戦闘中にHPが0になったキャラは、
当然「死亡」(当ゲームでは『気絶』と呼称)するが、
他のRPG同様、アイテムなどで回復させることができる…

のだが当作品では、なんと
『HPの上限が下がってしまう』
という恐怖のペナルティが付加されているのだ。

死ねば死ぬほど死にやすくなるという地獄の悪循環。
宿屋で一泊すれば正常値になるのだが、それはつまり、
一度冒険を中断して現場から町に帰ってこなければならないことと同義。

たしかに緊張感の持続につながる秀逸なアイディアとは思うが、
プレイヤーの身としてはツラかったです…




『即死1歩手前攻撃』

敵の特殊攻撃の1つに、
味方のHPを1にしてしまう恐怖の攻撃があります。

名前は異なっても同様の結果をもたらす攻撃がいくつか見られ、
このゲームの1つの定番攻撃になっているようです。

プレイヤーにとっては
『一撃死ではないものの、次ターンで死亡する可能性が高いため、
作戦の変更を余儀なくされる』
たいへんイヤな攻撃です。

一方で、速攻が成功すれば、
戦闘中の体力回復にかけるタイムロスを無視できるため、
この攻撃をしかけてくるモンスターが出現したときには
一撃必殺の攻撃をしかける工夫の楽しみが生まれます。

戦闘後の体力回復の手間をのぞけば、
戦闘にメリハリを出す面白いアイディアではないでしょうか?







■第2章 『もちろん難点も』



『マップの陰の謎』

3Dマップの陰になっている所に隠す、
という謎解きパターンが多かったのがちょっと…

マップではなく、プレイヤーの思考の死角に隠してくれると、
見つけたときの感動も大きいと思うのです。




『武器屋』

武器屋で物を買うとき、参照できるパラメータが
パーティにいる3人のものに限られるため、
スピーディな購入ができません。

いないメンバーについては、
一度テントに戻ってパーティを再編成する必要があり、
しかも主人公は固定なので実質2人ずつしか買い物できません。

このあたりは、『ドラクエ』、『FF』を
参考にしたシステム改変を望みます。

(でも、後述のとおり、僕はこのゲームをマニュアル無しで遊んでいるので、
実はショートカットの手段が存在したりするのかもしれない。)





『爽快感の薄い戦闘』

攻撃系の魔法の使用者が6人中1人ということもあり、
全体にビシバシ攻撃できない戦闘は時間がかかり
爽快感も少なくツライものがあります。

また、緊張感が高く、時間が長く感じる戦闘が多いため、
結果的にプレイヤーが感じる時間単位の見返りが
少なくなってしまっている
感があります。

僕はプレイ中、『異様にレベルアップの遅いゲームだな?』
感じたのですが、その原因はこの辺りにあるように思えます。


あるいは、主人公の『ドラゴン化』に爽快感の焦点を当てるために、
わざとこういう構成にしてあるのかもしれません。

が、変身に1ターンかかり、マジックポイントも大量消費する
「ドラゴン化」は使いどころが難しく、
どうしても使用に二の足を踏みます。

いずれにしても、
スピーディな爽快感からは縁遠いシステム
と言わざるを得ません。




『無骨なつくり』

全体的に、マジメで無骨な物作りを感じさせます。
きちんと工夫しないと、トンデモナク苦労する構成になっています。

なんというか、このゲームを企画した方は、
国産RPGというものを実によく研究していて、
そのシステムの弱点というか水漏れ的部分に適格にフタを施している…


そんな秀才的物作りが、ゲーム全体に漂っています。


ただ、RPGが嫌いではないけど特別好きでもない
僕のようなプレイヤーにとっては、
そういう秀才的システムが鼻につくのも事実です。

あえて抽象的な言い方をしてしまって申し訳ないのですが…

『水漏れ箇所を直すよりも、水漏れの根本的解決に
力を注いだほうがイイのでは?』
と、僕は思います。


言うは安し… と返されそうですが、
周転円を重ねる物づくりには必ず限界が訪れます。







■第3章 『まとめ』


ちなみにこのゲーム、丁寧に進めたせいもあってか
クリアまでに45時間という膨大な時間がかかってしまいました。

膨大… というか、かかった時間に比べて
得た経験密度が低かったから、そう感じるのでしょう。
この内容を20時間ぐらいで一気に見せてくれたら、
印象はだいぶアップしていたと思います。

そういえば、ラスボスの体力が異様に高くて(2万近くありました)
撃退までに40分かかりましたが、
これも自分だけなのかな…?



あと、ストーリーについてですが、
『世界を管理する存在がいて、主人公たちの行為が
結果的にそこからの脱却のキッカケになる』
という、
可もなく不可もない、よく使われる「親離れ」の話です。

ラスボスである『女神』の通常時の姿が弱々しかったので、
やや憐れに感じられましたが…




最後にこのゲーム、購入価格が異様に安いですが…

実は、僕が以前短期間だけ勤めていた中古ゲームショップで、
このゲームを売りに来た少年が「マニュアル」を入れ忘れていたのに
僕が気づかずに買い取ってしまい…

買い取り時の金額を店に払って引き取った、というのが真相です。


マニュアル無しで遊んだので、ゲーム中盤になるまで
パーティリーダーを「Lボタン」で切り替えれることに気づかず、
町の人からメンバー個別の情報を聞き出すために
いちいちテントに戻ってはリーダー変更…
という気の遠くなる作業に明け暮れていました。 ほほほほ…






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