プレイステーション用ソフト

『ポポロクロイス物語』

販売…SCE        購入価格 1980円

執筆日:2002年 11月21日





■第一章『初期の佳作』


ポポロクロイス物語(SCE) は、ロールプレイングゲームです。

かつて「氷の魔王」によって滅びかけたとき、
突如として現れた「竜」に救われたポポロクロイス王国。
その若き王子『ピエトロ』を主人公としたお話です。




…当作品で特筆すべきは、その
『遊んでいる子供の後ろからゲーム画面を覗いたお母さんも
思わず微笑んでしまうようなポエミィなアニメキャラ』

『味付けの強すぎない、むしろ淡白気味とすら言えるほどの
おだやかなストーリー』
にあります。



不景気・ストレス・ドラッグ・援交
自殺・電磁波・
テポドン 等の
暗黒の単語とは無縁であった1980年代前半までの日本ならまだしも、
殺伐とした20世紀末にこのゲームの企画を通した
スタッフの根性ソニーの余裕の財力に感嘆するばかりです。


今でこそ『癒し系』などと呼ばれて持てはやされておりますが、
あの当時に『親子で安心して遊べるRPG』
企画・制作することがどれほどの冒険であったことか?



プレステ初期の粗製濫造の中でキラリと光る、
数少ない佳作 (「名作!」とまでは行かない感じです)
呼べるのではないでしょうか『ポポロクロイス』。


それでは、批評に入りましょう。






■第二章『手ざりの良さ』


…まず、このゲーム。 非常に『居心地がイイ』です。



コントラストを抑えて、緑色茶色を基調とした
「落ち着いたゲーム画面」。

カントリー風の「おだやかなBGM」。

頭でっかちで人形のような、「愛らしい登場人物」。

悪事の度が過ぎていないため、「あんまり憎めない悪人」。


…などなど、子供のころ読んでいた絵本
テレビ画面の中に再現したような雰囲気が、
ゲーム全体の印象を良くしています。




…システム的に見ても、
特に難解な部分は見当たらない素直な作りで、
レベルアップも早く、サクサクとゲームが進行します。


全体に漂うRPG初心者向けの作りには、当時からのソニーの
「従来のヘビーユーザー以外の層を
購買対象とする一貫した姿勢」

が見て取れます。




…また、基本的には
従来のRPGの約束事に忠実なゲームシステムですが、
それらとの差別化を狙っているふしも見られます。

戦闘シーンを簡易ウォーシミュレーション風にして、
キャラクタごとに「移動可能範囲」「特殊技」を持たせて
各人の個性を発揮させるようとしているのも、
その1つでしょう。

『ガッツメーター』なるシステムを導入して
(戦闘中、キャラクタが何らかの行動をとるたびに減っていく。
減りすぎると行動不可。 待機することで回復する。
逆にガンガン待機して蓄積させることで、一時的に攻撃力が上がったり、
特殊技を発動させることができる。 なお、敵もコレを持っている。)

「キャラクタのレベルが高くなることで一方的になりがち」
従来の戦闘に、緩急を与えようとしている試みも見られます。





細かい心遣いも散りばめられてます。


例えば、仲間に「体力回復の魔法・アイテム」を使用しよう
とすると、使用する相手を選ぶときのカーソル位置
『その時点で最も残り体力の低い者』
自動的にセットされたりします。


イベントも特別個性的というわけでもなくハデさも無いですが、
登場人物の内面が少しずつ見えてきて、
ゆったりと愛着が増していく感じです。




…過去のRPGの
遊びやすい点だけをピックアップして、アクを抜き、
丁寧にまとめあげた。


そんな作品と言えるではないでしょうか。






■第三章『難点ちらほら』


…ただ、全体的にはイイ感じですが、その丁寧さ・アクの無さゆえに
イマイチ『心に残らない作品』と感じらるのも事実です。

自分が昨今のゲームを含む作品群に
慣れてしまったからでしょうか?

『子供向け・初心者向け』としては、
これぐらいの味付けが適度なのかも知れません。



…ただ、それを差し引いても
気になった難点がいくつかあったので、
以下に列挙してみようと思います。




@ 『文字によるストーリーが読みにくい』

一枚絵をバックにストーリーが語られる部分が
何ヶ所かあるのですが、
明るい背景の手前に白文字で書かれるため、読めません。

文字に黒枠をつけたり、
文字背景に半透明の暗色を置くべきでしょう。




A 『町の中と外との境界が
分かりづらい所がある』

…当ゲームは、『ドラクエ』(ENIX) などとは異なり、
町とフィールドが同縮尺で表現・直結されているため、
どの時点で町から出入りしたかが分かりにくく
(町の外壁が無い、などの理由から) なっています。

そのため、残り体力が少ない状態でやっとみつけた新たな町で、
宿屋を探しているうちに町から出てしまい、
敵にボコボコにされて死んだことが度々ありました。

ショックでした。




B 『とにかく よく死ぬ』

、とくにボス級のモンスターが繰り出してくる
攻撃が強すぎるため、味方がポンポン死にます。

仲間が早期に『生き返りの魔法』をおぼえたり、
「生き返りの薬」安価なため、特別ツラい印象は無いのですが…



それにしても、従来のRPGで「体力を回復する」のと
同じぐらいの頻度「生き返りの魔法」を使うのは、
問題なのではないでしょうか?




C 『その他 色々』

「レベルアップしたときに、何のパラメータが上昇したか
の表示が無いため、成長内容が分かりづらい」



「ドアなどを開けたときに効果音が無いため、実感に欠ける」


「○ボタンを押して会話をするときの、対象範囲が広すぎる。
すぐ近くの人と話しているつもりが、実は、後ろの
少し離れた所にいる人がしゃべっていたりする事があった」



「次の町に行くと、敵がいきなりグンと強くなる」


「店でアクセサリー系のアイテムを買うときに、
それを装備することで上昇するパラメータ表が
ちょっと分かりづらい」

(アクセサリーは「2つ」まで装備できるのですが、
パラメータ上昇表はどうやら、キャラクタが装備している
「1つ目のアクセサリ」に対してのみ数値比較しているらしい)






…重箱の隅をつつくようですが、こんなとこでしょうか。


全体としては丁寧だけど、難度が厳しい場所が所々に見られる…

個人的に、『ドラクエU』ととてもよく似た
プレイイメージを持つ作品でした。





最後に、

「闇の世界」に入るための、試練の『館』における戦いで、
あまりにボスが強いので付近のザコを倒してレベルアップ
しようと思ったら、『ボスを倒すまで館からは出れない』と言われ
ザコの出現場所も限られた狭い区域だけだったので、
ボスに勝てるまでレベルアップするのに物凄く苦労した…


という恨み節を付け加えて、
当批評のシメの言葉とさせていただきます。





…そうそう、豆知識。

「四天王」のHPは『6000』。

ラスボス「氷の魔王」は2段階変身して、
そのHPは『合計12000』です。

お役立て下さい。 ではー。




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