スーパーファミコン用ソフト

『まわってムーチョ !』

販売…インナーブレイン     購入価格 980円




■第一章『これはちょっと…』


『まわってムーチョ ! 』は、
斜め見下ろし型の3Dアクションゲームです。

「チクタクバンバン」のようなフィールドを歩き回り、
パネル状の地面を回転させて迷路のような道を変更し、
行く手を阻む敵を倒しつつ、
迷路のどこかにある特定アイテムを3つ集めればクリアです。



…話だけ聞くとまあまあ面白そうですね。

でも、実際あそんでみると、これがまた
何とも言えない代物に仕上がっております。

出来はまあまあだけど
「なんとも味気の無いゲーム」
とでも申しましょうか。

製作者に「腹が立つ」というより、むしろ
「哀れみ」のような感情が湧きあがるゲームなのです。


…そう思わざるをえない私の心境を、
以下の文章からご理解ください。




■第二章『ここがちょっと…』


…まず、『まわってムーチョ ! 』
「斜め見下ろし型アクション」です。

カメラ視点は基本的にロングなので、
2頭身ほどしかない主人公は建物や樹木に近付くと、
その影に隠れがち
になります。

で、さらにそこに敵が隠れていたり、
建物自体(当然、見えてない裏側も)が
攻撃能力を持っていたり
すると、
気付かぬうちに主人公はボコボコにされたりします。


…また、結構「ダメージ後の無敵時間が短い」ため、
うかつに敵に囲まれると、

攻撃を受けてダメージ ⇒ 起き上がる ⇒
逃げ切れずにダメージ ⇒ 起き上がる …


…の、くり返しになるようなヒドい場面
(これは視点に関係なく起こります)
もしばしばあります。



…一応、カメラ視点の変更などはできますが、
視点移動が遅くて役に立ちません。

「3D構成のゲームでは、カメラ視点によっては
状況把握が悪くなる」
という基本的な問題に対する
解決が全くなされていないのは困りものです。



…次に「チクタクバンバン」のような迷路状の地面を、
自分のやりやすい形に組み替えて戦う、という要素ですが、
アイデアとしては面白くなる可能性を秘めてると思います。

でも、その「組み替わり方」が問題です。



『主人公のいる位置を含む前後左右
「5枚」の地面が90度回転する。

ただし、前方のみ180度回転する。』




…文章は分かりましたが、意図が分かりません。

なんで、こんな面倒くさいシステムにしたのでしょう ?


そもそも、これをお読みの皆さんは、
一度に「5枚」も回転する「チクタクバンバン」の
回転後の状況を瞬時に予想
できますか?

まず常人には無理です。


逆に、このシステムを駆使して自分の思い通りの
ダンジョンが組めるほどの人物がいる
としたら、
そのように卓越した頭脳を当ゲームで浪費するのは
人生のムダです。




…さらに言えば、運良く思い通りの通路を組めたとしても、
戦闘においては無意味なのです。


なぜなら当ゲームでは、
通路が繋がっていようがいまいが、
隣接している相手なら攻撃できてしまう
からです。


通路をうまく分断して敵を閉じ込め、
それを満足げに眺めていたら、
いきなり相手にブン殴られた
時の
絶望感をご想像ください。



…どうやら製作者も、このシステムの弱点に
制作途中で気が付いたらしく、
分断された通路間を飛び越せる
『ジャンプ』というアイテムが、
いかにも「後付け」っぽく存在するあたり、
涙を誘います。



…他にも、
『アイテム配置がランダムのくせに、
タイム設定がけっこうギリギリで、
不本意な死を遂げること』
が多かったり、
『選択できるキャラの能力に大差無し』だったりします。



…総合的には、システムどうしが足を引っぱり合って、
それぞれをダメにしてしまっている
という感じです。

さらに各々に「飛びぬけたものが無い」せいで無個性となり、
「希薄な戦略性」が当ゲームの印象の薄さに拍車をかけています。


毒にも薬にもならないけど、
少しだけ「毒」かなー
といった所でしょうか ?


なんか、批評を書いていても、
問題点を熱烈に批判する気になれない
『どうでもいい』作品です。



…製作者は多分、人間的には
「結構やさしいイイ人」なのだと思います。

だからこそ、互いに競い凌(しの)ぎあう
「ゲーム」という物のシステム制作には
向かない人なのでしょう。


人生いたる所に青山あり。


…ゲームとは別方面
自分の価値を見出されることをお祈りします。



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