プレイステーション用


『ミスティックアーク まぼろし劇場』


販売: ENIX

プレイ時間 :「男の子」クリア

購入価格: 980円

執筆日: 2006年 10月04日





■第1章 『黎明期の思い出』


『ミスティックアーク まぼろし劇場』は、3Dアドベンチャーです。


主人公の男の子(あるいは女の子)を動かして色々な場所へ行き、
アイテムを入手し、登場人物から与えられるヒントなどを元に
適格にアイテムを使用することで道が開けていきます。


見た目は今風ですが、拾ったアイテムと自分の推理力を活かさないと
サッパリ先に進めない厳しさは、むしろゲーム黎明期の味わいです。

往年のゲームプレイヤーの胸には、
懐かしさがこみ上げてくるのではないでしょうか?







■第2章 『良し』


とりあえず、良いと思われる箇所を列挙してみましょう。



『雰囲気』

ピアノやコーラス主体で奏でられる音楽で、
独特の雰囲気作りに成功しています。

また、キャラデザなどを担当されている
山田章博さん による絵も、それに拍車をかけています。




『アドベンチャーゲーム的』

手持ちのアイテムや、仲間(アーク)の能力を駆使して、
少しずつ謎を解き、行動範囲が広がっていく過程は嬉しいものです。 




『チュートリアル』

展開上、何らかの新しい操作方法が必要な場面になると、
必ずチュートリアルが挿入されます。

こういう基本をキッチリおさえた
丁寧な作りには好感が持てます。







■第3章 『悪し』


次に、問題に感じられる点を…



『3Dによる遊びづらさ』

カメラ視点をユーザーが任意に調整できないので、
ゲームの進展に関わるポイントを見逃すことが度々ありました。

主人公の「向き」によっても調べるポイントが変わるので、
複数の調査ポイントが集まっている箇所ではいくつか
取りこぼしが発生しがちで、スピーディな展開を妨げています。




『謎のきびしさ』

ほぼ1本道の展開なので、途中で1つでも謎が解けないと
1歩も先に進めなくなってしまいます。

突拍子もない謎も時折まじっており、
そういう時は先に進めた達成感よりも
『何じゃそりゃ?』という不愉快さが残ります。


また、じょじょに広がっていくマップの中では、
離れた場所で謎が進展していても、
プレイヤーはなかなか気が付かないものです。

特に、ゲームが始まってそれほど時間が経っていない「第2幕」で、
広大な「モンストロルム博士の実験室」が出てくるせいで、
1つ1つの謎解きポイント間の行き来が途端に大変になってしまうのは、
プレイヤーの心に大きなダメージだと思います。


加えて、所々にパズルが用意されていますが、
大人の自分でも「あれ?」と首をひねる
やや高い難度のものがチラチラありました。

こういうミニゲームで先に進めなくなってしまった、
泣くに泣けないプレイヤーも結構いるのではないでしょうか?

別ルートでの解決法も用意しておくべきだと思うのですが…




『カードゲーム』

謎を解くために必要なアークが、なぜ
カードゲームで勝つことでしか入手できないのでしょう?

持てるカード数にも限界があるので、
ある種類のアークを使って色々と謎解きに挑戦したが進展せず、
泣く泣くそのアークのカードを持った相手を探して、
残された弱いカードを駆使して、かろうじて必要なアークを取得する…

といった展開は、苦行以外の何物でもありません。

それこそ、カードを使えるだけ使って、
進展がなかったらサッサとデータロード…
という悲しい手段が、実は最も効率的だったりします。


カードゲームを、
当商品のセールスポイントにしたかったのでしょうか?
あまりにも水と油な気がします。


あと、こちらが「7」のカードを出したときに、
敵が唯一対抗できる「1」のカードを切り返してくる確率が
異様に高いように思えます。

筆者が統計をとったかぎりでは8割以上のヒット率。
プログラム的な裏工作を疑わずにはおれません。




『それ以外の小さな不愉快』

★細かいことですが、主人公の男の子の木靴の音が、
屋内で異様に響いて耳ざわりでした。


★何回も調べないと、進展するためのフラグが立たない場合があります。
後半になるにしたがってどんどんマップが広くなるので、
ウッカリ聞き逃したときの大幅な時間のロスは苦痛そのもの


★壁ぎわなどで方向転換すると、
壁にハマりこんでしまうことが多々あります。
最初の向きに戻せば脱出はできるのですが、不快です。


戦闘時の当たり判定がシックリきません。
見た目には自分の攻撃が当たっているように見えるのに、
敵はダメージを受けていない… あるいは、その逆…
といった、何かモヤモヤする展開が多かったです。


★後半になるほど「おつかい」や「トライアンドエラー」といった、
推理を必要としない代わりに時間ばかりかかる謎解きが増えて、不愉快でした。


★「山田章博」さんの画風を崩したくない気持ちは分かりますが、
主人公以外のほとんどのキャラクタが2次元なのは、
どうしても安っぽいです。







■第4章 『まとめ』


結論、「アイテムとアークを駆使して謎を解く」という
ゲーム内容自体は決して悪くないのですが…

『色々な手段を試して先に進もう』とするユーザーの
心を折る仕様がこれでもかと盛り込まれているせいで、
全てが台無しになっている感じです。


筆者自身も早々にギブアップして、
たまたまネット上で見つけた、
ものすごく丁寧に解説なさっているページ様
のおかげで最後まで辿り着けましたが…



ちなみに、自分は「男の子」でプレイしたのですが、
「女の子」を選ぶと、謎自体が変化するそうです。

これは「やりこみ要素」という点では、なかなかにスゴイ。
同じマップを使用しながら、内容が変わってしまうのですから。

…でも、あの徒労感を考えると、正直もう遊びたくないです。



当ゲームの製作者には、謎作りだけではなく、
『その謎を解く過程の、ユーザーに与えるストレス』も考慮した
物作りができる人になっていただきたいです。






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