プレイステーション用ソフト


『めざせ!戦球王』


販売:日本システム(開発:セイブ)    プレイ時間 :「ノーマルクリア」

購入価格:1280円             執筆日:2003年 8月5日





■第一章 『特異』


『めざせ!戦球王』(セイブ開発)は、
かなり特異な「落ち物パズル」です。


『3個一組』で落ちてくるパーツ(ボール)を、
『隣接した状態で4個以上』並べれば、
消滅させることができます。


当然、最上段まで積み上がればゲームオーバーです。



…と、ここだけ聞くと、
『あぁ、よくある「ぷよぷよ」タイプのゲームだな』
と思われるでしょうが、とーんでもない!

このゲームの持つ特殊性は、
同系列の「落ち物」の中でも
五指に数えられるであろう突出したものです。





…当ゲームの、従来の「落ち物」との
大きな違いは以下の2つ


まずは、『パーツの並び』

…当作品では、着地したパーツは、
他作品のように横に同じ高さにパーツが並ばず、
ちょうど戦略シミュレーションゲームのような
『ヘクス』状の並びになります。

そのため、1個のパーツが他のパーツと接する箇所
『1.5倍』になり、その分消えやすくなっています。

反面、パーツを置いた後の並びが
直感的に分かりづらい場面もあります。
(セガサターンの『天地無用!連鎖必要!』などが、
同様のシステムを使っています。)





もう1つは、『パーツの隙間の詰め方』

従来の「落ち物パズル」では、
パーツが消えるなどしてできた空間を埋めるときは、
引力にしたがうように『上から下へ』
パーツが落ちるようになっています。

逆にいえば、
一部分だけが高く積み上がってのようになってしまい、
そのせいで動きが封じられて自滅するケースも
ありうるわけです。


ところが当ゲームのパーツは、
「下に落ちていく動き」プラス
『足場が安定する所まで、コロコロ転がり落ちる』
という動きを見せます。

つまり、パーツの「右下」と「左下」に
他パーツや床がある場所まで勝手に動いていく
のです。


おかげで、積み上がったパーツたちは自然と
『同じような高さ』にならされ、
『一部分だけが高い』状況が発生しにくくなっています。


ゲームオーバーの直前までジタバタできる、という意味で、
かなり完成されたシステムと言えるでしょう。






■第二章 『偶発』


…と、結構いい感じなゲームなのですが、
前述の特異で親切な設計が、
新たな『問題』を生んでしまっています。

それは、『かなり高い偶発性』



「勝手にパーツが転がる」という部分からも分かるとおり、
キッチリとした足場の上に置けなかったパーツの配置は
コンピュータまかせになってしまいます。

そのせいで、せっかく用意していた
『連鎖の準備』が起爆してしまった
り、
逆に、思いもよらない所で想像を絶する『大連鎖』が
勝手に発動して一気に勝利
したりするのです。


前者も悔しいですが、後者もなんか空しいです。


どちらにしても、結局、
『自分の実力以外の要素で決着が付いてしまっている』
わけですから。




適度な偶発性は、プレイヤーに
『ゲームへの介入(参加)の余地』を与えますが、
いきすぎると
『予測不能で運まかせな展開』になってしまい、
逆にプレイヤーの意思をしめ出してしまいます。


『戦球王』には、そのあたりのサジ加減に
もう一工夫がほしかったと思います。






■第三章 『色々』


…ではでは、それ以外に気がついた点を
列挙してみましょう。



『対戦向きな作り』

…先ほど、当ゲームの
『偶発性の高さ』を非難しましたが、
そのランダムな展開ゆえに、
プレイヤーの実力による差がつきにくいのも事実です。

そのため、「勝ち負け」よりも、
『みんなでワイワイ対戦を楽しみたい』時には、
この作品はお薦めだと思います。




『効果音が雷電』

…もう少し画面に合った、
「パズル向き」で軽快な効果音を入れてほしかったです。

モロに同社のシューティングゲーム『雷電』
効果音なので、カッコいいですが違和感バリバリ




『キャラがひねり不足』

…人間キャラはまあまあ及第点ですが、
動物・モンスター系のキャラの個性が
足らない
気がします。

そのため愛着もわかず、
プレイに今イチ真剣に取り組めません。






…さて総評ですが、
1人で黙々と遊ぶ場合は、
『偶発性の高さ』によって実力がストレートに
反映されない部分に目をつぶる覚悟が必要
です。

また、みんなで遊ぶ場合は、
予想もつかない展開に場が盛り上がることでしょう。



いずれにしても、
手ざわりの心地良い、丁寧な作品です。

一度は触れてみることをお薦めします。


…最近は廉価版も出てるようですし。




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