プレイステーション用ソフト
『もうぢゃ』
販売…ヴァージンインタラクティブ
購入価格 1280円
■第一章『一味違うにゃ〜』
…『もうぢゃ』は、お金の両替の要素を盛りこんだ「落ち物パズル」です。
タイトルの意味は「お金の亡者」から来ているわけですね。
単純に落ちてくるパーツを「貨幣」にしただけかと思いきや、
実はその消え方が今までの「落ち物パズル」とは一風変わっております。
…『もうぢゃ』のパーツは以下の手順で消していきます。
まず、上から落ちてくる6種類の貨幣を並べていき、
例えば「1円」を5個以上隣接させれば『5円玉1枚』になります。
この要領で、「1円」⇒「5円」⇒「10円」⇒
「50円」⇒「100円」⇒「500円」と成長させていき、
最後に「1000円札」を作ると画面から消滅するわけです。
つまり、他のゲームのほとんどが採用している
『同じ色のパーツを、一定数以上並べる』とは異なり、
「1円」「10円」「100円」なら『5枚以上』、
「5円」「50円」「500円」なら『2枚以上』というふうに、
合体させるための枚数がパーツによって変化するのです。
これによって、「パーツごとの合体のしやすさ・しにくさ」が生じ、
『もうぢゃ』独特の戦略が生まれてきます。
『1・10・100円玉は縦に並べるようにして、
お邪魔パーツが来たときに埋もれないようにしておく』
『押され気味のときは、消えやすい5・50・500円を優先して合体させ、
お邪魔パーツを消すことに専念する』などは、
他のゲームには見られない戦法です。
…並べたパーツは消えるわけではなく「合体する」という点も、
今までの「落ち物パズル」とは異なる連鎖消しを生じさせます。
例えば、『1円玉を4枚と、そのすぐそばに5円玉を1枚』という
並びに対して「1円玉を1枚」乗せてやれば、
『5円⇒10円』というふうに2連鎖になります。
つまり、並べて合体させたパーツが
新たな連鎖を生むパーツとして働くわけです。
この概念に気付けば、今までの「落ち物」とはちょっと違う、
『もうぢゃ』独特の面白さを満喫できることでしょう。
■第ニ章『猫ゲーだにゃ〜』
…『もうぢゃ』の登場キャラは、全部が全部「猫」であります。
ディフォルメされた3頭身の猫たちは、いずれも個性的です。
アニメーションのパターンは少ないですが、
動きや喜怒哀楽が大きく分かりやすいのであまり気になりません。
そこらへんの表現技術について長けた方がデザインされたようで、
私の「猫好き」を差し引いても、かなりの高評価が
与えられるべきイラストであると思っております。
…ただ残念なのが、それらのセリフに声を当てているのが声優ではなく、
どうも「会社内部の人間」らしいのです。
…中堅会社勤務の、業務成績はそこそこだが年齢の関係もあってか
課長の地位だけはある40代半ばの疲れたサラリーマン、
最近とみに出っぱってきた腹を、
中学生の娘に嫌悪の目で見つめられながらも
億劫で休日はゴロゴロしがち、
先日同じ課の20代の女性社員に軽い気持ちで
エロネタをふったら、以後一言も口をきいてもらえず
気のせいか他の女性社員からもキョリをおかれている気がする、
ちなみに御ひいきチームは「阪神タイガース」。
…といった「もう絶対に出世の可能性の無い中年太りオヤジ」を
声優さんに演じさせるのはかなり難しいと思うのですが、
それを何の苦も無く自然体でやってのけるような
声質の持ち主が『もうぢゃ』には出演しています。
きっと地です 素晴らしい演技力です。
…問題なのは、その声が当てられているのが「敵の総大将」であることです。
貫禄もへったくれもありません。
倒すのがかわいそうに思えてくるほどです。
これに限らず、『もうぢゃ』は全体的に音声関係が貧弱です。
サンプリングによる効果音の音質は割れまくりで、
冗談抜きにプレステが壊れたかと疑うほどのヒドさです。
…総評として、もう一超えの練りこみと丁寧な作りを求めたいゲームです。
色々と好きなゲームなんですけど、ね。
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