スーパーファミコン用

『キーパー』


販売: データム・ポリスター

プレイ時間 : 2時間

購入価格: 100円

執筆日: 2008年 10月18日





■第1章 『お奨めできないシステム』


『キーパー』は、アクションパズルゲームです。

「魔法騎士レイアース」に出てきた珍獣モコナ
顔だけがサルになったような、すごく微妙な生命体キーパーが主人公。

5×5のフィールドが、一定時間ごとにランダムで現れる
「石版」によって埋め尽くされないよう、
同じ色・あるいは種類のものを3つ以上並べて消していきます。




内容だけ聞くと、これでもかというほどありふれたゲームで
ちょっとウンザリしますね。


しかも、フィールド内には主人公自身も存在し、
出現した石版が壁の役割をして主人公の動きを阻害します。

というのも、他のゲームでよくある、
『15パズル』のような自由なパネル移動はこのゲームでは出来ず、
主人公キーパーが『倉庫番』のように押すことで石版たちはスライドし、
その位置が変わるシステムを採用しているからです。


そのため、わざわざジャンプボタンで石版の上に乗って、
押したい石版の背後に回らなければならず
ちょっとパズルゲームを遊びなれた方なら、それがどれだけ
スピーディなプレイの足を引っ張るかは想像に難くないと思います。


現在(2008年)なら、同種のパズルゲームが
タダでいくらでもネット上に転がっており、
しかもそれは手軽なカーソルスライド型なのではるかに遊びやすい…

そんな現状を考えると、隔世の感がありますし、
当時としても「これはちょっと…」というレベルであったと推察されます。



あらゆる石版の色・種類に対してオールマイティな『光の石版』など、
サブ要素でゲームに幅を持たせようと努力していますが…
基本システムが同種の作品より遊びにくいので、焼け石に水という感じです。

ゲームとしては、当然お奨めできません…







■第2章 『学ぶべきストーリー』


ただ、このゲームには、
他の作品でもなかなかお目にかかれない良さがあります。

それはストーリーです。


「5×5のフィールドが全部埋まったらゲームオーバーですよ〜」
というゲーム…

あなたならココに、どんな物語をつむぐでしょうか?

そして、その物語で、
いかにユーザーのモチベーションを上げるでしょうか?

以下に、当ゲームのストーリーを記述します。



誰も知らない、ちょっと不思議な世界のそのまた未開の奥深く、
色鮮やかな草木に囲まれた静かな森のその中に、
彼らミモモ族の村がありました。

彼らの村の中央に、へんてこな老木がありました。
その老木の窪みにいつの頃からか、
湧き水があふれ出るようになりました。

河や湖はもちろん、雨さえ一度も見たことの無い村人は、
この湧き水を見ると心がなごみ、穏やかな気持ちになれたのです。


やがて、ここは村の憩いの場所になりました。
村人たちは水が枯れないようにまわりを囲ったりして、
大切な湧き水を守りました。

こうしてみんなで湧き水をながめながら、
のんびり暮らしていたのです。



ところがある日のこと、
村から遠く離れたポンタラ山が大噴火を起こし、
地中深く眠っていた様々な海の化石が噴き飛ばされてしまいました。

不思議な事に、その化石は噴火のショックでなのか、
眠っていた遥か太古の記憶が目覚め、引き寄せられるように、
湧き水の上に次々と降りそそぎ始めてしまいました。


びっくりしたのは、ちょうど老木の上で昼寝をしていたプクルピクル
このままでは湧き水が化石で埋まってしまいます。

同じ種類のものをくっつけて吹き飛ばす能力を駆使して、
がんばれ、プクルとピクル。

水の守護者(キーパー)となって、みんなの湧き水を守るのだ。

あっ! 寝るんじゃな〜い!!




いかがでしょう?


美しい湧き水に惹かれるように集まってくる、太古の化石(石版)…

その石版に、大切な湧き水を埋められてしまわないよう奮闘する主人公…



ゲームシステムが決まってからの後付けストーリーとはいえ、
いや、だからこそ、よくぞここまで夢ある話が
設定できたものだ… と、感嘆させられます。

これで、ゲームとしての面白さのほうでも頑張ってくれていればなぁ、
と思うと、なんとも惜しい商品です。


このストーリーからは、僕自身学ぶものが多い!と感じたので、
覚え書きとして記してみました。






[戻る]