セガサターン用

『モンスタースライダー』


販売: DATT JAPAN

プレイ時間 : イージークリア

購入価格: 480円

執筆日: 2008年 10月28日





■第1章 『傾けろ』


『モンスタースライダー』は、落ち物パズルゲームです。


2個一組で落ちてくる菱形パーツを、90度ずつ回転させて配置。
同じ色を、隣接して3つ以上並べれば消滅。

消滅した領域にはの情報に別パーツが積まれている場合は、
隙間を埋めるように落下。

その際に、また同色の3つ以上の隣接が起これば連鎖…



と、これだけ聞けばイヤんなるほどありふれたゲームですが、
画面を見れば色々と仰天されることと思います。

製作元である DATT JAPAN に画像があると良いのですが、
あの会社にとって消し去りたい過去なのか、製品情報ページではあたかも
「弊社は、Windows向けソフトしか作っておりませんよ〜」
みたいに書かれているのが大人の事情を想像させますが、
1997年といえば10年以上も昔なので、まぁ宜しいのではないでしょうか(意味不明)


代わりに僕が文章で説明するので、
皆さんは脳をフル活動させてゲーム画面を想像してくださいね。




『坂をスベり行くパーツ』

まず、パーツの形が菱形というのがポイント。

これ正確には、正方形のものが、
画面の傾きにあわせて右あるいは左に傾いたものなのです。


…画面の傾き?

そうです。 このゲーム、なんと
フィールド全体がナナメに傾いているのです。

で、着地させたパーツが、傾いた方向にズルズル〜と、
スベれる所までスベっていくのです。

パーツが縦に2つ並んでいる場合は、
下段のパーツが他パーツに引っかかって止まっても、
上段のパーツがスベれるようであれば、分離して単独でスベっていきます



『HEXフィールド』

おなじ落ちゲーの『天地無用! 連鎖必要』(パイオニアLDC)
をご存知の方ならピンと来ると思うのですが、
フィールドの床が1マスごとにパーツ半個分高さが違っています

そのため、従来の 上下左右 4方向 ではなく、
上下・左右ナナメの計6方向のパーツを隣接と判断するこのゲーム。

結果的に、従来より1.5倍、隣接しやすくなっています。

(ちなみに、横方向にこのズレを採用したのが『めざせ!戦球王』(セイブ開発)です)



『自在に傾くフィールド』

そして、これこそ当ゲームの真骨頂!

フィールドの傾き方向を、いつでも自由に切り替えられるのです。

右に傾ければ、上の方まで積まれていたパーツたちは
ズルズル右に滑って並びが変わりますし、左も同様です。


しかもこのゲーム、他の同系列のゲームと違って
『スベっている最中でも、消滅判定が適用される』のです。

つまり、パーツがピタリと停止してなくてもOK。
同じ色が2つ並んでいる箇所に、同色のパーツがスベって来れば、
それが止まっていなくても強制的に消滅させてしまうのです。

連鎖数は、フィールドを傾けてから
全てのパーツが止まるまでクリアされないので、
フィールドをガッタンガッタン左右に傾けてドンドン消滅を行えば、
偶発的に4〜5連鎖することもマレではありません。







■第2章 『雪崩に泣き、相手の連鎖に泣き』


と、このようにオリジナリティあふれるシステムなのですが、
「では、それが面白いか?」と問われると、
難しいというか、僕はすぐに飽きてしまいました

理由は、『偶発性が高すぎてゲームになっていない』ためです。



想像してみてほしいのですが…

普段でさえフィールドの傾きにしたがってズルズル滑っていくパーツを、
さらにフィールド全体を傾けて雪崩状態にしたとき…

あなたは、どこでどうゆう消滅が起こるかを完全に把握できますか?


…そうです。 そんな事は不可能です。

最初の頃こそ予想外に大きな連鎖ができあがって大はしゃぎしても、
すぐにそれが自分の実力に結びついていない偶然の産物と気づき、
運まかせの展開にウンザリしてしまう…



たしかに、最初の1回目に関して言えば、
作戦めいたものはあります。

例えば、事前にできるだけ片側(フィールドが右に傾いているのなら、右)
に、のようにパーツを積み上げておくことで、
雪崩状態になったときのパーツたちの動く距離を多くして
偶発的な消滅を起こりやすくしたり…


雪崩時に消滅が起きやすい並びを作っておいたり…
(同じ色のパーツを2個ずつ並べ、あと1個で消滅するようにしておく)

…といった程度の下準備は可能です。


しかし、ひとたび雪崩が始まったら、後はほぼ運試し

それで大きな連鎖が作れなければ(敵への決定的なダメージが与えられなければ)
フィールドが平坦にならされて画面下部に掘り進みにくくなる上に、
雪崩前とは似ても似つかないパーツの並びのせいで、
ほとんど1から戦略の練り直しになってしまいます。

そんなもの、ゲームと呼べるのでしょうか?




加えてこのゲーム、4〜5程度の連鎖を出すと、
ほぼ勝敗が決してしまうのです。


理由の1つが、パーツの色数

同系列のゲーム『めざせ!戦球王』と比較してみると、
こちらは6色、あちらは5色

あちらは4つ以上隣接させないとパーツが消滅してくれませんが、
それでも相手から送られる『おじゃまパーツ』が
逆転性の高いものになっているので、
ある程度の押し返しが可能です。


逆に当ゲームは、昔ながらの『ぷよぷよ』タイプなので、
地道に掘り進むしか反撃の手段が無い…

にも関わらず、4〜5ぐらいの連鎖が成功すると、
それがフィールドの3割近い範囲に、ドカドカー!と降ってくる…

先述のとおりパーツの色数がと多いため、
残された画面上部の狭い範囲で
同じ色を集めて並べるのは至難の業



パーツの色数。 あるいは、おじゃまパーツの性質

いずれかだけでも他作品に似せてくれれば、
もう少し遊べるゲームになったのではないか?
と思うと、なんとも惜しい商品です。







■第3章 『キャラは光っている』


最後に、このゲーム…
登場キャラクタがなかなかに凝っています。

6頭身キャラの顔だけ大きくして3頭身にしたような
3Dオブジェクトの雰囲気は、ややオヤジ臭というか
パチンコ臭を感じさせて安っぽいですが…

動きやセリフが活き活きとしていて、
個々の性格づけもできているので、
不思議と心に残るのです。

そこは印象が良かったな〜。






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