スーパーファミコン用
『ノンタンといっしょ くるくるぱずる』
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プレイ内容 … 約3時間。 ゲームモードB にてステージ25クリア。
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販売 : ビクターエンタテインメント
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執筆日 : 2008年 12月14日
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■第1章『ゲームフリークの挑戦』
『ノンタンといっしょ くるくるぱずる』は、
落ち物パズルです。
画面上部から2個一組で落下してくるパーツを積み上げて、
同じものが2つ以上隣接すると
消滅。
画面の最上段より上にパーツが積み上がってしまうと
ゲームオーバーという、
そこだけ見るとこれ以上は無いほどオーソドックスな落ち物です。
ノンタンという幼児向きのキャラを使った商品でもあることから、
難しい要素を一切排した作りになっているのかも?
…と考えがちですが、そこは
『ポケモン』以前からキラリとアイディアが光る
丁寧な作品を世に送り出してきた
ゲームフリーク社のこと。
それだけでは終わりません。
所々に独自のアイディアを挿入してきています。
既存の落ち物では当たり前すぎる操作に、
落下中のパーツの
順送り・逆送りがありますが…
なんと当作品では、
それが一切できません。
その代わりといっては何ですが、
自由に裏返すことができます。
当作品の基本パーツは
4種類ですが、それぞれに
裏表があり、
結果的に
8つのパーツを並べていく事になるわけです。
8つという数字は、正直、同系列のゲームに比べて多い部類です。
が、「パーツの裏表」を切り替えられる行為は、
8種類中2つのパーツを自在に切り替えられることと同義で、
けっこうな自由度があり、全体的な難易度は低くなっています。
パーツの組み合わせ自体を、ユーザーのテクニック次第で
より自分の望む形にアクティブに変化させられるこのシステムは、
実に良い意味で
ゲーム然としていると思います。
『裏 ⇔ 表』という変化自体も、
普段の生活から得る実体験がそのままシステムになっており、
ユーザーの脳にすんなり吸収されるうまい着眼だと思います。
基本パーツ以外の要素として、
同じ高さにある他パーツを消滅させる『ノンタン』と、
高得点になる『蜜蜂』が、低確率で混じってきます。
が、なんとこのパーツ、
そのままでは出現しないのです。
どうやって出現させるかというと…
表のまま落下しているときは普通のパーツですが、
これに前述の
裏返しを行うと、
裏を向いているときだけ特殊パーツに変化する場合があるのです。
つまり、パーツをそのまま落下させているうちは
決して特殊パーツは出現しません。
落下中のパーツの裏側を必ず一度は確認して、
実は特殊パーツではないかを
ユーザー自身が調べなければならないのです。
その行為は、
当たりクジ付きの駄菓子の袋を開けるときと似ています。
ヒョイと裏返してみて、普段は何も無いところに
「当たり」の文字が書かれているを見つけた時の、
あの小躍りするような喜びの瞬間。
その
ドキドキ感を基本操作のみで毎回味わえる当作品は、
そこだけ見れば、もうそれだけで従来の落ち物パズルより
1歩抜きん出ていると評価できそうです。
落下中パーツは先ほど話したとおり、表裏の切り替えはできても、
2つのパーツの位置交換・90度回転などはできません。
そのためか、画面上部に出現した時点で、
「縦ならび」か「横ならび」のいずれかの並びが
ランダムで適用されています。
また、
落下初期の横位置もランダムです。
落下中にできることが少ない分、
出現してから配置するまでのユーザーの工夫の要素を増やそう
という意図があるのではないでしょうか?
と、上記のようなキラリと光るアイディアを持つ当作品ですが…
実際に遊んでみると、
じんわりイライラしたプレイ感覚があるのです。
幼児向けだから難易度が低い… といった単純な理由だけではないようです。
「A」「B」2つのゲームモードを持つ当作品ですので、
次章でそれぞれにおいて
「なぜイライラするのか?」を考えてみましょう。
■第2章 『ゲームモードA』
落下パーツの速度が少しずつ速くなっていく中、
どれだけ長時間ねばり高得点を出せるか?
という、
エンドレスモードです。
最初のころは全く問題ないのですが、
怪しくなるのは中盤以降。
表裏だけしか違わないパーツたちは、カラーが似通っているため、
スピードが上がるほど識別が困難になり、
「表だと思って配置したら裏だった」などの
ケアレスミスの確率が少しずつ上がってきます。
単純な「色」によるパーツ識別をメインに据えている
従来の落ち物パズル
(『コラムス』など)に比べて、
明らかに
高速時が遊びづらいです。
また、配置までの時間が短くなるほど、当ゲームのオリジナリティである
『表裏切り替え』が
思わぬ形で足を引っ張ります。
1つは、「ノンタン」などのパーツが、
最低1回は裏を確認しないと有無が分からない点。
裏返す楽しみを重視した作りが、結果的に、
裏返さなければ特殊パーツの恩恵にあずかれない
というジレンマとなったのは皮肉です。
いや、上記は『危険を冒さなければ、恩恵も得られない』という事で、
納得できないレベルではありません。
問題は2つ目です。
「裏返すと特殊パーツが現れる」当作品ですが、逆に、
特殊パーツよりも「ただの裏向きパーツ」が欲しかった場合
は、どうすればよいのでしょう?
答えは、
『その落下パーツについては、どうしようもない』です。
(裏が特殊パーツであれば、その後何回引っくり返そうが、
そのパーツは「表のみ」にしか変化できないのです。)
すると、どうなるか?
プレイに慣れてきて、ゲームスピードも上がってきたときに、
「あそこに裏向きパーツを置けば、付近を消せるな」
と考えて、素早く裏向きにして配置したパーツが、
頼みもしないのに特殊パーツである可能性があるわけです。
上まで積み上がってきたところに待望のパーツが表向きで現れ、
嬉々として裏返して配置… したのに消えない。
あわてて見直したらノンタンの笑顔。
あのときの精神的ショックは相当のものです。
そのため、スピードが上がってくるにしたがって、
変な場面でノンタンに邪魔されないかとビクビクする事になり、
結果、
プレイはギクシャクします。
『裏返し』による、せっかくのオリジナリティ快感が、
スピーディなプレイの足枷になるとは…
制作者の新しい工夫をあざ笑うような、
あまりに皮肉な結果としか言いようがありません。
とどめに、2つの落下パーツの「位置の入れ替えができない」システムで、
フィールドの両端にパーツを配置するときの不便さが際立ちます。
(例えば横並びのとき、右側にあるパーツは、絶対にフィールドの左端に配置できないのです)
子供向けに親切心から
「やらなければいけない事を減らした」ら、
「やれる事が減って自由度が下がってしまった」当作品。
皮肉… ジレンマ…
新しい事を成すのがいかに困難かを、
まざまざと見せ付けられる思いがします。
■第3章 『ゲームモードB』
レベルに応じて、最初から何段かパーツが積み上がっており、
その中に数匹の
『蜜蜂』が埋め込まれます。
この蜜蜂を全て消すことで、レベルクリア。
少しずつ難度の高いレベルへと進むのが当モードです。
このモードBの面倒くささは、
蜜蜂がモードA同様
「特殊パーツ」として
低確率で出現することだと思います。
そのため、消すべき「蜜蜂」付近のパーツの排除に成功しても、
さらにもう1個蜜蜂が降ってくるまで
延々別のパーツを消して待ちつづけなければならないのです。
もちろん、当初消すべき蜜蜂付近のパーツの排除ができていなければ、
当然、別の場所にその蜜蜂を置くことになり…
消すべき対象が、さらに増えてしまう事になるのです。
当然、それら2つの要素のバランスをプレイヤーがとる必要があり、
これはゲームに慣れた学生・成人ならまだしも、
低年齢には過酷な内容ではないでしょうか?
また、
下に掘り進む必要性が出てきたことで、
また1つ当ゲームの
弱点が露呈します。
2つの落下パーツの切り替えが効かず、縦横の組み合わせもランダムなため、
目についた所を適当に壊していく分には大してつらくないのですが、
ある場所を深く掘り進もうとすると途端に難度が上がってしまうのです。
隣接しなければ消えないので、『コラムス』のように
左右からのナナメ消しを利用した掘り進みも不可能。
もちろん、当作品に
ナナメ消しを採用したら、
バカみたいに呆気なくパーツが消えてしまって
ゲームにならないのは明白。
またもジレンマです。
新システムに対して、安易に
『フラッシュ コラムス』のルールを採用した報い…
という厳しい批判もできますが、いや本当、
簡単な落ち物パズルは、簡単には作れないのだな…
と、しみじみ実感です。
聴き疲れない心地良い音楽や、キーレスポンスの心地良さは、
さすがに作り慣れている! と感じさせる物があっただけに、
ちょっと残念な作品でした、
ノンタン…
一般プレイヤーにはやや物足りなく、小さい子にはやや煩雑。
『ポケモン』をはじめとする名作を生み出しているゲームフリークにも、
やはり
得手不得手があるのですね…
ちなみに今回は珍しく
兄弟喧嘩ではないのですね、田尻さん。 残念。
(無茶いうな
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