WindowsPC用

『DICE WARS』




 筆者プレイ内容 :  勝利 50回程度

 制作 : GAMEDESIGN

 執筆日 : 2009年 06月30日






■第1章 『サイコロ戦争』


『DICE WARS』(ダイスウォーズ)は、
簡易ウォーシミュレーションゲームです。


ランダムで作られた領土の中で、
簡単なサイコロ戦闘で他の勢力と戦争し、
全ての領土を我が物とすれば勝利
という、
大変にシンプルなゲームです。

慣れれば、1プレイに20〜30分もあれば十分でしょう。

ですが、そこで紡がれる『自分だけの戦いの歴史』は骨太です。


ネット上で公開されているフリーゲームで、
多分オリジナルはボードゲームか何かだと思うのですが、
これがシンプルながら実に良くできている


取りあえず、以下のリンクから直接ゲームサイトに飛べますので、
ご覧になってみて下さい。

■ DICE WARS ■


ただ英語表記なので、
パッと見に遊び方が分からない人もいると思います。


というわけで今回は、
システム考察を兼ねたゲーム進行説明と、
攻略・批評を同時にやってみようと思います。

最初に結論から言ってしまうと、
僕が常々偉そうに言っている(笑)
『良質の作品には、必ず、
普遍的な人生のモデル化が盛り込まれている』

をキッチリ体現している名作です。


ゲーム作りに携わる者の勉強用としてももちろん高価値ですが、
人の上に立って団体を動かす立場にある人なら、
その展開の中に『人を動かす苦悩』を感じて、一生の宝物になるかも。

ぜひぜひ、お試しになって下さいね。







■第2章 『導入 〜 戦争 〜 勝利!』


これがタイトル画面です。




右下の数字が、『プレイヤーの人数』
(うち1人が自分になり、残りはCPUキャラです)

人数が多いほど混戦になりますが、
その分、漁夫の利を得る場面も多くなるかも?

まずは「2人」(CPUとの1対1の勝負)を選んで、
ガスガス領土の取り合いをしてみるのも良いでしょう。

「3人」にして、『三国志ごっこ』をするのも一興です(笑)
(ただし、当初の領土は分散しているので、気分が削がれてしまいますが…)

人数を選んだら、『PLAY』をクリックしてゲームスタートです。


今回のプレイでは「5人」を選び、
4つの勢力を相手に生き残り戦を挑んでみようと思います。








『フィールドの構成』『国と戦力の配置』
毎回ランダム作成されます。

スタート時の各国の戦力は、ほぼ横一列です。
(たまに総数が1〜2個少ない国があるようです)

表示されているマップで良ければ
『YES』を押してゲームスタート。

気に入らない場合は『NO』を押せば、
また違うマップをランダム作成してくれます。


最初の頃は何も考えずに『YES』を押して大丈夫です。
まずはとにかく触れてみることです。








自国(紫)の最初の行動ターンです。

が、その前に「オレンジ・ピンク・黄緑」のターンが終わっています。
(画面下部の、左の国から順に行動していく)

画面下部の、「色のついたサイコロ」の右の数字が、
その国の領土の値(国力)です。


「あれ? 紫は3つ領土を持っているのに、値がだよ?」
と気づいたあなた。 そうなのです。

この値は、単純な領土の総数ではなく、
自国の『お互いが隣接している味方領土の中で、一番大きなもの』
の領土数なのです。

(現在は、自国の3つの領土が全てバラバラで1つも隣接していないので、
最低国力の「1」になっているわけです。)



「国力」はそのまま、毎ターンの『自国の戦力の補充』に比例するので、
これが低いと軍の拡大も遅くなり、
他国に先手を取られがちになってしまいます。


つまりこのゲームは、
『いかに自国の領土を隣接させつつ拡大していくか?』
『いかに他国の領土を分断して、成長をジャマするか?』

が、1つの大きな勝負のカギになっているのです。


現状では、画面下部の「戦力2」の領土を救うのは絶望ぽいので、
右上の2つの巨大戦力を結集させることから始めてみましょう。








それでは、隣接している他国に対して戦争を行ないます。

まず、攻め込む自国領土を左クリック
そして、攻め込みたい隣国を左クリック
これで戦闘開始です。


勝敗は、その国の戦力である「サイコロ」を振って、
数字が大きいほうが勝利です。
当然、サイコロの数が多いほど勝率は上がります


が、それはあくまで確率上の問題。

極端な話、1個と5個のサイコロが戦って、
前者が「6」、後者が「1」を5回出したとしたら、
6 > 5 で、「サイコロ1個」の勝ちになる事もあるのです。


ちなみに、『両者の合計値が同じ』の場合は攻めた側が負けになります。


(ちなみに上の写真は、自国の「サイコロ6個」が、
右下の黄緑国の「サイコロ2個」に戦いを挑んだ場面です。

結果は、24対8で我が軍の勝利。
驚くほど模範的な数値で戦闘が決していますね(笑))









戦闘に勝つと、それまでいた土地に「1個」のサイコロを残して、
残りの戦力は相手の土地へと移動(占領)
します。


逆にいうと、戦闘後は背後が手薄になってしまうのです。

だから本当は、出来るだけフィールドの端のほうで
戦力を整えてから行軍したほうが有利なのです。
が、初期の混乱期は、そううまくは行きません。

まずは、初期の動乱を生き延び、
自国の勢力を1箇所に結集することに専念
しましょう。



逆に、負けた場合はどうなるか?

その場合、戦闘をしかけた者の、
その土地のサイコロが1個になってしまいます。


つまり戦闘に負けると、そこから一気に
他国に侵略されてしまう可能性が高いのです。

そのため、100%勝つ自信のある場合以外は、
必ず背後の守りを固めてから戦争を行なうように心がけましょう。


なお、「サイコロ1個」の状態では、
戦闘をすることはできません。


これは、『戦闘に負けても、もともとサイコロが1つなので
仕掛けた側がノーリスク』
になってしまうからでしょう。








取りあえず、自国の領土がつながって、国力が『5』まで増えました。

ピンク国には及びませんが、
「5勢力中、2位」の国力を保持している事になります。

「もうこれでいいな」と思ったら、
『END TURN』を押して、自ターン終了です。








上は、自ターン終了直後の画面ですが、
自国のサイコロが所々増えているのにお気づきでしょうか?

自ターンが終わった直後に、
国力に比例して、領土内のサイコロの数が増えるのです。

国力の充実(隣接した領土を増やすこと)が重要
と言ったのは、こういう意味です。


ちなみに、自国のどの領土のサイコロが増えるかはランダムで、
サイコロは最高8つまで増えます。



なお、全ての領土のサイコロが8つまで増えている場合は、
補充に使われなかったサイコロはキープされ、
次のターンが終わったときに追加で補充されます。

いわば貯金ですね。








2ターン目、開始直後。

緑国が滅びて、オレンジとピンクの
二強状態になってしまいました。








しかし、オレンジとピンクは、急激に領土を広げたせいで、
所々にモロい(戦力の小さい)箇所が見られます。

そういう場所を中心に少しでも攻め落として、
相手の国力を削ぎます

ただし、こちらの内地(奥のほう)の戦力も悲しいほど微力なので、
勝率が5分5分になるような戦いは極力避けて、
圧倒できる場所の戦闘だけにとどめます。







3ターン目、開始直後。
ピンクが異常に勢力を拡大しています。

が、まだまだこちらの敗北が決したわけではありません。


実はこのゲームの敵の思考
『隣接する国』しか見ていないのです。

そのため、隣の敵の戦力(サイコロの数)が
自分より多ければ、まず戦いを挑んでこない


それを利用して、
わざと隣接する弱い国に攻め込まず、ジッと国力充実を待つ…
という手で生き残りをはかります。


ちなみに、紫の領土の真ん中あたりにある
「サイコロが8つある」土地…

ここから軍を左に進めたいところですが、
残念ながらそれはできません。

自分の領土の中で、戦力を移動させることはできないのです。


どうしても動かしたければ、
例えばすぐ左の「サイコロ3つ」の軍に
無理な進軍させて、わざと負ける。

で、そこに敵がなだれ込んでくる。

「サイコロ8つ」の隣まで敵が来たら、そこで初めて、
反撃しつつ軍を移動… させるしかありませんね。

その辺りの軍の移動のコツが分かってくると、
このゲームはさらに深みを増してきます。








ピンクとオレンジがつぶし合って、
お互いなかなか成長できません。

一方、我が国は少しずつ戦力増強。

そうなるように、わざと
ピンクやオレンジと自国の接する領土に大きな軍力を置いて、
ピンクとオレンジが戦わざるを得ない状況を作っている
のです。

自国は戦わず、他勢力どうしを戦わせて疲弊させ、
最後に両方を手中に収める…


戦いの基本ですね(笑)


そんな折、ピンクの一軍が、
我が国の戦力が薄くなった箇所(実はわざと薄くしていた)
に引かれてウカツにも深く進軍し…

中間(中央の少し右)が手薄になってしまいました。

反撃のチャンスです!








自国領土の拡大に成功し、
二強状態から三国志状態への移行に成功しました!

しかし、このターンでは、
どの国でも戦闘が起こりませんでした。

最終決戦に向けて、どの国も、
自国の戦力充実をジッと待っているのです。


嵐の前の静けさです。








戦闘で領土が増えると、
進軍で手薄になった中間に他国が襲いかかる…
という一進一退が続いています。

自分よりサイコロが多い「他国の領土」に隣接しないよう
注意しながら、ジワジワと国を広げます。









いよいよ、自国領土の全ての軍が「サイコロ8個」になりました。

他国の軍も、全てではありませんがほぼ「8個」で、
予断を許さない状況です。


今ぐらいの国力だと、
1ターンに15個ぐらいのサイコロの補給があるので、
一度に広げる(戦闘を行なう)領土は2つぐらいを上限と
したほうが良いでしょう。

そのぐらいなら、広げた直後の補充で、
すぐに最大(8個)まで軍を回復できるからです。

(軍が移動した後は必ず「サイコロ1個」になってしまいますが、
1ターンの補充が7つ以上あればそこを補えるわけです。

領土拡張(軍の移動)が2回行なわれれば、
勝ち負けに関わらず「サイコロ1個」の領土が2つできるわけで、
当然その補充には14個のサイコロが必要

1ターン15個ペースで補充されている現状なら、それを補えるわけです。)










全体を見て戦える人間と、隣国しか見ていないCPUとでは、
どうしても人間に軍配が上がってしまいます

ジワジワと戦力を殺ぎ落とされた強国「ピンク」が、
意外にもオレンジより先に滅亡。

我が国に隣接している箇所が多かった事が、
結果的に国の寿命を縮めてしまったのです。


残ったオレンジも、領土を真ん中からザックリ割られ、
国力が激減してしまいました。


オレンジが1つ2つの目先の戦闘に勝っても、
国力が低いので1ターンに補充されるサイコロも少なく、
広げた領土に軍が行きわたらないので、
すぐに紫(人間)に取り返されてしまいます。








オレンジ国、風前の灯…








国土統一、完了です!


『HISTORY』を押せば、
今までの領土の進退をハイスピードで見直すことができます。

右上の「三角マーク」を押せば、タイトル画面に戻ります。







■第3章 『さまざまな攻略テクニック』


それでは、第2章の紹介の中で書かなかった
応用テクニックについてご説明しましょう。



■ 『戦いは、最初の時点から始まっている』


ゲームを開始する時点でのランダム作成マップの決定…

有利な展開で確実に勝ちたい!と思うのなら、
ここでの判断はとても重要です。


ポイントは、
『自国の戦力が大きく、
かつ、かたまっている場所がある』
こと。

領土がたくさんあっても、戦力が分散していては、
それぞれがアッという間につぶされてしまいます。

逆に、高い戦力が集中していれば、
そこを基点に長期戦を挑めます。


その際、『自国の小さな戦力』は
あえて度外視するのも1つの手
です。

あまりに小さい戦力は、
初期の動乱期でほとんど殲滅されてしまいます。

それに生き残って戦力を元手に、
初めて反撃が開始されるわけですから。
最初から数に入れずに考えるほうが
より正確な予測が立ちやすくなります。



そして、もう1つ注意すべき点は、
『自国の戦力がかたまっている場所が、
マップのどの辺りにあるか?』
です。

中央付近にあれば、
当然、四方八方からの他国の干渉に遭ってしまう。
『1 対 他』になってしまうわけです。

一度に戦う相手は少ないほうが、
国力も分散せず、勝率も上がります。

フィールドの端か、進攻しづらいボトルネックの地形の奥に
自国の戦力が集中
しているマップなら、
迷わずプレイしてみてください。

きっと有利に戦いを進められることでしょう。



最後に、もう1つ。
『他国の巨大な軍が、自国の領土に隣接
しているマップは、避けたほうが無難』
です。

初期の時点で領土をボコボコにされては、
ほとんど建て直しが効かなくなってしまうからです。

生まれの不幸を呪う他ありません。

すぐに『NO』を押して、次のマップを検討しましょう。





★以上の知識から、下のマップを検討してみましょう。




真ん中あたりに戦力が固まっているので、長期戦に向いています
スタート直後に、好きな方向に一気に攻めて行ける自由度もあります。

が、真ん中という位置は同時に、
四方から他国に攻められる危険と隣り合わせ
でもあります。

その意味、このマップで有利な土地は、
特に「右」は、ビンの口のようになっている部分が重要です。

ビンの口に大軍を置いて、内部(右)を占領できれば、
それを防波堤として、他国の侵略を気にすることなく、
自国の戦力増強に時間をかけられる。


互いに足を引っぱりあって弱まった他国を、
中盤以降から一気に殲滅できる可能性も高いです。

が、今の軍規模と領土の配置では、
自国がスピーディに右に攻めて行くのはちょっと難しそう。
(特に右端の水色がネックになりそうですね)

勝てなくはないでしょうが、苦戦は必至のマップだと思います。






これは、第2章でゲームの流れを説明するのに使ったマップです。

戦力は分散してしまっていますが、
中央と右上の2つの領土に軍が集中していること。

そして、右上の領土が、
池をはさんで一番奥に位置している点が魅力
です。


戦力の小さな4つの領土をあえて捨てて
中央の戦力を右上に一気に進め、右上に戦力を集中させれば、
少なくとも初期の動乱期においての生き残りは確定でしょう。







■ 『効率良い侵略のための、軍の運用』






進軍するたびに、元いた領土に軍を1つずつ残すので、
当然、進めば進むほど軍力は分散していきます

しかも軍は『隣接している敵国』に対してしか移動させられません

そのため、各軍をいかに効率良く役割分担して進軍させるか?は、
スピーディな領土拡張において必須のテクニックです。


あなたなら、上の黄緑の領土を1ターンで全滅させるのに、
どの軍をどのように行軍させますか?

もちろん、サイコロの数が多くても100%勝てるとは限らないのが
当ゲームの醍醐味ですが、大ざっぱなルートを推測してみてから、
以下の答えを読んでみてください。







それでは解答です。


 A … 下・下
 B … 下・左
 C … 左
 D … 左



これで、計6領土を占領し、全国統一しました。

もちろん、これは一例です。

あなたなりの判断と、大胆な行動で、
あなただけの国取りの歴史を作ってみてくださいね。







■ 『さらにプラスアルファとして…』


すでにご存知と思いますが、
『サイコロの目の合計値が同じだった場合は、
攻めた側が負け』
になります。

これは何を意味するのか?


そうです。

『隣国が同じサイコロの数なら、
あえてこちらからは攻めずに、
相手が攻めてくるのを待ったほうが、
ごくわずかではあるが勝率が増す』
のです。


「今、無理に領土を拡大する必要は無い」と感じたら、
動かざる事もまた生存競争の有効な手段。

臨機応変に生き抜きましょう。







■第4章 『最後に』


本物の名作とは、どんなゲームでしょう?



『簡単な基本操作を憶えてしまえば、
後は自分の工夫だけで乗り切っていける』



『一見、毎回異なる展開でありながら、
勝利を得るための幹になる法則が存在するため、
完全勝利とはいかなくても、
勝率をあげるための「何か」に
常にプレイヤーが挑んでいける』



『常に、100%の勝利が約束されていない。
常に、100%の敗北も確定していない。』



『人生のモデル化である』



パッと思いつくだけ並べてみても、
上記の全てがこの作品に当てはまっている事に気がつきます。

つまりこのゲームは、少なくとも僕にとっては、
太鼓判を押して皆さんに薦められる『名作』なのです。



僕の10年近いゲーム批評活動の中でも、遊び方と攻略に関して、
最大の分量を盛り込んだ批評になったと思います。

もしかしたら、世界でも有数の
『DICE WARS』攻略ページになれたかも?
と、ちょっとだけ自負しています(笑)


もちろん、それだけの労力をかけるに
値するゲームだという思いがあればこそ…
良作への愛が、僕にこれを書かせました。

皆さんもぜひ、2度3度と楽しんでみてくださいね。


断言します。

この作品は、一生モノです。






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