WindowsPC用

『Sleepy』




 筆者プレイ内容 : 全15ステージクリア

 制作 : Luiz・F・Modotti

 執筆日 : 2009年 10月31日






■第1章 『秀作 A-PZL』


『Sleepy』は、物理演算アクションパズルゲームです。


フィールドに配置された「四角いパーツ」たちを、
ルールにしたがってすべて取り除けばOK

というシンプルルールながらも、
そのための行程がプレイヤーによって千差万別
という所が素晴らしすぎる秀作です。


まずはぜひ、下記サイトで実物にふれてみてください。

『Sleepy』







■第2章 『ルール説明』


それでは、ルール説明です。

といっても、画面のデザインが秀逸なので、
見ただけで何となく「やるべき事」が分かるかもしれません。




ゲームを始めると、上空からバラバラ〜と
「四角いパーツ」たちが降ってきます。


で、まずはこれらが全員『寝入る』(揺れが安定する)まで待ちます。
(この間、画面がモノクロになっていて、操作はできません)



全員が寝入ったら、画面がカラーになって、ステージスタート。

「四角」たちをクリックして消していき、
全てを消せばステージクリアです。




ただし、制限があり、
『画面下部中央に表示されている2つのカードの色』の
どちらかと同じ色の四角しか取ることができません。


つまり、「赤と青」のカードが出ているときは、
「赤か青」の四角しか取れないわけです。

また、カードの色が2枚とも同じ場合は、
その1色の四角しか取れないので、
選択の幅が狭まってしまいます。



四角を取ると、それと同じ色のほうのカードが消え、
次のカードが表示されます。


つまり、次に取れる色が変化するわけです。




さて、こうして単純に色を取っていくだけなら、
それほど難しいケームではないのですが…

ここに『寝入る』という要素が絡んできます。



1つの四角をとることで、
付近の四角の足場が不安定になって、
ガラーンと崩れてしまうと…

衝撃で付近の四角が目を覚ましてしまうのです。


しばらくすれば、また寝入ってくれるのですが、
それまでは画面右下のゲージがどんどん減ってしまう。

そして、ゲージが無くなればゲームオーバー。
ステージの最初からやり直しです。

目を覚ました四角が多ければ、
それだけ早くゲージも減ってしまいます。




また、ステージが進むほど、四角が崩れやすく
(摩擦係数を低く計算しているのだと思います)、
目を覚ましたものがなかなか寝入ってくれない
ので、
ゲージの減りが大きくなりがちです。

1ミスが致命傷になってしまうことも多々あります。




カードのどちらを取るかによって、
当然後々の展開が変化しますし、
フィールド内に無い色のカードが出てくる事はありません。

そのため、『どちらのカードを取るか』
『いかに、取れる色数が多い状態を維持するか?』

を考え出すと、途端に当作品の奥深さが見えてきて、
そのチクチクした達成感も手伝って止め時を見失います。





ちなみに、慣れてきた頃に役立つテクニックとして、
『2つの四角をほぼ同時に取る』
というものがあります。

これは、1つ1つ取っていては、
普通は付近が崩れて四角たちが目を覚ますような場面において、
カードの許可している2つの色の四角をほぼ同時に取ることで、
それを回避する
上級テクニックです。


素早く正確なマウスコントロールももちろん必要ですが、
「取れる色、2つ分」も当然考慮しなければらないため、
なかなか思い通りには行きません。

が、これが使えるようになれば、
全15ステージクリアも不可能ではありません。







■第3章 『こまかい難点』


さて、こんなにゲーム的に素晴らしい当作品ですが、
細かい所に難が無いわけではありません。



『かわいくない』


パーツに微妙に丸みをつけるなどして
愛らしさを出そうとしているが、
声がややオヤジ臭くて雰囲気をブチこわしています。

目を覚ましてときの声がもっと可愛らしければ、
起こさないように、もっと気をつける気になると思うのですが…

間抜けなオヤジ声で「アウチ!」とか言われると、
カチンと来て、全員叩き起こしたくなってくきます(苦笑)




『雰囲気に合わない背景』


ゲームは基本的におだやかで静かな雰囲気なのに、
ドぎつい縞模様背景がそれを壊してしまっていて
もったいないです。




『ステージ開始直後』


当作品では、最初にパーツ全員がランダムに降ってきて、
それらが全て安定してから(寝入ってから)
ステージ開始になります。

ところが、それは、
自動的に短時間で行なわれるのではなく、
本当にゲーム中と同じシステムで
「寝入る」まで待たされてしまう
のです。

10秒以上も待たされる事もあり、
毎ステージでこれをやられると、結構イライラします。




『ステージが始まってから、崩れた事がある』


これは本当にマレなケースだと思うのですが、
ステージが始まってから(つまり全員が寝入ってから)
パーツに触れていないにも関わらず、
自然に並びが崩れてしまった事がありました。

プログラムは「全員が寝入った」と判定したのですが、
実はまだ完全には安定しておらず、
そのブレが並びを崩してしまったようです。

当然、すでにステージは始まっているので、
崩れた分はダメージとしてゲージが減ってしまいました


もっともこんな事は、
50回近くプレイしていて1度しか確認されませんでしたが…




『ランダムゆえの難点』


「取れる色」を示すカードは、どうやら完全なランダムのようです。
(もちろん、画面内の四角に無い色が出ることはありません)

また、四角たちの初期並びもランダムです。

そのため、実際にプレイしてみると、
『最初の並びと、その後のカードの出る順番で、
ほぼ100%つんでしまっている』
場合があるのです。


ただ、そこはある意味、ランダムゲームの宿命
文句をつけるのは筋違いな気もします。

それに、もしそうなっても、
ボタン1つでいくらでもステージ最初からの
ノンペナルティのやり直しが可能
になっているので
ノープロブレムです。
(画面左下の丸くカーブした矢印マークがそれです)







■第4章 『楽しさと、悲しさと』


僕は、『上海』『クロンダイク』『フリーセル』といった
手軽なランダムゲームが大好きなのですが、
この作品は、そうしたランダムゲームと同系列でありながら、
コンピュータでなければ表現できないゲーム…

その意味では、『テトリス』に近い存在かもしれません。


こんな凄いゲームが、アマチュアレベルで生まれている
海外ゲームの現状を見せられると、
今の日本のゲーム市場って一体何なんだろう?
と、悲しさをともなった驚きを感じずにはおれません。


創造性を欠いた教育を施され、
不景気によって行動の可能性にまで
フタをされてしまった、現代日本社会

文化にとっての受難の時代に、僕たちはいるのかもしれませんね。






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