Nintendo DSi用

『いちもうだじん!ネコキング』




 筆者プレイ内容 : 3時間ほど

 制作 : トムクリエイト

 執筆日 : 2010年 08月08日






■第1章 『罠を書け!』


『いちもうだじん!ネコキング』は、
タッチペンに特化したアクションゲームです。



フィールドの6つのコースを、
ネズミネコが上から下へとゆっくり歩いていくので、
タッチペンで『罠』(ライン)を書き
ネズミだけを少しでも多く捕まえるゲームです。


ラインは、線でさえあれば、どのような書き方でも構いません。

ありふれた直線でもOKですし、
これでもかというぐらいグニャグニャな曲線の塊でもOK。

ようは、タッチペンが画面にふれて離れるまでに
スライドされた軌跡
が、そのままになるのです。


罠は、そのどこかにネズミかネコがふれると発動
ライン全体に当り判定が生まれ、1秒ほどで消滅します。

消滅するまでに別のネズミやネコを捕まえると、
コンボとなり、消滅までの時間が少し延びるので、
思いもかけない連続捕獲になる場合があります


ただし、実はこのゲームで捕まえていいのはネズミだけ。
ネコを捕獲してしまうと、一気に1000点も減点されてしまいます

ネズミを1本の罠で連続して捕まえても、
100点 ⇒ 200点 ⇒ 600点… 程度にしかならないので、
このペナルティがいかに大きいかが分かりますね。


ちなみに、ネズミが画面の一番下まで行ってしまった
(逃がしてしまった)場合は、100点の減点になります。

また、ウッカリ変な場所に書いてしまった罠は、
発動前に直接ペンでタッチしてやれば、消すことが可能
です。




上記のルールにしたがって、
1分間にどれだけ高得点を取れるかを競うのが、
『1分ネコキング』モード。

1分モードでは、4つの難易度が自由に選べ、
それぞれの難度でハイスコアを競えます



もう1つ、『とことんネコキング』モードというものがあり、
こちらは「ネズミを1匹逃がすと1ペナルティ
「ネコを1匹捕まえてしまうと2ペナルティとして、
10ペナルティになってしまうまでにどれだけの得点を取れるか?
を競うモードです。







■第2章 『意欲がうれしい』


日本のコンシューマゲームでは、
かなり珍しい部類のシステムで、
企画者さんは海外のFLASHゲームなどもちゃんと勉強
されている方なのでは?と、ちょっとうれしく思っています。

安価なダウンロードソフト方面とはいえ、
こうした「新システムに意欲的なゲーム」が見られるように
なってきたのは、本当に良いことだと感じます。


DSiウェアをはじめとするダウンロード販売
ジンワリと浸透してきている昨今ですが…

中古市場を恐れることなく商品が出せるようになってきた現状は、
ゲーム業界がさまざまな良い意味で変化できる、
重要な1歩ではないでしょうか?

(しばらくは、「安価 = 採算が取れない」 ということで苦しむでしょうが、
『ファミコンショップを通さない事による利点』、『中古販売のしようが無い点』など、
利点のほうがはるかに大きいと思われるからです。)




ただ、新しいシステムへの挑戦という意味で、
個人的に応援したいタイプのゲームなのですが、うーん…

楽しさという点では、もう1つの出来でしょうか?







■第3章 『もう1つ…』


第1章で、「ネズミを捕まえると、
罠の持続時間が延びる」
と書きましたが…

そのおかげで思いもかけないコンボが生まれる反面、
思いもかけずネコまで捕まえてしまうケースが出てくるのです。


例えば、ネズミを一気に4匹捕まえて1200点をゲットし、
「よしよし」とほくそえんでいたら…
思った以上に罠が長生きしてしまい
ずっと後ろを歩いていたネコまで捕まえてしまって、マイナス1000点

結局、さしひき200点。

あれはモチベーションが下がります。



これは1つには、「横画面」であるために、
ネズミやネコたちが出現してからいなくなるまでの時間・距離が短く、
それを「ネズミとネコの出現数」を増やすことで相対的に補っているため、
「罠の延命」によって良くも悪くもキャラが罠にぶつかりやすくなっている

のが原因だと思います。

縦画面でプレイできれば、コースの距離も伸び、
プレイヤーにも全体を見る時間が増えて余裕も生まれるので、
より納得のいくゲーム内容になるのではないでしょうか?




そして、これは非常に大きい難点だと思うのですが…

このゲーム、各難易度について、
『ハイスコアが1つしか残らない』のです。

さらに、『ゲームスタートするまで、
そのハイスコアさえ閲覧できない』

のは、どういう事でしょう??


前者は、一度高い得点を取ってしまうと、
自分の中のボーダーがグーンと上がってしまい、
よほど調子が良くないと「次回のプレイ」への
モチベーションが湧きづらい
ですし…


後者に至っては、
最低限の心配りすらできていない初歩ミスです。

以下のようなやり取りを、
企画者さんは想像しなかったのでしょうか?



「おい、○○。 俺もネコキング買ったよ〜!」

「お! そーか〜。 □□の腕前ってどれぐらいだ?」

「ちょっと待って。 今確認するわ。
えーとな… レベル「弱」で18000点だ。」


「そうか、まあまあだな。 レベル「強」だとどれぐらいだ?」

「それはレベル「強」でゲーム始めてみないと分からんなー。
悪い、さっき入った「弱」のゲームが終わるまで、あと1分ほど待ってくれ。
…つか、リセットするか(苦笑)」




昔読んだ『ドラクエ』の開発秘話(?)の漫画で、
プロデューサさんがゲーム画面を見て、
「レベルだけは、フィールドでも常に表示できるようにしてね」
と開発に依頼する場面がありました。 

それは、『ゲームレベルというものは、この手のゲームにおいて、
友人とのゲーム進行の重要な比較対象になるから』
です。


「僕は、まだレベル7なんだよね」とか、
「お前、レベル12なら、もう○○の街まで行っても大丈夫だと思うぜ」とか、
そんな話題がかわせるようになり、
そうした横の関係が、プレイヤーに新たなプレイ意欲を生むことに、
プロデューサさんは気がついていたわけです。




「ネコキング」におけるハイスコアは、
RPGのレベルと同じです。

だから、プレイヤーのハイスコアは、
常に手軽に閲覧できるようにしなければならない

と、僕は思うのです。







■第4章 『いろいろ』


最後に、このゲームのコツのようなものを、いくつか。


まず、『線は、短い時間で書くこと』

のんびり書いていると、
ペンを画面から離して罠を確定する頃には
ずいぶんネズミも下降してしまい、
せっかくの罠が手遅れになってしまうことがあるからです。



もう1つは、『ネズミの並びに合わせた線を書くこと』

例えば3匹のネズミが歩いているなら、
星がつながって星座に見えるように、
その3匹を1本の線でつなげたようなラインを、
彼らの下1センチほどのところにササッと書く
感じです。

3匹をほぼ同時に捕獲できれば、
「罠の延命」もほとんど同時に発生するので、
結果的に短時間で罠が消え、
ネコを巻きこむ危険も軽減できるからです。



総合的には特別お勧めではないですが、200円という安価ですので、
「ちょっと可愛いソフトを持っていたいな」という人は、
試してみるのも良いのではないでしょうか?






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