Nintendo DSi用

『立体かくし絵 アッタコレダ』




 筆者プレイ内容 : オールクリア

 制作 : Good-Feel

 執筆日 : 2010年 09月13日









■第1章 『DSの中に立体風景』



『立体かくし絵 アッタコレダ』は、隠し絵パズルです。


立体的に描画された風景の中に、
「文字」や「図形」が隠されているので、
眺める角度(カメラ視点)を変えてこれらを見つけます。



隠し絵は、そのままズバリ隠されているわけではなく、
前後の遠近を無視して輪郭がつながることがほとんどです。



皆さんにも経験があると思うのですが…

彼方にある、ものすごく高いタワーと、
自分のそばにあるエンピツが、
遠近を無視すればほとんど同じ大きさに見えたりしますよね?

タワーのてっぺんに合わせるように、
そのエンピツを横にして見てみると、
アルファベットのTに見えなくも無い。


つまり、このゲームの隠し絵は、そんなふうに隠されているのです。



また、ゲーム画面を描画する基本となるカメラ視点は、
プレイヤーの顔の位置を変えることで、
DSのカメラがその動きを感知し、
リアルタイムに変化します


顔をやや右に動かせば、
ゲーム内の風景をやや右から眺めたように
画面が描きかわるのです。


このプレイ感覚は、実に新鮮です。



ちなみに当ゲームは、DSを縦に持ってプレイします。
中央に縦枠のついた窓から、ゲームの箱庭を覗くような感覚です。




操作方法をまとめると…

フィールドのカメラ視点の変更は、DSの傾きの変化で…

フィールド内の「カーソル」移動は、
右手親指に位置する十字ボタンで、

カーソル内にあるものに対してアクション(選択など)する場合は、L・Rボタンか…
あるいは、下画面の端に表示される『!』(あった)にタッチします。

『!』のタッチには、「十字ボタン」同様、右手親指が適しています。


こうして見てみると当作品は、
右手親指と顔だけでプレイできるゲーム
と言えるかもしれません(笑)







■第2章 『良い点いろいろ』



それではまず、当作品の良さを挙げてみましょう。



『新鮮な操作感覚』


前述の通り、プレイヤーの顔の動きが
そのままゲーム内のカメラ視点に連動している
ので、
その驚きは実に新鮮です。

また、単に「驚き」だけではなく、
それがキチンとゲーム内容に合致している点も好印象です。




『遠近を無視して生まれた意外性』


一見無関係な複数の物体が、遠近を無視すると、
輪郭だけが重なって、「文字」や「絵」になる

というルールには、新鮮で心地良い驚きがあります。

もちろんこれは、
それを単なる「良い着眼」にとどめず、
キチンとゲームステージとして組み上げた
スタッフの努力の賜物
です。




『装飾の巧みさ』


見る角度によって唐突に文字や絵が現われる
というやや現実離れした空間を、
「紙細工の世界」と設定することで、
すんなりとユーザーに納得させています。


このゲームデザインセンスの高さには、本当に驚かされました。




『ステージクリアの付加価値』


当作品では、1ステージに
3〜6個のアルファベットが隠されており、
全て見つけると「ある単語」が出来るようになっています。

そして、ステージ間を移動する際に、
マップ上のNPCと会話をする場面があるのですが…

実は、その時に使用できる言葉(選択肢)が、
今までクリアしてきたステージの単語
なのです。

そのため、NPCと話をしても、
必要な単語を持っていないと
先に進めない場合もある
のです。


システムとしては、もう1つこなれていない感もありますが…

「がんばってこのステージをクリアすれば、新しい道が開くかも?」
という期待が持てる意味で、
ステージクリアにさらなるモチベーションを付加させることに、
ある程度成功している
と感じました。




『ヒントが買えるものと、買えないもの』


ゲーム内にちらばるコインを集めることで、
隠し絵についてのヒントを購入することができます。

が、中にはヒントが買えないものも混じっています。


ヒントをドカドカ購入する力押しプレイを封じる意味で、
こうした問題を一部に混ぜておくのはうまい手だと思います。







■第3章 『悪い点いろいろ』



続いては、プレイしていて気になった点をいくつか…
といっても、1つだけなのですが(笑)

ただ、その1つが結構致命的なのです。




『驚くほど悪い、視点操作』


このゲームの最大の売りの1つは、
「プレイヤーの顔の位置によって変化するカメラ視点」ですが…


実はこれが、驚くほど劣悪なのです。


答え(視点位置)は分かっているのに、
頭を少しでも動かすとそれがズレてしまうので、
それをガッチリ固定しようとするため、腕と首が痛くて痛くて


これ1つで、せっかくの素敵なゲーム内容が
ほとんど台無しになってしまっているのが、
残念でなりません。


カメラ視点の変更が、『顔認識システム』だけでなく、
タッチペンや十字ボタンでの操作に切り替えることができれば
このゲームの印象・評価はさらに上がるように思います。



ちなみに、この「顔認識システム」がうまく機能するためには、
最初にDSのカメラで撮影された自分の顔が、
いかに明確に認識されているか?
が重要なようです。

「家の中で、このゲームを遊べる場所が限定される」という、
プレイした者ならば頷かずにはおれない感想を、
ネット上でよく見かけました。
(付近の光源の位置などが関係するからです)



そもそも、角度の微調整をするためには、
手のプルプルは厳禁なのに…

「隠し絵を指摘するためのカーソル」を移動させるには、
本体下部中央(縦画面プレイなので、左下ではない)の十字ボタンに
腕を伸ばしぎみにして右手の親指を動かさなければならず、
(腕を縮めれば、カメラ視点も変わってしまうため)
慣れない操作で、手がプルプルしてしまうのです

それで微妙に視点がズレてしまい、
先ほどの視点に戻すために改めて四苦八苦させられる
というケースが多発してしまう…


ステージによっては、
隠し絵に関わる画面内のキャラクタが動いていて、
短時間しか隠し絵が現われない
場面まであり…

劣悪な操作性の中、短い時間を狙って
視点合わせに四苦八苦するときのイライラは、
相当のものがあります。




『顔と画面は、動かしちゃダメ。
したがって、DSにふれないことが望ましい。』


でも、『右手親指でDS本体にふれて、
カーソルは動かさなくちゃダメ』


という、見方によっては対極にある2つの操作を
同時に要求されることが、
当作品の操作系への悪印象の原因だと思うのです。




なので、遊んでいてしみじみ思ったのは、
『視点のロック機能が欲しい』 でした。


隠し絵を見つけた時点で カメラ視点をロック し、
(位置的にLボタンが良いのではないでしょうか?)
その後、改めて「指摘カーソル」を動かして隠し絵を指摘できれば、
イライラはずいぶん軽減できるのではないでしょうか?

いわば、Lボタンでゲーム風景の写真を撮って、
その写真上で「指摘カーソル」を動かす
感じです。


もっとも、視点変化を十字キーやタッチペンでも出来れば、
その必要もないのですが…(笑)







■第4章 『その他や、コツなど』



ちなみに、最初の「顔認識システム」の
調整の際に表示される四角は、
「自分の顔の中に入れる」ようにすればいいのですが…

ネットで感想を見ていると、
『この四角の中に入るように、顔を入れるのだ』と勘違い
しているユーザーが何人か見られました。


正直、自分も当初はそうだとばかり思っていて、
顔が小さく写るよう、DSから必死に顔を離していました(苦笑)


四角ではなく星マークなどにすれば、
誤解も減ったのではないでしょうか?

もちろん、説明文も表示されてはいるのですが、
画面の雰囲気があまりにも
「証明写真を撮影する機械の画面」に似ている
ので、
ついついそれと同じシステムだと勘違いしてしまうのです。





それでは最後に、当作品のコツをいくつか。



『見本の輪郭に注目』


まず、見本をよく見て、
「その輪郭の断片」を画面内から探す
ことをお勧めします。


鳥の絵なら、その羽の先に該当するような
ギザギザした物体が画面内のどこにあるかを探し、
そこを中心に少しずつ視点を変えていくわけです。

1つの絵の輪郭に該当する場所が
フィールド内に2つ以上見つかれば、もう解けたも同然。

その2つが近接する視点を探すだけだからです。




『色の塊を探す』


似た色が集まる場所を探すことは重要です。

隠し絵は、必ず1色で構成されているからです。


それらが離れていても、
視点によってやけに1ヶ所に集まると感じた場合は、
高確率で「何か」が隠れていると見て間違いありません。




『その輪郭は、絵の外か内か』


最初の頃は、遠近の物体同士が重なって絵になることが多いので、
後半にちょっと戸惑う人がいると思うのですが…

隠し絵は、背景の物体同士が集まって絵になる場合と、
逆に物体の輪郭は実は「絵の外側」で、
空などの空間のほうに絵が隠されている場合があるのです。


それは例えば、「木の枝が重なって文字になる場合」と、
「木の枝は輪郭に過ぎず、木々の隙間から見える
背景の空のほうが文字になる場合」の違いです。

片方の視点にばかり固執すると、特に後半は、
なかなか絵が見つからずに苦戦することになるでしょう。






カメラ視点の操作に難はありますが、
総合的にはオススメしたいゲームです。

良い意味で海外ゲームの匂いを持った作品で、
ゲームデザイン的にも優れたものを含むため、
なんらかの形でゲーム制作に関わっている方は、
勉強用にプレイしてみるのも良いのではないでしょうか?


定価も、たった500円ですし(笑)






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